ちょうど先日、私が実は女子プロレスに少し関わりがあることをツイートしたばかりでした。





フォロワーの皆さんからは「意外~!」という反応を結構いただいたので、今頃セリ美の心情を思い浮かべてくださっている方もいらっしゃるかもしれませんね。


今回の木村選手の訃報はNHKニュースなどでも流れたそうですし、なによりお亡くなりになった背景がショッキングなものだったので、ご存知の方も多いと思います。


昨日亡くなられたそうなのでまだ詳細は捜査中とのことですが、ここ数日の彼女の様子を見ていると、病気や事故ではなかったことがほぼ確実のようです。





セリ美は少しイレギュラーな死生観を持っているので、人の死に関してあまり悲しみを覚えるほうではないんですが、今回のことは珍しくうろたえてしまいました。

間接的ではあるものの、やはり身近に感じる存在ではあったので。





このブログではあまり宝塚以外のことを書かないようにしていたのですが、でも死生観を確認したり変化させることって観劇行為と結びついていないこともないので、今回はちょっと書いてみたいと思います。




私がなぜプロレス業界と繋がりがあるかというと、私の中高(光月るう組長の母校)
の同級生が高橋奈七永(たかはしななえ)というプロレスラーでして、今は自分で団体を立ち上げて選手兼団体の代表として頑張っています。


彼女は高1の夏休み明けに学校を辞めて全女(全日本女子プロレス)に入団。


全女といえばジャガー横田さんとかダンプ松本さんとかクラッシュギャルズとか北斗晶さんとかアジャコングさんなどなど、有名どころの選手はみんな全女所属という、トップクラスの団体ですね。

時代の流れもあって今は全女はなくなってしまいましたが、私の同級生は全女が認定していた世界シングル王座の最後の王者となった、自慢のスゴツヨレスラーです。



全女がなくなったあとはフリーになったり他団体に入団したりしていましたが、今の自分の団体を立ち上げるまでは、今回訃報のあった木村選手と同じ団体に所属していました。

つまり、私もその団体の試合を何年も見続けていたし、今と同じように売店でお手伝いをすることもあったので、ご他界された木村選手のことももちろん知っていました。


でも高橋選手と木村選手の所属は同時期ではなかったので、生で試合を見たことはありませんでしたが、木村選手のお母様もまたプロレスラーであり、そのお母様と高橋選手がよく試合をしていましたし、プライベートでの交流もちらほら聞いていました。

お母様は高橋選手(とセリ美)と同い年ということもあり、「へぇ~!こんなに大きい娘さんがいるんだ~!」と思っていたものでした。



そんな背景があったので、生で試合も見たことないし、会場などでお見かけしたこともなかったんですが、遠い他人とは思えずに今回の訃報に大きなショックを受けました。





皆さんにはエリザベートという作品を通じて死生観を説明していくと分かりやすいかなと思いますので、おこがましくもハプスブルク家の皆さんの心情を参考にして今の私の気持ちを書いていきたいと思います。


私はルドルフと非常によく似た環境でして、いつもエリザベートでいちばん感情移入する人物はルドルフです。

ルドルフは庶民の言葉で言えばネグレクトに近い生育環境だったように思います。


大人の誰も自分に関心をもってくれず、大人たちが自分に何か言葉をかけるとしたら「しっかりしろ」「立派な人間になれ」「義務を果たせ」という言葉ばかりで。

子供らしいいたずらをしたりわがままを言えば執拗に激しく叱られ、厳しい体罰も受ける。



「自分は生きててもいいんだ」という自己肯定感を育てることができず、親に褒めて認めてもらうことでしか存在意義を確認できず、一生褒めても認めてももらえないことを悟ると絶望し、生きることを諦める。


私もほぼ同じような環境で育ちました。


しかし私は幸運にも命を拾ってくれた友人や芸術に出会うことができ、今日まで生き抜いてこられましたが、このような環境で育つと死というのは隣り合わせにいます。
まさに閣下がいつも自分をどこかで獲物を狙うように見つめている感じですね。



そういう環境で何十年も生きてくると、死生観は少しイレギュラーなものに育っていきます。


簡単に言えば、「人が死んで悲しい」という感情があまりなくなります。
死が身近にあったせいでしょうね。

たとえそれが身内であっても、人が亡くなったと聞いて浮かんでくる感情は主に
「それがその人の寿命だったんだね。」
というものです。

もちろん、誰かに殺されてしまったとか、不可抗力での他界は除外します。



よく仏教などでも「自殺は最大の罪。地獄に送られる」なんて聞きますしキリスト教だってもちろん認めていません。(殉教は最大の功績になるんでしょうけど)



でも、私の死生観からすると、シシィの台詞に完全に同意です。


「私の命を委ねるのは私だけ」


自分の命くらい好きにさせてくれ。生きるも死ぬも自分で選ぶ。
ということですね。



生きてると理不尽なことばかりですし、思い通りにならないことばかり。

でも命をどう使うかだけは、自分で決めることができる。
それが人間に唯一認められた自由ではないかなと思っています。



だから、自殺に関しても全然反対派ではないです。

生きるも死ぬも、自由。


「まわりが悲しむじゃないか!」
という意見もありますが、「それは大変申し訳ないけど、それくらい最後のわがままだと思って許してやってよ…」という気持ちです。


じゃあ、「友達が『死にたい』って目の前で言っても止めないの?」って思われるかもしれませんが、冷静に話を聞いてみてまだ望みがありそうなら「まだこの方法が残ってるから、試してからまた考えたら?できる範囲で手助けもするよ」と言います。

でも「ああこれはもう生きるだけで地獄だな」と思えば、早く楽にさせてあげたいなあという気持ちになります。



以前にNHKかなんかで安楽死のドキュメンタリーを見ましたが、ALS(筋肉が萎縮して最終的には自分で呼吸できなくなって死が待っている病気)の患者さんが、このまま死を待つしかないなら自分で死ぬタイミングを決めたいという意志のもと、スイスに渡って安楽死を選ぶというものでした。

もちろん同じALS患者さんでも「自分は最後まで生き抜く」と決める人もたくさんいらっしゃいます。
これはもう倫理観に基づくものなので賛否両論あって当然ですよね。


ALSという病気は筋肉だけの異常なので、脳は何も変わりません。
せめて肉体が衰えると同じように意識も混沌としていくならまだ死に身を任せることができますが、健康な時と同じようにはっきりとした意識で自分の病気の進行具合を確認することができるわけです。

「今日はもう字が書けなくなった」「今日は歩けなくなった」と、病気の進行をはっきりと認識させられるなんて、こんなに悲しいことはないなあ、と。


それなら、まだ自分の脚で歩ける間に、自分のタイミングで死期を決めよう、というのは人間に残された最後の権利なのではないかな、と私は考えます。





なので、自殺に関しても「最期くらい自分で好きに決めたいよね」という賛同に近い思いを持っています。





ですが、今回の木村選手の選択は、どこかそう思えないところがありまして。



私の周囲には一人だけ自殺を選んだ友人がいますが、彼は遺伝性のうつ病を抱えていて、「いつか自分も父と同じように人生の終わりを選ぶ日が来るのかな」と思いながら39年過ごしてきて、ついにその日を迎えました。

とても仲が良くてしょっちゅう会っていたという間柄ではなかったので、もしかしたら何度も会ってじっくり話を聞いてみたら「まだこの方法があるから一回試してみたら」と言ったかもしれません。


でもそういうご縁にはならなかったので、彼の死と生前の様子を聞いた時は「そうか、決断したんだね」とだけ思いました。
お葬式にも行きましたが、「おつかれさま」とねぎらうだけで、泣くということはありませんでした。





一見すると「冷酷」と言われてしまうかもしれないそんな私の死生観ですが、そんな私が今回の木村選手のことはどうしてか受け入れがたい。




いわば、木村選手が亡くなった理由は「いじめ自殺」です。

いじめ自殺を選ぶ若者は世界中にたくさんいます。


たまたま繊細で真面目で、人からの言葉をど真ん中で受け止めてしまう性格だったということも大きいと思いますし、私にもその要素はありますのでよーーーく分かるんですが…



まさにこれこそ
「まだこの方法が残ってるから、試してからまた考えたら?できる範囲で手助けもするよ」という事案でした。

しかも、その方法は多分たくさんあったと思います。


木村選手の生育環境をよく存じ上げないので、もしかしたら私のように根本に何か大きなものを持っていたのかもしれませんが…


亡くなられる前日までの様子を見ると、今回の原因として挙げられているのは番組出演からのバッシングだったようです。

もしそれだけが理由だったのだとしたら、バッシングが聞こえないようにSNSを全部辞めるとか、番組出演自体を辞めるとか、たくさん方法があったように思います。



いじめ自殺を選んだ若者の遺書などでも、「死ねと言われたから」という言葉を聞きますが、死ねと言われて「はい分かりました」と死んでしまうのは、あまりにも残された人たちが可哀想すぎる…


身体的に危害を加えられたり、ストーキング行為などを受けていて、その苦痛に耐えられなかった、逃げることもできなかった、ということなら理解ができたんですが、少なくとも今回の木村選手はきっとそうではないはずで…


番組の台本として気の強い女性を演じていたのか、木村選手の素の性格だったのかは分かりませんが、それを観た視聴者からの言葉だけで「そうですね、じゃあ死にますね」というのはあまりにも短絡的すぎたような気がします。

それとも、ずっとSOSを出してたのに周囲が気付けなかったのかなあ…?
本当の真実は、いち売店スタッフのセリ美には完全には分かりかねるんですが…



ツイッターのコメント欄に「死ね」と書かれたからといって、「はい分かりました」では、木村選手を育て、愛してくれた人たちがあまりに可哀想で…

それがたぶん、自殺を否定しない私が今回腑に落ちていない理由なのかな、と思い当たりました。





中村うさぎさんという作家さん、ご存知ですか?

彼女もなかなか壮絶な人生を送っている人でして、生育環境という不可抗力の面もあるし、不幸に自ら飛び込んでいく破滅型という面もあり、血反吐とユーモアを吐きながら生きてる感じの人です。


彼女ほど私には文才も発想力もありませんけど、なにかすごくシンパシーを感じる部分がありまして、とても気になる作家さんです。


彼女も、いつ死んでもおかしくないような壮絶な毎日の中で、きっと何度も「もう人生リタイヤしようかな~」と煙草をスパ~ッとふかしながら考える瞬間があったと思うんですが、その「どっちにしようかな~」と揺れる中で、今のところ全部「やっぱまだ生きてみようかな」を選んできたと思うんです。

それをもう60年以上もやっている人です。



そういう、「どうしようかな~」という揺れを、木村選手からあまり感じ取ることができなかったことが、「とても残念」と私がいま思っている理由のようです。

お母様をはじめ、木村選手の幸せを願って協力してくれる人がきっといたはずで、その人たちのためにもう少し「どうしようかな~」と思ったり、「どうしようかな~」と実際に漏らしてほしかった。




でも、これはもう木村選手だけの問題ではなくて、世界中で起きていることなんですよね、きっと。

SNSを使うのは、ごはんを食べるのと同じくらい当たり前のこと、という感覚が若者たちにはあるのかもしれませんが、そうではないということを知ってほしいなあ。


・人の言葉を真に受ける性格の自分に、SNSが向いているか?
・SNSを使わないという選択肢も当然ある
・炎上してしまったときのための対策や自衛手段を決めてからSNSを使う


など、ネットリテラシーをもっとしっかり教育現場で根付かせていくことがすごく重要だと知りました。




今もまだコロナ騒動は完全に終わってはいませんが、大阪府知事だったかなあ?
「これからはコロナと共存していく社会になる」
と言っていましたね。

それと同じように、SNSというものがこの世に誕生してしまった以上はもう根絶させることは不可能なので、共存方法をもっとしっかり模索して教育していかなくては、この「ネットいじめ問題」は全然収束していかないだろうな、と思います。



木村選手のご家族や友人関係を深く知りもしないでいろいろと書くのは失礼にあたるかもという気持ちもあったんですが、木村選手には最近同居を始めた子ネコちゃんがいたようで、少なくとも、その子ネコちゃんにとって木村選手はかけがえのない存在だったはずで。

「この小さい子を残しては逝けない」という責任感でもう少し「どうしようかな~」で保留できなかったものだろうか…




木村選手の本業はプロレスラーであって、タレントではない。
番組出演なんて、プロレスのプロモーションの一つにしか過ぎなかったはずで。

プロモーションのせいで死を選んで本業を諦めてしまうくらいなら、プロモーションなんてさっさと捨てて本業に集中してほしかったなあ。

プロレスって木村選手にとってあまり重要ではないものだったのかな…というのが、いちプロレスファンとして残念です。


プロレスに命を救われた人、人生を救われた人を私は間近で見てるから、余計に悲しいなあ…




宝塚も、プロレスも、エンタメって人の命を救うすごいパワーを秘めているものなので、「私にはプロレスがある!!」って姿を見せてほしかったです。


でも、木村選手の死に学び、SNS利用のネットリテラシーがもっと根付いて普及して、「どうしようかな~」期間もあまり設けずに「じゃあもういいや」って結論を急ぐ若者たちが減ってくれることを願います。


いろいろやってそれでもダメなら人生諦めてもいいからさ。
まずはいろいろ方法を試してみてほしい。


セリ美の読者さまの中にもし「どうしようかな~」って思って、でも言う相手がいないってなったらまずはセリ美に「『どうしようかな~』って思ってる」って教えてね!一緒に対策を練るよ!






最後に私が好きな言葉を2つ。







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つらいなら逃げるんだ!逃げても人生なんとかなる!!!
セリ美は逃げてなんとかなった!


そして、つらい時に笑いの力は偉大だ!!!


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「しょーもなww」って思うと意外ともやもやがすっきりするものなんだよ!



これらの言葉が木村選手に届けられなかったことがとても残念です。


アイコン画像は、木村選手のお母様、木村響子さんが高橋選手と一緒にドーナツを食べて、「ドーナツいいよね!」って話したというエピソードから。
私が木村選手を思ったときに出てくるエピソードがこれしかなかったので…

ドーナツは高橋選手の今の団体のモチーフになってます。





心より、ご冥福をお祈りいたします。