チケット無い無い無いと世間がヒィヒィ言ってる公演に、ありがたいことにご縁ありまして行かせていただきました。

しかも、本公演と新公のマチソワという究極の合理的観劇で、常に遠征の身からしてみると本当に有難いことで御座います。






ではさっそく、本公演の感想から。


世間的には結構「う~~~ん…」という声のほうが多く聞こえているような気がしますね。

というわけで、セリ美の中のハードルはかなり低かったのが功を奏したのか、それほどトンチキとは感じなかったですねえ。


直近に観た作品がバルセロナだったということも大いにありそうですが…


正直言ってバルセロナに比べたら、ぜ~~~~んぜん観やすいし理解できました。

最後の大団円で力技ハッピーエンド感はありましたが。
あとは妙な英語ネイティブ発音も不要だと思いましたが。



景子先生の作品の中でセリ美的ナンバーワンは『堕天使の涙』でありまして、次いで『落陽のパレルモ』、という感じなんですが、今回の青い薔薇は『堕天使の涙』とかなり近いものがあり、コムちゃんとみりおさんもイメージが非常に近いスターさんですので、結構妖しい系なのかな~なんて思っていたんですが…


そういう感じではなかったですねえ。



「おとぎ話」「絵本」と思って観たらいいと思います。

ビジュアルイメージは、天野喜孝さんかしら。


妖精さんと女の子の物語。


ただそれだけです。

だから深いとか感動とかそういう感じではなく、綺麗な綺麗なイギリスの絵本と思って観ると世界観に没入しやすい気がしますね。



ま、ただ、あれを明日海りおという一大トップスターの男役集大成にしてしまうのは…みりおさんの無駄使い感、ありますね。

みりおさんの魅力って、私は狂気の美だと思ってるんですね。
春の雪とか良かったと思いますね。

誰もが心奪われる美しさを持っていながら、その心はあまりにも脆くて狂気の縁にいる感じ。でも狂気ゆえに美しい、みたいな。


そういう作品でみりおさんの魅力のすべてをさらけ出してほしかったな~というところが、皆さんが「え~~これが退団作品なの~~~」と不満を漏らしてしまう要因の一つなのではないかな~、と。


ミズさまの退団作品『ロジェ』も「最後の作品でこれかあ…」感のある内容でしたが、それでもスーツモノというのは、「背中で着こなすスーツの美学」を見せてもらえたのでまだ良かったです。

そういう、集大成感が青い薔薇には無かったってことがいちばん残念。



あと、個人的にあの青いカツラはロン毛が良かったな~。

妖精さんなんだから、男も女もないと思うんですよね。

だから、老若男女不明瞭みたいなビジュアルのほうがみりおさんの「よくわからんけどとにかく美しい生き物」感が出て良かったような…




『堕天使の涙』はコムちゃんが美しくも邪悪ですっごく良かったのになあ…
この人に心奪われたら身の破滅だと分かっているのに惹かれてしまう的な。


しかも見せ方も登場人物もみんな魅力的だった。

コムミズまーという名ダンサーがいたからこそ演出表現の幅が広がったということもあったとは思うんですが。




なんかね、堕天使はみんなこじらせてるけど、青い薔薇のほうはこじらせてる人があんまりいないんですよ。

妖精と人間の共存、自然と人間の共存っていう清廉なテーマなので…
なんつーのかなーNPO団体が主催する演劇会みたいな感じ?

せっかくみりおさんにはあれだけの演技力と歌唱力があるのに、人間の女の子に恋した妖精ってだけだから、もったいない。



そう。ひたすら、もったいない。


これが退団公演でなかったら全然問題ないと思うんですけどね。






で、個人評にいきたいと思います。


みりおさんに関しては得意分野を発揮するほどの深い物語ではないし、役柄があんまり能動的じゃないんですね。
だから評価しようがないという感じですかねえ。


カレーさん、結構セリ美の周囲では厳しい声を聞くことのほうが多いんですけど、演技力はさすがにみりおさんに鍛え上げられただけのことはあるなと思っています。
メサイアの時も難しい役柄でしたが、頑張ってるな~と思いましたしね。

やっぱりカレーさんに関しても深い役柄ではないので、なんとも感想を抱きにくい。

よく指摘されている歌唱力に関しては…もうあれは喉の構造の問題なので、できる範囲で頑張ってるという感じでしょうか。無理にビブラート利かせたりするより全然いいと思います。

スターさんにとって「一度見たら忘れないお顔」ってすごく大切なことだと思いますし、やっぱりあのお顔立ちは男役で映えまくるので、それを武器にガンバレ~。




えーと、華ちゃん。

こちらも世間ではずいぶん厳しい局面にいらっしゃるようですが、上手だな~と思いましたよ。
だって、7歳から老婆まで演じられるトップ娘役さんってなかなかいないと思います。

7歳の演技はちょっと声の甲高さが気になりましたが、子供のあのキーーーンという独特な高音を表現していたのでしょうかね。


いちばん「ああうまいな~~」と思ったのは、みりおさんとようやく再会したときの「大好きよ」という一言。

シャーロットはずっとずっとエリュのことが本当に大好きで生きてきたんだなあということがよく分かる、愛に溢れた言い回しでした。

あんなに誰かのことを好きと思えることって人間はなかなかないので、そういうところが妖精と解り合えるほど純粋なシャーロットの特性なんだろうなっていうのが分かりました。



でも、あんなに愛くるしいお声をしてるのに、お歌になると発声が不安定になってしまうなんて、人間の喉って不思議ですねえ。

華ちゃんのすごさは、美形というわけでもないのになぜか「可愛いなあ」と思わせてしまう表現力と所作ですね。
まさに紅緒さんのように、元気でちょっとおっちょこちょいな少女漫画の主人公のようです。
制服で食パンくわえて曲がり角でイケメンとぶつかって尻もちついてそうじゃないですか。


それでも、同じように可愛くもあり巧くもあり、さらに美声でもある音くりちゃんが同期で花組にいたということで余計にいろいろと言われてしまうのでしょうねえ。

さらにさらに、みりおさんの相手役というだけでも厳しい立場なのに、あの仙名さんの後継ということでねえ…

でもそういうのも全部分かった上であのお立場を受け入れたのですから、心の強い子なんだと思います。華ちゃんなりの活躍を見せてほしいですね。




で、マイティー。

マイティーもちょっともったいないほどの出番の少なさでしたねえ。
お花を心から愛していて、同時に奥様へも気持ちがありながら心の奥にしまって養子を迎えるとても優しい庭師さんですが。

その優しさはよく出てましたよ。セリ美が奥様なら薔薇庭不倫しちゃうわ~と思うほど。





rosegardenfurin






ご本人の性格なのか、少し控えめな印象ですが個性はしっかりあるので遠慮せずもっとドカーーン!といってみてほしいんですけどねえ。


エリート路線のひとこちゃんが来てきっと2番手さんになっていくのでしょうが、このままマイティーを別格枠にしてしまうのはちょっともったいないような気が…





あと、特筆すべきはほってぃーですかね。
前回でようやく新公主演を射止めたということで、そのおかげなのかすごく良かったように思いました。

個性もあったし演技も落ち着いていて、安心して見られましたね。

先に新公のこと書いちゃいますが、新公ではほってぃーがいちばん良かったように思いました。

ほってぃーには、これが得意です!という武器がないと聞いていたのですが、あの落ち着きはなんだか癒されますね。




そして『Dream On』でべた褒めしましたつかさくんも、やっぱり良かったです。
妖精さんのひとりなのであまりオイシイ役ではなかったんですが、何かすごく目を引くものがありましたね。

特に、正統派美人さんが多い花組の中であのハッキリしたお顔はとてもよく目立っていて、元気!というキャラが確立されて見えました。

昭和の男役さんっぽいお顔立ちなので、もう少しお化粧を柔らかくするとイマっぽくなる気がするなあ。

眉と目がキツいので、眉の角度をもう少し緩やかにして目を垂れ目っぽく描いたらどうだろうか。


華もあるし、実力も申し分ないはずです。

一応新公主演もしてますし、Dream OnではW主演ということなので、路線じゃないというわけではないはず。

2020年にバウ主演できるといいですねえ。華と実力は申し分ないので。





しろきみちゃん、これが最後ということで残念でもあるんですが、やっぱりちょっとトップさんという感じではなかったかな、というのは感じました。

月組のくらげちゃんも同じ系統かなと思いますが、ちょっと薄幸なイメージなんですよね。
お肉の付き具合とかも含めて。
木村多江さん的な。


よく花嫁さんはある程度お肉が付いてたほうが幸せそうに見えるって言うじゃないですか。
トップ娘役さんもトップさんに愛されるに相応しい雰囲気でないといけないわけですから、お2人だとちょっと寂しいイメージが強いかな~、と。

くらげちゃんはお肉の無さが、しろきみちゃんは輪郭がちょっとトップになるには気になっちゃいます。




セリ美は大人っぽい娘役さん大好物なので、アイドル的な可愛い娘役さんよりずっとしろきみちゃんやくらげちゃんのほうが好みではありますが、大衆的なのはやっぱりまどかちゃんや華ちゃんみたいなキュート系の子なのかもしれないですね。

丸くてもちっとしてて。




音くりちゃんは逆にちょっと幼児っぽい体型やお顔立ちなので、そこが難しいのかもしれないですね。



トップになるってほんと難しいですねえ。








で、新公です。


新公なんてまぁ取れないし、青田買いがニガテなセリ美向きではないのであまり積極的に行こうともしていないんですが、有難いお申し出があって数年ぶりに行ってまいりました。


…え?数年ぶり?

いやいや…考えてみたら新公行ったのって初演の鳳凰伝以来だぞ……

十数年ぶりだわ…


新公独特のあの緊張感と客席の見守り感、いいですよね。





まずはあすかちゃんですね。

3回目ってことで、そりゃあ落ち着いてますわい。

ポー同様、みりおさんのお役ならではのハードル高いビジュアルもあすかちゃんなら全然問題ないですね。

彼女はこのままビジュアル系で突き進んでゆくのでしょう。
でも何かひとつ得意分野が欲しいかな~。
いまのところは「無難」というだけで、特出したものを感じなかったのでね。



初ヒロインの都姫ここちゃん。
7歳から老婆まで、研2でよくもやりきりましたねえ。
あぶなっかしいところも特に感じなかったので、その舞台度胸はなかなかのものですな。

ただ、セリ美の好みとはすべてが正反対の子なので…
「研2にしては上手」というだけにとどまってしまいました。




ほってぃーはさっき言った通りですね。
今回の新公を引き締めていたのはほってぃーだったと思います。
あの安定感と落ち着きはなかなか貴重。お顔も目立ちますしね。
期待しています。




花組さんの下級生には疎いながらも、「おっ、この子は…!」と思ったのが、あすかちゃんの役をやった天城れいんくん。

まぁ~~綺麗な子!今回のお役はほとんどしゃべらないのでビジュアル以外は不明なんですが、花組に一体どれだけ美形を集めたの?!というくらい、かなりの美人さんでした。

歌やダンスも気になりますね。




あと、「あの子は誰だろう~~~」とずっと思いながら観ていて、あとで調べたら「侑輝 大弥」くんという子でした。

まだお顔もおぼろげにしか覚えていないんですが、「なんとなく気になる」程度なんですが、ちょっとチェックしていこうと思います。




あとは個人的に推している、詩希すみれちゃん。
音くりちゃんの役で、妖精チームの一員です。

腕で表現する役のようで、ずっと腕を波立たせていて大変だったろうな~。
幼少期からバレエを!という子ではないようなので、身体での表現は容易ではななかったと思いますが、とても丁寧に丁寧に表現していました。

とにかくひたすらに可愛くて美人さんなので、見てるだけで眼福…!


本公演ではWトリオ(上手側)でコーラス頑張ってますし、タカスペでもコーラスに選ばれてますのでもう完全にシンガーです。

次の別箱ではどのチームになるのでしょうねえ。要ちぇけらです!





さて、最後にショーの感想を少し。



あのね~、今回ようやく分かりました。

稲葉先生はね、選曲がいかん!


クラシカルビジューのときもそうだったの。

全体的にはキラキラしてて悪くないはずの演出なのに、どうしてこうもワクワクしないんだろう…と不思議でしてね。



それはたぶん、キャッチ―な音楽を使わないからなんですよね。

いや、音楽に詳しい人の中ではメジャーな曲を選んでるのかもしれないけど、素人からすると全然聴いたこともないような曲ばっかりで、アレンジもまたマニアックなんですよね~


野口くんみたいにJ-POPを使う必要まではないけど、クラシックでもタンゴでも、もうちょっと耳馴染みのある曲使わないとテンション上がらないんだよね~~



今回もせっかくタンゴとか黒燕尾とか宝塚のスタンダードないい場面たくさんあるのに、どう~~~も音楽にノせられないんですよね。

タンゴ好きなので素人ながら図々しくアドバイスなんてしちゃいますけど、もっとさ~「ブエノスアイレスの冬」とかいい曲いっぱいあるじゃない?

な~んでそういうのを使わないかなぁ~。



クラシカルビジューもやけにオーケストラ!クラシック!みたいなアレンジばっかりで、ちょっと退屈でした。
ショーはもっといろんなジャンルの音楽を使わないとねえ。




音楽に煽られることって、大きいと思うんですよね。

ストレートプレイとミュージカルの違いってそこじゃない?

音楽に乗せて心情を述べるから、観客の心に強く残るわけであって。



ショーなんて音楽の力はもっと偉大ですもんね。


もうちょっと、いわゆる「盛り上がる」「印象に残る」ような選曲やアレンジを勉強してほしいなと思いますね。

あと、幕開きから登場する若手ダンサーズの衣装がダサすぎますので、もうちょっとセンス見せてくださいまし。




またコムちゃんの退団公演持ち出しちゃって申し訳ないけどさ、タランテラなんてほんとに素晴らしかった。

みりおさんだけでなく、「退団公演に傑作なし」なんて言われるくらいですから、コムちゃんは本当に最後に素晴らしい作品に出合えた稀有なトップさんなわけです。



『タランテラ』は文字のごとく蜘蛛をテーマにしたショーなんですが、最後にはちゃんと退団公演仕様も入っていて、本当に秀逸でした。


みんなと一緒にひとしきり踊りまくったコムちゃんがふらっと銀橋に一人で出て、舞台上でまだ必死に踊ってる組子たちをただじーーっと見てるだけ、という演出があったんです。



つまり、客席には背中向けちゃってるんですね。


かなり珍しい演出なんですが、感慨深げに組子たちを見つめるコムちゃんの「男役」の背中が、まぁ~泣けた泣けた。



これだからセリ美はオギー大好きなんですけども、稲葉くんにも感性磨いて頑張ってほしいですね。






なんかハッスル以降、「こ、これは…!!!!」と開いた口がふさがらなくなるほどの秀逸なショー場面に出合えてないなあ…

ウエクミ先生、そろそろまたショーやってくれないかな…

そういうぶっ飛んだ演出にも難なく対応できるほどの個性的なトップさんも出てほしいなあ…



怒られることも多かったと思いますけど、昔はほんとにみんなぶっ飛んでたからなあ…

ロン毛にしちゃう真矢みきさんをはじめ、リアル白馬で劇場に乗りつけちゃうノルさんとか、コギャルコスプレでスミレコード完全抵触しちゃってる71期とか、舞台袖に「つーこ(翔つかささん)の部屋」とかいって派手な小道具集めて勝手に遊びだすオサアサとか、ハチャメチャな中だからこそ生まれる個性ってありますよね。

そういうスターさん、切望しています!!!!

いまはツイとかですぐ叩かれちゃうけど、そんなの気にせず我が道を行く!というトップさん、待ってます。







さて、次の日曜まででグッズ〆切らせていただこうと思います!

https://forms.gle/PADAUrTmv4Uqw7eQ9

お悩み中の皆さんはお忘れなきよう~







さ、来週は金沢と富山で~す