大阪のセリ美茶まであと2週間を切りまして…


今月に入ってからは〆切に追われる漫画家のように毎日準備準備準備と髪とせんべいを振り乱してきたセリ美ですが、ここにきてプツっと集中力が切れ、いま必死に立て直しているところでございます。




募集した質問も有難いことにたくさん集まっていまして、自分で募集かけておきながら回答にめちゃめちゃ四苦八苦しております…

答えるからには全力のものをお返ししたい!!!!


お茶会にご参加いただけない方からもご質問を頂戴していまして、皆さんの「お茶会盛り上げるよ!!」という心意気にジーーーンときております…

お茶会が無事に終わったらその回答はブログに改めて載せますので、お楽しみに!!!









さて。



ついに紅子が伝説となってしまいました……






もうあまりにもセリ美のヅカファン人生において忘れられない千秋楽を見ましたので、ここに「紅子という伝説のトップスターをセリ美は確かに見た!!この目で見たんだ!!!!信じてくれよみんな!!!」という記録を記してゆきたいと思いますです。





当初、ライビュは行く予定をしておりませんでした。


なぜなら、ライビュって高いじゃないですか…

ご本人がそこにいるわけでもないのに、B席より高いってのがどうにも納得できなくて…




シネコンを借りたり中継することにどれだけ費用がかかるのかちょっと見当もつきませんけども、せめてB席よりは安くしてほしいなあなんて思っておりまして。

でも公演プログラムだってあのクオリティーでいまだに千円なんていう破格で売ってくれる宝塚歌劇団ですから、暴利はむさぼってないと思うんですけどねえ。。



それでも、ライビュなんてシステムが無かった時代を知るセリ美としては、やっぱりあの東京宝塚劇場に入れた選ばれし幸運な2000人に入れない、セリ美のような一般市民階級でも千秋楽をリアルタイムで見守ることができるというのは、本当に有難いことですね。




それでも、結局1年も待てばスカステで放送してくれるし…みたいなところもあって、ついライビュ代をケチってしまいがちなセリ美ですが、あまりにも「退団とか関係なく、今回の星組公演が素晴らしい」という声を周囲から聞いたので、まぁ様以来となるライビュへ行ってまいりました!!






まずは、紅子とセリ美の話から。

こんな書き方をするとまるで紅子とセリ美が個人的に知り合いなのかと誤解されるような書き方ですが、当然ながらまったくもってなんの繋がりもありません。

ただのヅカ一般市民階級のセリ美と雲の上のトップスターさんという関係性でございます。





紅子体制の星組さんは、

  • ベルリン
  • うたかた
  • アナワ
  • エルベ
  • 食聖

という作品を観劇させていただきました。



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それらの観劇レポにて都度紅子への感想を述べてきましたが、今回の食聖を観るまでは、紅子はセリ美にとって



最高のキャラクターだけどお声がセリ美の耳の周波数に合わない…



というトップさんでした。
これはあーちゃんも同じくでして、最高に可愛いトップ娘役さんだけど、どうしても周波数が合わなくて…


これはもう各人が持ってるお耳の受信周波数によるものなので、紅あーに限らず仕方のないことだと思っております。




スターさんをあまりお顔で選ばないセリ美ですが、そんなセリ美でも紅子のお顔立ちは非常に非常に好みでして。

ほら、ミズさまも同じ系統じゃない?


なので、見てる分にはすごく好きですし、初めて紅子をしっかり認識したレバンガの時も「なんて素敵なスターさんなの…!!!」と、気が狂ったのかと思うようなスミレコードスレスレの芸を見せる紅子を見てときめいたものでした。


レバンガでときめくってのもどうかと思いますけどね。





紅子が仲良しのともみんと一緒に新公を個性的に闘ってきたエピソードたちも大好きですし、決して嫌いじゃないんです、紅子。

だから運悪く周波数が合わないのは本当に残念でした。




だから、今回も千秋楽はライビュには行かずにツイに張り付いて皆さんのレポを待つのみにしようと思ってたんです。



でも、あんまりにも「ショーが素晴らしい」「史上最高に好きなショーかも」という大絶賛の声がたくさん聞こえてきまして。

しかも、ツイとかではなく、リアルヅカ仲間の皆さんから。



それならたとえ周波数が合わなくても、ショー作品としてそんなに完成度が高いなら、研22として見過ごす手はない、ゆけ!ウィーンへ~~と、闇を広げながら近所のライビュ会場のチケットを購入しました。





しかも、なんと前楽が中止というとんでもない事態になってしまいまして。

余計に「ライビュのチケット買って良かった…」という思いで映画館に足を運びました。



トップさん退団のライビュはまぁ様以来だったんですが、その時ももう泣いて泣いて泣いて泣いて。

まだ某チケ〇ャンさんでライターをやってる頃でして、ライビュの様子を幕間と終演後にリアルタイムで実況するなんていう離れ技をやっておりました。





↓ そのとき使った画像



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まだ絵が安定していませんね…

でもこの手描きイラストを行きの電車の中でせっせせっせと色塗りして割り箸に貼っつけて現場で撮影なんて、よくやってましたよねえ。

大変だったけど人生で最高に楽しい仕事でした。


そこからセリ美というキャラクターが誕生したわけですしね。






こうして22年もスターさんを見送ってきたけど、こればっかりはやっぱり慣れませんねえ。

自分の人生において、卒業式やお葬式とかでもまぁとにかく泣かないドライで硬派なセリ美が宝塚の退団においてはまるで恋人を失ったかのようにオイオイ泣いてしまうんですねえ。


それだけスターさんたちが放つ輝きが眩しいんでしょうなあ。







…で、紅子ですよ。





まずは食聖。




正直言って、最後の作品がこれと聞いた時は



またコメディー?!しかも中華コメディー?!なんじゃそれ!!!



でした。悪い意味で。


確かに紅子ご本人は爆笑ジェンヌなのでコメディー向きなのかもしれないですけど、私はご本人の性格と芸風って必ずしも同じじゃないと思うんですね。


例えばまかぜ。


本名のご本人はほわ~んとした感じで、芸名のまかぜはオス感強めのお色気ジェンヌですけど、セリ美がいちばん好きなまかぜって意外にもコメディーなんですね。

メラコリもすごく良かったし、王妃の館もすごく良かったし、オーシャンズのVIPルーム前室でムチに打たれてるフリのところも大好きでした。



紅子と同じような系統の面白ジェンヌ、樹里ぴょんだって、セリ美はコメディーよりもシリアスな作品の中で生きるチャラ男で最後衝撃の死を迎える役が真骨頂だと思っています。


だから紅子も決してご本人が面白いからってコメディー向きとは限らないよな、と思ってまして。
アナワ観た時もそのように感じました。



で、主演作の中でコメディーはもうやったし、しかも割と最近。

それなのに、また~~?!という気持ちを抱いてしまいまして。


さらにポスターを見て、「記念すべき退団作なのに、このB級アニメ感はなんだろう…」と思っていて、余計に観劇予定からは遠のいてゆきました。






でも、今なら言える。




宝塚を22年も観てきて何を分かったような気でいるんだこのせんべい野郎!!!!!!!
お前は何も分かっちゃいない!!!!!
ばか!セリ美のおばか!!!!!あと5キロ太ってしまえ!!



と。

紅子が宝塚人生の最後を飾るのは、あの作品が最も相応しかったと、今なら言えます。





セリ美もすごく口が回らない構造の口をしているので、紅子がなかなか明瞭な滑舌にならないのはよ~~~っく分かります。

なんかね、舌の長さとか、口内の空間の大きさとか、器官の太さとか、歯の生え方とか、いろんな条件が重なってるんですよね。

滑舌なんて訓練すればいいじゃないって問題じゃないんですよ。

くせ毛を根性で直毛にしろ、みたいなことでして。
努力と根性でどうにかなるような話じゃないんですね。




だから、コメディーってテンポが肝心だからどうしてもまくしたてる場面が多いし、そうなると紅子が何を言ってるかよく聞こえなくなってしまうのは避けられないことなんですけど、でもそんなことどうでもよくなるくらい紅子がめちゃめちゃ元気で、命のすべてを使ってあの役を全うしてることが死ぬほど伝わってきまして。

もう、それがあの役の正解なんですよね。


とにかく、「今ある命を精いっぱい生きる」というのがあの役におけるモットーだと思うので、まさにその役そのままの紅子がいました。



そしてそれを小柳先生は全部分かっていてあの役を最後に紅子に与えたんだと思います。

あなたの真骨頂はこれでしょ?って。


そうなんです。紅子の真骨頂は「今ある命を精いっぱい生きる」なんですよね。





そして、優等生ならではの癖である慎重な琴ちゃんに、紅子のがむしゃらな生き様を最後に学んでもらえるよう、あのドラゴンという役を与えたのだろうなあということもよく分かって。

紅子と琴ちゃんが役で交わす台詞が、そっくりそのまま紅ゆずるから礼真琴に贈る言葉になってるところがたくさんありました。


そしてそれを聞くたびにセリ美は泣けて泣けて。

ドタバタコメディーなのに、泣きっぱなしでした。


琴ちゃんが息子との対談で「私たちは器用にこなせてしまうけど、不器用で努力で一生懸命身につけてくる人が出すパワーには敵わない」みたいなこと言ってましたけど、紅子からはそういうものを学んだんだろうなって、琴ちゃんには無い素晴らしいものを紅子は持っていて、紅子のもとで2番手が務められたことはすごく大きかったのだろうと思いますね。



見た目はあんなに可愛いのに芯はすごく強くてどっしり構えていて、でも紅子を前にするとすごく可愛い女になるあーちゃんという人も、あの役そのままでした。




一見、ハチャメチャな吉本新喜劇みたいなコメディーですけど、あの物語の神髄はそんなうわべの部分ではなくて、紅子が最後に組子たちに贈る「生き様」というギフトが込められていたこと、そしてファンに「これが紅ゆずるじゃああああ!!!」と見せつけるための作品だったんだと思います。


それをあのような素っ頓狂な設定のストーリーによくも込めたものだと、小柳先生の才能に震えました。



幕開きをはじめ、定期的に挟んでくるショーアップされた場面もすごく演出が上手でして、小柳先生、いつかショー作品手がけてくれないかなあ~なんてことも思いました。

観客の興奮をどんどん煽ってくる小柳先生の演出は『天は赤い河のほとり』の幕開きでも充分に「上手だな~~」と思っていましたが、今回も案の定でした。




髭にリボンつけまくってるみきちぐさんの役もキュートだし、ゆーちゃんさんを尻に敷いている柚長さんも「娘役のほうが怖い」という宝塚あるあるを体現しているようで愉快でしたし、女性アイドルグループと男性アイドルグループを対比させたのも華やかでした。


全体的には、少年ジャンプに掲載してる大人気コミックみたいな感じの世界観で、でもそれを舞台という生モノでやりきるには、やっぱり紅子みたいに血管切れそうなほどテンション上げて力技でやりきるしかなくて。


あのテンションで、変顔どんと来い!!!みたいな、今で言う賀来賢人さんみたいな、昔で言うなら「池袋ウェストゲートパーク」での窪塚洋介さんみたいな感じで演じきれるタカラジェンヌなんて紅子しかいなくて。

だから、「あれが紅子の真骨頂」なんですね。紅子にしかできない役。




それに加えて、紅子が組子たちに残していけるものをすべて詰め込んだ設定や台詞も盛り込んで。

小柳先生はウエクミ先生と並ぶ天才であると確信しました。




小柳先生のその粋な魂胆が作品全体に透けて見えるから、もう泣けて泣けて。

紅子が先生たちや組子に愛されまくっていることも透けて見えるから、泣けて泣けて。


ドタバタコメディーを見てるはずなのに、まるでウエクミ作品を見ているような気持ちでした。




いちばん心に刺さった紅子の台詞は、



「俺は無理って言葉が大っ嫌いなんだ!!!限られた時間の中でできることを精いっぱいやるんだ!!!」


でした。

もうこれ、紅子の遺言にしてもいいような言葉でしょ…



まさに紅ゆずるというタカラジェンヌは、この言葉通りの生き様を見せました。



芸事ってやっぱりどうしても才能である程度決まってしまうから、生まれつきいい喉を持っていたり生まれつき滑舌が良かったり生まれつき体が自由に動く人が勝つ世界です。


でも、そのどれでもなかった紅子が、「どんなにダメな子でも、がむしゃらに体当たりすればいつか夢は叶う」の精神ひとつでトップにまでなって、台詞が聞き取れないとか歌が…とかダンスが…とかタカラジェンヌとしての品格が…とか言われていたこともきっとご本人は知っていたでしょう。

そんなのご本人がいちばんよく分かっていたはずですよねえ。



でも、自分が過去にタカラジェンヌにたくさん夢と笑顔をもらったように、自分も誰かを笑顔にしたいから、じゃあ不器用な自分にできることって何だろうって考えたと思うんですよ。

で、「誰よりも純粋に宝塚を愛して、誰よりもがむしゃらに」に行き着いたんだと思います。



でもその気持ちは確かに美しいし素晴らしいけど、でも芸事ってそれだけじゃどうにもならないほどシビアな世界でして。

気持ちと努力だけでトップになれるんだったらみんななれちゃうよねって話でして。



でも、その
「誰よりも愛して、誰よりもがむしゃらに」も、最後まで本気で貫き通せば本物になるっていうことを証明してくれました。


その生き様が、どれだけ我々に勇気を与えたことか。




だって、楽に生きようと思えばいくらだって道はあったと思うんです。

タカラジェンヌになるという夢を叶えたんだから、あとは与えられた仕事を及第点でこなしてみんなと仲良く楽しくタカラジェンヌ生活を楽しんで、出世は運も大きいからあとは流れに身を任せていればいい。

そうすることもできたけど、毎日120%の愛を宝塚に注ぎ、組子に注ぎ、ファンに注ぎ、そこで返してもらった愛を自分への厳しさに変えて。




さっきも書いたように、セリ美だって昨日の紅子を見るまでは「人としては好きだけど周波数が合わない」という酷な評価だったわけですから、舞台人にとって不器用というのは本当に悔しかったでしょう。


それが一転、紅子の何が特に変わったわけじゃないのに、昨日1日でここまでセリ美の心を動かしたんですから、紅子は宝塚の歴史を変えたんです。




なんか、ドラえもんの幻の最終回を見てるようでした。

ドラえもんが急に未来に帰ることになって、それを知ったのび太が「ジャイアンに勝たなきゃドラえもんが安心して未来に帰れないんだ!」って、ジャイアンにボコボコにされながらしぶとくしぶとく食らいついて、ついにジャイアンのほうが「もういいよ、分かった!オレの負けだよ!勘弁してくれ!」と逃げ出したっていうエピソード。


生まれつき腕っぷしの強い人間が有利なのは悲しいけど人間界のさだめであって、でも、そうじゃない人間だって自分なりの武器を作ってそれだけを真剣に磨いていけばいつかそれが本物になるっていう。

そこには、日本人特有の判官びいき感情を刺激するっていうのももしかしたらあったかもしれませんね。



そんな紅子の清い魂が昨日の舞台に刻み込まれていたから、セリ美はあんなに泣いてしまったのだと思います。







そうなることもきっと分かってああいう作品を0から作り上げた小柳先生。

天才に決まっとる。








で、ショーです。


もともとセリ美は酒井先生のショーが大好きで、特に『エンターザレビュー』が大好きです。

スタンダードなレビュー形式を保ちながらも斬新な挑戦も忘れない、非常にセンスが磨き抜かれたオシャレな感性をお持ちの先生だと思います。


メジャー曲もマイナー曲も上手に盛り込んで、どれもがすごく効果的でオシャレで。



今回の、名曲「ボレロ」を使用した中詰めは見事でした。

星組におけるボレロと言えばちえちゃんが圧倒的な技術を見せつけたショー「ボレロ」が思い出されますが、紅子ならではの良さを引き出した、また全然違うボレロ。


太鼓の音のみが響く、緊張感しかない空気の中で集まる組子たちの集中力。
トップコンビも組子とまったく同じ衣装で同じ振付をこなすことで見せつけた「団体芸」。
シンプルながら斬新な衣装。


あんな前衛的なものを重鎮の酒井先生が生み出すということがもう、尊い。




礼5みたいな琴ちゃん筆頭の5人口や、その前に赤い衣装を着て出てくる紅子が歌う印象的な曲も、すごく斬新でした。




で、津軽三味線の黒燕尾。


津軽三味線を使った黒燕尾と言えば、『Asian Winds!』を思い出します。

貴族のような気品漂う春野さんに、あえて粋で男っぷり溢れる津軽三味線のナンバーで黒燕尾を踊ってもらったあの場面は忘れられません。



今回もそんな感じなのかな~~なんて思っていたんです。






ぜんっっっぜん違った……




Asian Windsの三味線は、ロックとの融合みたいな感じでノリノリだったんですけど、今回は正統派という感じでした。

でも、「三味線で黒燕尾なんて面白いでしょ?」と奇を衒った感じもなく、ドヤ感もなく、黒燕尾の様式美と三味線の凛とした音が見事にマッチしていました。



ボレロのときもそうですけど、あれらの場面をいちばん昇華させていたものは、「紅子に向ける組子の情熱」だったように思います。

もちろんいつの時代もどの組も、群舞では三角形の頂点にいるトップさんへ向けて全員がパワーを送っているのは同じなんですけど、今回の星組の紅子に向けるパワーは明らかに違いました。


セリ美はその場にいないはずなのに、遠い愛知にいるはずなのに、単なるスクリーンを見ているだけなのに、あの「さゆみさんに届けー!!!!!!!」という決死のパワーが目に見えました。



あの情熱がボレロや黒燕尾をあれだけの見事な場面に押し上げたのでしょうね。



つまり、それだけ紅子が組子の心を惹きつけてきたってことですよね。




人格だけでは素晴らしいトップにはなれないというのが昨日までのセリ美の持論でしたけど、「宝塚を愛そう!お客様に喜んでもらおう!」という想いを伝道し続けて、布教し続けて、組子に愛を注ぎ続けた人格者の紅子だからこそ、それが舞台に表れたんですよね。

人格が素晴らしいトップを作ることがあるんだって、初めて知りました。



最後の黒燕尾の振り付けひとつひとつに紅子の魂がこもっていて、愛おしむように手を伸ばしたり視線を動かしたりする紅子を見ていて、「この人は命がけで舞台に立ってる」と読み取れました。


セリ美もこれまでいろんなトップさんを見てきて、みんな命がけで私たちに夢を届けてくれましたけど、紅子からはなんだか殺気のようなものが出ていて、それと同時に「宝塚から去りたくない!!」という強い愛も出ていて、なんだかすごいものを見ました。



殺気と愛が同時放出されるって…ねえ?


技術や計算では絶対に出せない、紅子ならではのオーラでした。




退団挨拶も、カーテンコールも、最後の最後まで紅子の去り際はパーフェクトで、セリ美はあんなに素晴らしい退団者は見たことがありません。

一昨日まで「周波数が合わない」だったのにねえ…




退団者にもいろんなタイプがいて、基本的には最後まで笑顔で「悔いなし!最高に幸せです!!!」と去っていかれる生徒さんが多いように思いますけど、セリ美が好きなのはやっぱり「寂しいです…」と素直に涙を流してくださる生徒さんです。

いつか来る日だと知ってはいたけどやっぱり寂しくて寂しくてたまらなくて、私たちが涙をこぼしてしまうように、ご本人にもやっぱり寂しがってもらって想いを共有したいです。



ちぎちゃんなんかも「ほんとはずっと男役をやっていたいけど」と涙を流しながら本音を話してくださいましたね。

私たちと同じように、宝塚の男役・娘役としての自分をご本人たちにも愛して惜しんでほしいわけです。
そして、
「あなたが相手役で良かった」と相手役さんをねぎらってほしいわけです。

そこまで求めるのは勝手なのだろうと分かっていますけど。




そういう意味でも、紅子は本当に理想的な退団でした。

作品にも恵まれて、相手役にも恵まれて、別れをたっぷり惜しんでくれて、悲しんでくれて、愛をきちんと述べてくれて、幸せそうな笑顔も見せてくれて。

ここまですべてが揃った退団はもう一生見られないかもしれないと思えるほど、素晴らしい千秋楽でした。


緞帳が閉まるときに、音楽の効果音で「キラキラキラ」って音が必ず入るんですけど、最初それが自分の幻聴かと思ったよね。

あまりに紅あーがキラキラ美しく輝いていて、あーとうとうキラキラって幻聴が聴こえちゃったのかなー自分大丈夫かなーって。







セリ美なんかも「好きなことを仕事にしてる」人種ですけど、でもそれってすごく脆いもので、「好き」という感情が消えたらすべてが終わるんですよね。


最初は「書くことが好き!」ってだけで始めたライターの仕事も、やっていくうちに自分の才能レベルも思い知らされるし、ある程度の仕事をこなしてきたら満足感も達成感も満たされてしまうし。

好きだからこそ自分の才能の無さに傷つくこともたくさんあるしね。





だからだんだん「好き」のエネルギーを維持できなくなってしまうんです。

「好き」って感情は努力では維持できないですからね。



「好き」のカタチも種類も質量も、経験と年齢と共にどんどん変わっていくし、人って悲しいかな歳を取れば取るほどときめかなくなる生き物なんですよね。



だからこそ、飽きずに懲りずに「大好き!!」って言い続けられるのって、既にそれが才能なわけです。

紅子はその才能でここまでのトップさんになった。


なんか、その生き様に本当に学ぶものがありました。




セリ美はこうしてブロガーになって、お茶会までやらせてもらって、いろんな方に声かけてもらって、宝塚に深くかかわることになったぶん、やっぱりポジティブな話ばかりが耳に入ってくるわけじゃなくて。


でもきっとそれは紅子も同じだったはずです。


キラッキラの面だけの宝塚を夢見て憧れて、いざ入ってみたら驚いたこといっぱいあったはずですし、理不尽な人事や嫌なお金の流れも見てきたはずです。



それなのに、少女期と同じ気持ちで「宝塚、大好き!!!!」と言えるその強さと純粋さ。


紅子の愛が宝塚を救った、そんな感じでしたね。




セリ美もヅカファン研1の初心にかえって、また頑張ろう!!!!と嗚咽で映画館の座席を揺らしながら心に誓いました。



そして停滞期に入っていたお茶会準備に本腰が入りそうです。



無事にセリ美茶が終えられたとしたら、それは紅子のおかげでもあります。




こんな風に人に夢と元気を与えるのって、フェアリーの本分ですよね。

ご本人も挨拶で「ものすごい凸凹道だったけど」とおっしゃっていたように、アプローチは独自路線でしたけど、辿り着いたゴールはちゃんと正しいトップスターの場所でした。





そんな独自路線の紅子にしっかりついてきたあーちゃんもなかなかのツワモノです。

紅子に急に「あーちゃんなんか喋って」って言われても慌てふためくことなく落ち着いていた姿を見て、「ああこの人だから紅子の相手ができたんだ」とようやく腹に落ちました。



前にもどこかで書いたことありますが、男役さんを「ソノ気にさせる」力は娘役力の最たるものです。
あーちゃんも実力派とは少し違うタイプでしたが、紅子を惚れさせ続けたその可愛さと健気さと強さは、ものすごい才能です。

「可愛いは正義」って言葉ありますけど、もうあーちゃんの特許として出願しちゃっていいからね。




おふたり、これからどんな道に進むんでしょうねえ。






自分らしさを見失わずに、愛を見失わずに、今できることを精いっぱい楽しんで頑張っていれば、いつか何かが本物になるって証明してくれた紅子のことですからね。


とりあえず誰かのインスタに出てくれることを楽しみに待ちましょう。





琴ちゃん、ちょっと心配になるくらい痩せていたのですが、モーツァルトには少しふっくらしてるといいなあ。

チケット取れなかったから確認しようがないけどね……







こんなに素晴らしいトップコンビに千秋楽まで気付かなかったあほな自分に、研22とはいえまだまだ修行の必要を感じました…




今日から死ぬその日まで、紅子をはじめ退団者の皆さんの幸せが永遠に続きますよーに!!









サヨナラショーでサプライズでレバンガやってくれないかなってひそかに期待しちゃった自分がいたよ…