いや~~~~なんか…これが世に言う「なんとかロス」ってやつなんでしょうかねええ……
夢千鳥の配信が終わり、「出世がスローなのは実力派の証!!!」っつって前回親バカぶりを爆発させてみましたけども、そして皆様から「ヨッ!!母さんいいぞ!もっとやれ!」とやんややんやの合いの手コメントもたくさんいただきまして、母冥利に尽きる思いで御座いまする。
しかし、コロナ時代に突入してから入り出がなくなってお稽古中の様子が全く分からなくなり、息子が今どんな私服を着ているのかも分からず、スカステに加入できないセリ美にとっては初日を迎えるその日まで息子の生存確認ができないというのは生きるエネルギーがまったく湧いてこないですなあ…
皆さんにコメント返しもできていませんで、申し訳ないことでございます……
入り出がなくなってからまだ自分で確認していないのですが、以前ギャラリーゾーンだった花の道のあのデッキ部分、工事が入ったんですって??
それって劇団からの「もう入り出は廃止しますからこんな場所にこんなデッキ要らんでしょ」というメッセージなのかなあ…と残念に思っております。
前にも何度か書いていますが、宝塚って、スター制度とか新公制度とか、劇団内部の制度も独自の文化ですごく面白いですけど、入り出とかお茶会とかファンが独自で作り上げた文化も無形重要文化財だと思ってるんですよね。
例えばジャニーズで言ったら入り出なんてタブー中のタブーなわけで、入り出待ちしてるファンをジャニーズタレントさんが相手してるのなんて見たことも聞いたこともないし(推しに暴言吐かれたとかいうのはよく聞く)、ましてや宝塚にはあんな風に綺麗に整列して屈伸運動の号令かける担当の人までいて、軍隊の如く訓練された整列を見せて各自手に持ったお手紙をスターさんにお手渡しして疾風のごとく持ち場に戻っていく。
あんなことが実現してるファンクラブ、きっと世界中探してもどこにもないわけで。
ああいうのもきっと音楽学校の軍隊みたいな規律から来てるもので、「大好きな贔屓もこんな風に軍隊みたいな生活送ってたんだもんなあ♡」と思えるから皆さん喜んで指示に従えるんですよね。つくづく宝塚ってのはすごいシステムですよ。
お茶会だってそうですよね。
トップさんにもなれば数千人規模のイベントを、いわば興行の素人集団が一生懸命手作りですべて運営して管理して、各国の首脳陣も利用するようなニューオータニで催されるなんて本当にすごいことで。
しかも、その参加権がぴあとかイープラとかに売ってるでもなく、とある特殊ルートでしか手に入らないとか、もっと言えば「大人会」とかいうフリーメイソンみたいな秘密の組織まで存在していて、そこに入ればスターさんと個室でお食事できるとかツーショット撮れるとかいう都市伝説も聞くし、しかもいま書いてきたその全部が劇団ノータッチとかいうとんでもねえ集団なんですよね、会って。
今はそのすべてが休止中で、みんなただ会費だけをせっせと払って「いつかきっと再開される…」と健気にコロナ退散を待っているわけなんですが、すべてが元通りになるのでしょうかねえ、ほんとに。
お茶会とか大人会なんて会の運営費のほとんどを占める一大収入源ですから、会としてはなんとしても復活させる気ではあると思うんですが、入り出に関してはただのサービスですからねえ。
生徒さんにとってもやっぱり入り出のない今は気楽というのが本音でしょうし、お稽古や本番の前後に、ある程度しっかりとした身支度をしなきゃいけないのってやっぱり負担ではあるでしょうし。
私たちだって「今日の仕事はとんでもなくハードだったわ…ようやく帰れる…」とボロボロになってる時に友達からLINEが来て「会社の前で待ってるね♪」って言われたら「今日はやめてくれええええ」と思うじゃないですか。いくら仲のいい友達だとしても。
息子だってライナスの時はイケコに毎日めちゃくちゃしごかれてかなり精神的に参ってたと聞きましたが、今日も全然褒められなくて違う違うと言われ続けて「じゃあどうすりゃいいんだイケコ…」ってなってる精神状態の時に出待ちで何か喋ってから帰るの、かなり負担だったんじゃないかなと推測します。
ファンクラブ人数も劇団には把握されてるなんていう都市伝説も聞きますし、そりゃあ入り出で神対応をしていればファンも地道に増えていくでしょうから、メリットが無いわけじゃないんですけどね。
生徒さんたちの日々の精神的負担を思うと、やっぱり「サービス」という側面が強いような気がします。
毎日朝早くから遅くまでそれに立ち会うスタッフさんたちももちろん大変ですしね。
だから、大きな収入源にもならず生徒さんにもスタッフさんにも精神的・体力的負担がかかる入り出に関してはもう廃止色が濃厚なんだろうな…とセリ美は覚悟しております。
近年は「入り出写真をSNSにあげないで」という勧告も正式に出てしまっていましたし(でもこれに関しては肖像権がどうのというよりSNSを介して写真を売買する人を取り締まりたかったという背景だと思いますけどね)、劇団としてもそういう勧告を出さずにいられるならこのまま入り出は廃止していくよう各会に要請していくような気がします。
SNSって宝塚に限らずいろんな分野で世界を大きく変えましたね。
インターネット自体が「人類はパンドラの箱を開けてしまった」なんて言われてましたけど、我々一般庶民のところまでそのデメリットが波及することはあまりなく、便利な側面だけをしばらく享受していました。
でもSNSの登場でついにそのデメリットが押し寄せてきました。
SNSいじめが原因で死んじゃう人まで出てるんですから。
宝塚におけるそのデメリットの最たるものが入り出だったんじゃないかなあ。
コロナがもしなかったとしてもSNS上では「入り出写真をアップしないで!!」という入り出警察もたくさん出動してましたから、いずれは「入り出はもうやりません」という事態になっていたような気がします。
「ひとつ何かを手に入れれば、ひとつ何かを失う」的なことで、SNSでいろんな情報が瞬時に収集できるという大きなメリットを手に入れた我々は、美しい妖精たちが朝から続々と出勤してくる華やかな風景をうっとり眺めるとか、さっきまでステージにいた妖精たちを見送れるという終演後のデザートを失いました。
宝塚の無形文化財のひとつがこうしてコロナにダメ押しをされたかたちで失われていくのはとてもとても残念ですが、諸行は無常ですからね。
きっとこれから先、何十年も何百年も続くであろう宝塚の中で、「昔は入り出というものがあってのう…」と我々が新米ヅカファンに語る日が来るのでしょうね。
贔屓に直接お手紙やプレゼントを渡したり、逆にプチギフトを渡されたりする毎日のイベントだったんじゃよ、と新米ヅカファンに語って「ええええええ?!?!なにその信じられんイベント!!!」と驚愕されましょうね。
さて、先日こんなツイートをしました。
そしたら他の方も「そらくん、殉情(春琴抄)似合うんじゃない?」ってツイートしていらっしゃったようで、和モノの悲劇をやらせるなら和希、という代名詞になったみたいで母はとても嬉しく思いました。
『殉情』、古参ファンじゃないとあまりご存知ない方も多いと思いますので、ここで詳しく解説しますね!
『殉情』は谷崎潤一郎の『春琴抄』という小説の舞台化なんですけど、春琴抄を題材にしたという意味では、宝塚での初演は大地真央さんの1982年の大劇場お披露目公演『愛限りなく』という作品になるのかな。
でも、先人たちの『愛限りなく』の感想を見ると、「登場人物とかは沿ってるけどあれは爽やかすぎて春琴抄じゃない」という声が多いですね。
で、次に公演したのが絵麻緒ゆうさん主演、月影 瞳さんヒロインの『殉情』になります。1995年ですね。まだ宙組も誕生してない頃なので、セリ美もヅカファン覚醒前です。
それが非常に評判良く、絵麻緒さんのトッププレお披露目公演で再演され、ヒロインは紺野まひるちゃんでした。
セリ美はスカステでこれを見たことがありまして、「うわ~~~すごい強烈な作品だなぁ~~~!!」とびっくり。
セリ美は原作を読んでいないので(谷崎潤一郎が苦手)(下ネタ嫌い)春琴抄ではなくあくまで『殉情』のあらすじを説明しますと、『天は赤い河のほとり』のような、現代人カップルが幕開きすぐ登場して、ひょんなことから過去の人物に想いを馳せて場面転換、時代が遡って当時の人物たちが登場する…という仕組みの劇です。
一言で言えば、「究極のマゾ物語」です。
踏みつけられてなじられて、血流れるまで殴られて最高の悦びを感じている主人公の話です(笑)
え?ヒロインがそんなに主人公を痛めつけるの?!って??
そうですよ!ドSヒロインとドM主人公の純愛物語ですから!!
ヒロインの名前は琴さんとか春琴(しゅんきん)とか言いますが、主人公の佐助は春琴さんのことを「こいさん」と呼びます。
それに倣ってここでも「こいさん」と呼びますね。
こいさんは結構なお金持ちの家の娘として生まれますが、幼い頃に病気が原因で失明してしまいます。
でもそのおかげで聴覚がとても発達して、三味線の才能を開花させ、美貌も大人になるにつれ匂い立つような色香をまとっていきます。
しかし、生まれながらの気性の激しさに加えて、視力を失った可哀想な子ということで両親もこいさんを甘やかし、三味線の腕も一流で美貌も備えているというのに、とにかく性格が悪い。
そのこいさんの世話係として丁稚(でっち)(住み込みの使用人ってところかな)に来ていた佐助がこいさんから指名を受けるようになります。
昔は「丁稚奉公(でっちぼうこう)」と言って、長男以外の男児は将来家を継ぐ権利もないのに生活費だけはかかる存在なので、幼少期を過ぎたら大きな商家とかに丁稚奉公に出されてそこで少しずつ商売のノウハウなどを盗み、商売の才能のある子はいずれ奉公を終えて自活できるようになるというシステムがありました。
または、親がその商家に借金をしていて、そのカタに子供を預けて「奉公」させるというパターンも。ひどいシステムですなあ。
セリ美の祖父もどうやら丁稚奉公に出たことがあるらしいんですが、そこでの詳しい話は聞けずじまいでしたねえ。
昔ってモラルや倫理、道徳心なんてあったもんじゃないですから、けっこう意地悪なご主人や奥さんが多かったみたいで、暴言や暴力を受けた丁稚の子供たちのほうが多かったと聞きますけどね。
その丁稚時代の苦しい思い出のせいもあり、戦争に駆り出されたということもあり、セリ美祖父も人間性が歪んでしまったのかもしれないなあ。
それぐらい人間の尊厳を踏みにじった制度ですよね、丁稚奉公って。
で、他の使用人はこいさんのあまりの気性の激しさやわがままに匙を投げる中、佐助だけはこいさんがどんなにひどいわがままを言っても「へい」「へい」となんでも言うことを聞いたからでしょう、こいさんのご両親も「佐助を娘の専属お世話係に」と指名しました。
そのうちに佐助もこいさんのように三味線を弾いてみたいと夢を抱くようになり、陰でこっそりと独学で練習しはじめますが、それがこいさんに見つかり、最初は「お前ごときが何をしてんのや!!!」と怒鳴られますが、正式に弟子入りを許されます。
こうして佐助とこいさんは「お嬢様と専属お世話係」でありながら、「師匠と弟子」という関係、さらに男女の仲でもあるという、深い深い関係になっていきます。
だってこいさんは目が見えない上に超わがままなので、トイレに行くなりお風呂に行くなり、自分でできるように練習などしませんからね。
「佐助!」と呼びつけ、おしり拭きからなにから全部やらせて、つまりは性処理もさせてるわけですから。原作では妊娠までしちゃってますからね。「佐助なんかの子供なわけがない」と断固として認めずに里子に出してしまいますけども。最低ですねえ。
佐助はこいさんが好きだとか憧れるとかいう気持ちを凌駕して、もう崇拝の域ですね。神として崇め奉っているので、どんなにひどいことをされてももはやそれは至上の悦びでしかないわけです。
三味線のお稽古でこいさんの言うとおりに佐助が弾けないと何度も何度も執拗に怒鳴り、三味線のバチで顔を殴り、流血させ、佐助は男ながらに「うううう…」と泣き声を上げる。
こいさんの怒鳴り声と佐助が泣くその声は毎晩お屋敷中に響いていたそうですが、きっと佐助はこいさんが自分だけを見つめて怒鳴ったり殴ったりしてくれることに興奮し、泣いている自分に陶酔し、恍惚の気分だったに違いないでしょうね。
いや~~~ヘンタイ。なかなかのハイレベルな変態ですよね~。
夢二に殴られて「そうよ、もっと嫉妬して殴って!」と悦んでる他万喜と同じってことですね。一見、可哀想な被害者に見えますが実は殴らせてるのは他万喜のほうで、相手を激昂させることで自分に気持ちを向けさせ、束縛してるというわけです。
佐助も一見こいさんの下僕に見えますが、実は束縛してるのは佐助ということです。変態~~。
そして事件は起こります。
こいさんの美貌に一目ぼれした金持ちのボンボンがこいさん目当てに「三味線を教えてほしい」と申し出てきます。
こいさんは気性が荒いので、そんな邪な気持ちで気軽に練習しにきた才能のないヘナチョコ男のしょーもない三味線技術に相変わらず激怒し、殴ります。
佐助は筋金入りのハイパーど変態なので殴られても悦びしか感じませんが、そりゃあ江戸の男尊女卑時代に男が女に殴られて怪我させられたなんて、普通の男は「このクソアマが!!!!」ってなもんですよね。
その金持ちの男はこいさんへの仕返しに、こいさんが寝ているところに忍び込んで顔に熱湯をぶっかけます。
こいさんの美しい顔は焼けただれ、その醜くなってしまった顔を佐助にだけは見られたくないと思ったこいさんは佐助を遠ざけます。絶対認めないだろうけどやっぱり佐助のことが好きなんですね。
教祖であるこいさんと会えない日々なんて、スーパーエキスパート変態の佐助が我慢できるはずがありません。そんな人生に意味などありません。
そして佐助は気付きます。自分の目が見えなくなればいいんだ、と。
そうすればこいさんも安心してくれるし、なによりも自分もこいさんが生きている真っ暗な世界を共有できるというこの上ない悦び。
そう気付いた佐助は縫い針を持ち出し……自分の眼球めがけて一気に……
突き刺す!!!!!
うぎゃおおおおおおおおおおおお!!!!!!
反対側の目も………
突き刺す!!!!!!!!!!
うぎええええええええええええええええええ!!!!!
こいさん……わて、もう見えまへん……これでこいさんのお顔が見えることはありまへん……へへへ……
さ、さ、さすけええええええええええええ!!!!!!!!!!
この佐助の行為に大感激したこいさんは(これもまたスーパー超ド級の変態レベル)佐助と生涯添い遂げました……
みたいなお話です。
絵麻緒ゆうさんのあとに2008年宙組にて再演され、ちぎちゃんと蓮水ゆうやさんが役替わりで主演もされました。
宝塚ではかなりすみれコードギリギリの変態作品ですが、こんなに再演されているということはやっぱり人気公演であったのだろうし、なにより演者の生徒さんたちの熱演がすごかったんだと思います。
役者としての成長も、何ステップも駆け上がることのできる作品なのでしょうねえ。
セリ美はちぎちゃんバージョンはまだ見たことはないんですが、ちぎちゃんが佐助にぴっっっったりだということは容易に想像できます。
ちぎちゃんってご本人はあんなにパワフルで元気印な陽の人なんですが、お芝居ではほんとにシリアスが似合う人だな~と思います。
ニジンスキーも素晴らしかったですもんね。今のところ原田作品で唯一好きな作品です。
思えば、ニジンスキーも本来はすごく性的描写のドぎつい部分がある作品ですし、ちぎちゃんってそういう品性に欠けるような演出でもすみれコードギリギリの絶妙なラインで演じることのできる稀有な役者さんだと思います。
色気と下品って似て非なるものですから、宝塚で演じるにはものすごく演者さんの品性や技量が試されると思います。
お芝居って喋り声の良さも必要とされるので(息子の地声はもう天性のものですわねオホホホ)、生まれつき発声が明瞭じゃないとか、男役で言えば高すぎる声とか、生まれながらにして持ってる声質でお芝居が巧くも拙くも見えてしまうもので。
ちぎちゃんは男役としての声はあまり有利とは言えないのに本当にお芝居が素晴らしかった。
きっとご本人の真摯で謙虚な姿勢や役柄の心情を深く追求できる勘の良さや聡明さがずば抜けていて、そこにあの美しいお顔も手伝って、演出家が「この子にこういう役をやらせてみたい」と思うような生徒さんになったんじゃないかなと思います。
ゆえにトップ就任後に満員御礼を続けるという記録に繋がっていったのかなと分析します。
ま、ミズさまとは宙組と雪組で一緒でしたから、ミズさまからたくさん大切な芸事を教わってくれたという背景もあるでしょうけどねえ。ええ。ええ。間違いなくそうですとも。
まぁそんな和モノの衝撃的悲劇といえば、今や夢千鳥を大成功させた息子の真骨頂みたいな役柄になりました。
やっぱりそういう作品って小劇場だからこそ、その迫真の演技が伝わるというものだし、「タカラヅカ初めて観に来ました~♡」という一見さんにあんなもんを見せたら宝塚に対する大いなる勘違いが生まれそうなのであまり向いておらず、玄人だけが観るバウだからこそその凄さが分かるものだと思うので、何度も言いますけども栗田先生には本当によくぞ息子に夢千鳥というバウ作品を与えてくださったと感謝してもしきれない気持ちでございます。
壮麗帝といいリリーといい、近年はいいお役に恵まれて、運も味方についてきましたねえ。
息子曰く「運も実力のうち」ですからね。
ちょっとここで今までの息子が演じてきた大きな役柄を陰と陽で並べてみましょうか。
心にモヤモヤとか陰を抱えている役を「陰」として、明るいキャラクターを「陽」としてみました。異論があったらごめんくさいね。
意外と陰が多いんですねえ!
本当はもっとたくさんの役を表に並べたいんですが、本公演ではなかなか物語に関わる重要な役どころが与えてもらえなくてねえ!(怒)
バンパイア・サクセションは陽にあたるのかな?双頭の鷲は…「どちらでもない」かな?
でも「和希にはこれ」という当て書きと言っていいような大きな役を演じているここ2~3年は陰の役が本当に多いですね。これって和希ファンとしてはとても嬉しいことです。
ちぎちゃんやだいもんもそうですけど、やっぱり壮絶な悲劇が似合う役者は「巧い」ってことですから。
それに加えてあのコンパクトな身長も、日本人を演じるのにすごくリアルですし着流しを着こなすのにはピッタリ!!!
夢千鳥では、じゅっちゃんをひっぱたいたり首絞めたり胸ぐら掴んだりナイフで斬りつけたり、それはもうDV男としての才能を見せつけてくれました。あんな風に胸ぐら掴まれて鬼のような顔で怒鳴られたら(でも美声)セリ美はもう震え上がっちゃいます……
さらに彦乃に膝枕してもらったり、お葉に追いすがったり、もう「ダメ男の最高峰」を堪能させていただきましたねえ。
そうなったら今度はやっぱり同じダメ男でも「ボロボロにやられる側」をじっくり堪能してみたいと願うのが今やすっかり変態として数段ステップアップした和希ファンの総意でしょう。
すごく可愛い娘役さんに「なんべん言うたら分かるんや!!!!この阿呆!!!!」とバチで殴られて「うっうっうっ…」とめそめそする息子。
「佐助!!手!!!」とヒステリックに怒鳴られて「へえ!すんまへん!!」と娘役さんの足元にかしずく息子。
こいさんが金持ちボンボンの弟子をとってその稽古を嫉妬に満ち満ちたまなざしでジトーーーーっと見つめる息子。
針を目に突き刺して「う゛う゛う゛!!!!」と畳を転げまわる息子。
ああ……夢のようよ………(恍惚)
………ハッッッッ!!!!
皆さん、ヨダレ拭いて拭いて!!いい大人がヨダレ出ちゃってますよ!!!
もうね、スーパーダンサーなもんだから畳を転げまわる姿すら美しいのよきっと…
まぁ現実的に考えればそう何度も和モノ悲劇をやるわけもないんですが、夢千鳥で「和モノの悲劇は和希にお任せ」というキャッチコピーを生み出してしまいましたので、このような妄想が広がってしまうわけですね。
そうなると相手役さんは誰がいいかしらねえ……
じゅっちゃんなんてもうあまりに想像が容易すぎて「あれ?じゅっちゃんって殉情やったことあったよね?」と勘違いするレベルです。
じゅっちゃんがあの美しい声を張り上げて「佐助!!!!」と叫び、息子がまたもや美しい声で「へえ!!!」と応える。
「なんべん言うたら分かるんや!!!この阿呆!!!(バシッ!!)」
「すんまへんこいさん!!!すんまへん!!!!ううう……」
「こいさん、わてはもうな~んにも見えしまへん……(うっとり)」
「佐助…ッッ!!!」
………ハッッッッ!!!!
皆さん、ヨダレ拭いて拭いて!!いい大人がヨダレ出ちゃってますよ!!!
いやぁ~~妄想、いいですねえ。
セリ美はどの役に化けて息子主演の殉情にこっそり紛れ込もうかしら…とか妄想はもう無限の広がりを見せます。
こいさんのお母さん役(初演は出雲 綾さん)がいいかしらねえ。こいさんの母なのに急にお芝居中に我に返って「こいさん、うちの息子をよろしくねええええいい子なのよおおおお」とか言いそうな気しかしない。
これは娘役さんが男役さんをいびり倒すという非常に貴重な様子も見られるので、いつもは男役さんの隣で控えている可憐でキュートな娘役さんが鬼のような形相でDVをはたらくという点なんかも見どころですよねえ。
だから、普段とギャップがあればあるほど春琴役はいいキャスティングになると思いますね。
あと、いつも怒鳴ってるので怒鳴り声がキンキンしてない娘役さんがいいですねえ。
あとは、当たり前ですがずっと目を閉じてるので、目を閉じたお顔が美しい人がいいかな。
じゅっちゃん以外に妄想するなら、セリ美はやっぱりくらっちかなァ~~。
しっとりした和風美人ですし、演技力と声の良さは言うまでもないしね。
谷崎潤一郎の作品は変態性が強いしご本人も真性変態なのでセリ美はもう全然読む気にはなれませんけど、そのドラマチックな展開は演劇にピッタリだと思います。
直近の再演からもう13年も経ってますし、若手の演技力を鍛えるにもうってつけの作品なので、そろそろバウで観たいな~。マノンも再演されますしね。あれも娘役さんが奔放なキツイ役ですからすごくいいですね。くらっち絶対絶対サイコーですから。初見の皆さん、楽しみにしててくださいね。
そしてできれば殉情を女性演出家に担当していただきたい。
今まではダーイシでしたけど、これを現代の女性演出家が担当したらどうなるかすごく興味深いです。
なんか近年は「全ツと博多座といえば再演」みたいな風潮ができあがってますが、チョイスされる作品は悪くはないけど…もっといい作品たくさんあるやん!!!と思うことが多いので(追憶のバルセロナなんてやらなくていいよ…)殉情で全ツはさすがに無理ですけど、こういういい作品をバウや2番手さん以下の別箱でたくさん掘り起こしてほしいです。
ダーイシといえば、好きな作品の中に「長い春の果てに」もありますね。
ダーイシにしてはすごく素敵な作品でした。あれはカレー華コンビにやってほしかったな~~。また誰かで再演してほしいな。
それではまた~~。
書くネタ溜まってるからまたすぐに更新します! ………たぶん。
夢千鳥の配信が終わり、「出世がスローなのは実力派の証!!!」っつって前回親バカぶりを爆発させてみましたけども、そして皆様から「ヨッ!!母さんいいぞ!もっとやれ!」とやんややんやの合いの手コメントもたくさんいただきまして、母冥利に尽きる思いで御座いまする。
しかし、コロナ時代に突入してから入り出がなくなってお稽古中の様子が全く分からなくなり、息子が今どんな私服を着ているのかも分からず、スカステに加入できないセリ美にとっては初日を迎えるその日まで息子の生存確認ができないというのは生きるエネルギーがまったく湧いてこないですなあ…
皆さんにコメント返しもできていませんで、申し訳ないことでございます……
入り出がなくなってからまだ自分で確認していないのですが、以前ギャラリーゾーンだった花の道のあのデッキ部分、工事が入ったんですって??
それって劇団からの「もう入り出は廃止しますからこんな場所にこんなデッキ要らんでしょ」というメッセージなのかなあ…と残念に思っております。
前にも何度か書いていますが、宝塚って、スター制度とか新公制度とか、劇団内部の制度も独自の文化ですごく面白いですけど、入り出とかお茶会とかファンが独自で作り上げた文化も無形重要文化財だと思ってるんですよね。
例えばジャニーズで言ったら入り出なんてタブー中のタブーなわけで、入り出待ちしてるファンをジャニーズタレントさんが相手してるのなんて見たことも聞いたこともないし(推しに暴言吐かれたとかいうのはよく聞く)、ましてや宝塚にはあんな風に綺麗に整列して屈伸運動の号令かける担当の人までいて、軍隊の如く訓練された整列を見せて各自手に持ったお手紙をスターさんにお手渡しして疾風のごとく持ち場に戻っていく。
あんなことが実現してるファンクラブ、きっと世界中探してもどこにもないわけで。
ああいうのもきっと音楽学校の軍隊みたいな規律から来てるもので、「大好きな贔屓もこんな風に軍隊みたいな生活送ってたんだもんなあ♡」と思えるから皆さん喜んで指示に従えるんですよね。つくづく宝塚ってのはすごいシステムですよ。
お茶会だってそうですよね。
トップさんにもなれば数千人規模のイベントを、いわば興行の素人集団が一生懸命手作りですべて運営して管理して、各国の首脳陣も利用するようなニューオータニで催されるなんて本当にすごいことで。
しかも、その参加権がぴあとかイープラとかに売ってるでもなく、とある特殊ルートでしか手に入らないとか、もっと言えば「大人会」とかいうフリーメイソンみたいな秘密の組織まで存在していて、そこに入ればスターさんと個室でお食事できるとかツーショット撮れるとかいう都市伝説も聞くし、しかもいま書いてきたその全部が劇団ノータッチとかいうとんでもねえ集団なんですよね、会って。
今はそのすべてが休止中で、みんなただ会費だけをせっせと払って「いつかきっと再開される…」と健気にコロナ退散を待っているわけなんですが、すべてが元通りになるのでしょうかねえ、ほんとに。
お茶会とか大人会なんて会の運営費のほとんどを占める一大収入源ですから、会としてはなんとしても復活させる気ではあると思うんですが、入り出に関してはただのサービスですからねえ。
生徒さんにとってもやっぱり入り出のない今は気楽というのが本音でしょうし、お稽古や本番の前後に、ある程度しっかりとした身支度をしなきゃいけないのってやっぱり負担ではあるでしょうし。
私たちだって「今日の仕事はとんでもなくハードだったわ…ようやく帰れる…」とボロボロになってる時に友達からLINEが来て「会社の前で待ってるね♪」って言われたら「今日はやめてくれええええ」と思うじゃないですか。いくら仲のいい友達だとしても。
息子だってライナスの時はイケコに毎日めちゃくちゃしごかれてかなり精神的に参ってたと聞きましたが、今日も全然褒められなくて違う違うと言われ続けて「じゃあどうすりゃいいんだイケコ…」ってなってる精神状態の時に出待ちで何か喋ってから帰るの、かなり負担だったんじゃないかなと推測します。
ファンクラブ人数も劇団には把握されてるなんていう都市伝説も聞きますし、そりゃあ入り出で神対応をしていればファンも地道に増えていくでしょうから、メリットが無いわけじゃないんですけどね。
生徒さんたちの日々の精神的負担を思うと、やっぱり「サービス」という側面が強いような気がします。
毎日朝早くから遅くまでそれに立ち会うスタッフさんたちももちろん大変ですしね。
だから、大きな収入源にもならず生徒さんにもスタッフさんにも精神的・体力的負担がかかる入り出に関してはもう廃止色が濃厚なんだろうな…とセリ美は覚悟しております。
近年は「入り出写真をSNSにあげないで」という勧告も正式に出てしまっていましたし(でもこれに関しては肖像権がどうのというよりSNSを介して写真を売買する人を取り締まりたかったという背景だと思いますけどね)、劇団としてもそういう勧告を出さずにいられるならこのまま入り出は廃止していくよう各会に要請していくような気がします。
SNSって宝塚に限らずいろんな分野で世界を大きく変えましたね。
インターネット自体が「人類はパンドラの箱を開けてしまった」なんて言われてましたけど、我々一般庶民のところまでそのデメリットが波及することはあまりなく、便利な側面だけをしばらく享受していました。
でもSNSの登場でついにそのデメリットが押し寄せてきました。
SNSいじめが原因で死んじゃう人まで出てるんですから。
宝塚におけるそのデメリットの最たるものが入り出だったんじゃないかなあ。
コロナがもしなかったとしてもSNS上では「入り出写真をアップしないで!!」という入り出警察もたくさん出動してましたから、いずれは「入り出はもうやりません」という事態になっていたような気がします。
「ひとつ何かを手に入れれば、ひとつ何かを失う」的なことで、SNSでいろんな情報が瞬時に収集できるという大きなメリットを手に入れた我々は、美しい妖精たちが朝から続々と出勤してくる華やかな風景をうっとり眺めるとか、さっきまでステージにいた妖精たちを見送れるという終演後のデザートを失いました。
宝塚の無形文化財のひとつがこうしてコロナにダメ押しをされたかたちで失われていくのはとてもとても残念ですが、諸行は無常ですからね。
きっとこれから先、何十年も何百年も続くであろう宝塚の中で、「昔は入り出というものがあってのう…」と我々が新米ヅカファンに語る日が来るのでしょうね。
贔屓に直接お手紙やプレゼントを渡したり、逆にプチギフトを渡されたりする毎日のイベントだったんじゃよ、と新米ヅカファンに語って「ええええええ?!?!なにその信じられんイベント!!!」と驚愕されましょうね。
さて、先日こんなツイートをしました。
ボン乃セリ美@bonnoserimi息子が演じたらすごくいいんだろうな…と思う原作モノのひとつに、谷崎潤一郎の『春琴抄』がある。
2021/05/18 10:58:56
宝塚では『殉情』という作品名でえまおさんとまひるちゃんが好演。
詳しくはまたブログにでも書こうっと!
ボン乃セリ美@bonnoserimi@mamiina12121 こいさんにどつかれて喜ぶドMな息子……すごくいいと思うんですよね…
2021/05/18 15:52:13
へへ…へへへへ………
そしたら他の方も「そらくん、殉情(春琴抄)似合うんじゃない?」ってツイートしていらっしゃったようで、和モノの悲劇をやらせるなら和希、という代名詞になったみたいで母はとても嬉しく思いました。
『殉情』、古参ファンじゃないとあまりご存知ない方も多いと思いますので、ここで詳しく解説しますね!
『殉情』は谷崎潤一郎の『春琴抄』という小説の舞台化なんですけど、春琴抄を題材にしたという意味では、宝塚での初演は大地真央さんの1982年の大劇場お披露目公演『愛限りなく』という作品になるのかな。
でも、先人たちの『愛限りなく』の感想を見ると、「登場人物とかは沿ってるけどあれは爽やかすぎて春琴抄じゃない」という声が多いですね。
で、次に公演したのが絵麻緒ゆうさん主演、月影 瞳さんヒロインの『殉情』になります。1995年ですね。まだ宙組も誕生してない頃なので、セリ美もヅカファン覚醒前です。
それが非常に評判良く、絵麻緒さんのトッププレお披露目公演で再演され、ヒロインは紺野まひるちゃんでした。
セリ美はスカステでこれを見たことがありまして、「うわ~~~すごい強烈な作品だなぁ~~~!!」とびっくり。
セリ美は原作を読んでいないので(谷崎潤一郎が苦手)(下ネタ嫌い)春琴抄ではなくあくまで『殉情』のあらすじを説明しますと、『天は赤い河のほとり』のような、現代人カップルが幕開きすぐ登場して、ひょんなことから過去の人物に想いを馳せて場面転換、時代が遡って当時の人物たちが登場する…という仕組みの劇です。
一言で言えば、「究極のマゾ物語」です。
踏みつけられてなじられて、血流れるまで殴られて最高の悦びを感じている主人公の話です(笑)
え?ヒロインがそんなに主人公を痛めつけるの?!って??
そうですよ!ドSヒロインとドM主人公の純愛物語ですから!!
ヒロインの名前は琴さんとか春琴(しゅんきん)とか言いますが、主人公の佐助は春琴さんのことを「こいさん」と呼びます。
それに倣ってここでも「こいさん」と呼びますね。
こいさんは結構なお金持ちの家の娘として生まれますが、幼い頃に病気が原因で失明してしまいます。
でもそのおかげで聴覚がとても発達して、三味線の才能を開花させ、美貌も大人になるにつれ匂い立つような色香をまとっていきます。
しかし、生まれながらの気性の激しさに加えて、視力を失った可哀想な子ということで両親もこいさんを甘やかし、三味線の腕も一流で美貌も備えているというのに、とにかく性格が悪い。
そのこいさんの世話係として丁稚(でっち)(住み込みの使用人ってところかな)に来ていた佐助がこいさんから指名を受けるようになります。
昔は「丁稚奉公(でっちぼうこう)」と言って、長男以外の男児は将来家を継ぐ権利もないのに生活費だけはかかる存在なので、幼少期を過ぎたら大きな商家とかに丁稚奉公に出されてそこで少しずつ商売のノウハウなどを盗み、商売の才能のある子はいずれ奉公を終えて自活できるようになるというシステムがありました。
または、親がその商家に借金をしていて、そのカタに子供を預けて「奉公」させるというパターンも。ひどいシステムですなあ。
セリ美の祖父もどうやら丁稚奉公に出たことがあるらしいんですが、そこでの詳しい話は聞けずじまいでしたねえ。
昔ってモラルや倫理、道徳心なんてあったもんじゃないですから、けっこう意地悪なご主人や奥さんが多かったみたいで、暴言や暴力を受けた丁稚の子供たちのほうが多かったと聞きますけどね。
その丁稚時代の苦しい思い出のせいもあり、戦争に駆り出されたということもあり、セリ美祖父も人間性が歪んでしまったのかもしれないなあ。
それぐらい人間の尊厳を踏みにじった制度ですよね、丁稚奉公って。
で、他の使用人はこいさんのあまりの気性の激しさやわがままに匙を投げる中、佐助だけはこいさんがどんなにひどいわがままを言っても「へい」「へい」となんでも言うことを聞いたからでしょう、こいさんのご両親も「佐助を娘の専属お世話係に」と指名しました。
そのうちに佐助もこいさんのように三味線を弾いてみたいと夢を抱くようになり、陰でこっそりと独学で練習しはじめますが、それがこいさんに見つかり、最初は「お前ごときが何をしてんのや!!!」と怒鳴られますが、正式に弟子入りを許されます。
こうして佐助とこいさんは「お嬢様と専属お世話係」でありながら、「師匠と弟子」という関係、さらに男女の仲でもあるという、深い深い関係になっていきます。
だってこいさんは目が見えない上に超わがままなので、トイレに行くなりお風呂に行くなり、自分でできるように練習などしませんからね。
「佐助!」と呼びつけ、おしり拭きからなにから全部やらせて、つまりは性処理もさせてるわけですから。原作では妊娠までしちゃってますからね。「佐助なんかの子供なわけがない」と断固として認めずに里子に出してしまいますけども。最低ですねえ。
佐助はこいさんが好きだとか憧れるとかいう気持ちを凌駕して、もう崇拝の域ですね。神として崇め奉っているので、どんなにひどいことをされてももはやそれは至上の悦びでしかないわけです。
三味線のお稽古でこいさんの言うとおりに佐助が弾けないと何度も何度も執拗に怒鳴り、三味線のバチで顔を殴り、流血させ、佐助は男ながらに「うううう…」と泣き声を上げる。
こいさんの怒鳴り声と佐助が泣くその声は毎晩お屋敷中に響いていたそうですが、きっと佐助はこいさんが自分だけを見つめて怒鳴ったり殴ったりしてくれることに興奮し、泣いている自分に陶酔し、恍惚の気分だったに違いないでしょうね。
いや~~~ヘンタイ。なかなかのハイレベルな変態ですよね~。
夢二に殴られて「そうよ、もっと嫉妬して殴って!」と悦んでる他万喜と同じってことですね。一見、可哀想な被害者に見えますが実は殴らせてるのは他万喜のほうで、相手を激昂させることで自分に気持ちを向けさせ、束縛してるというわけです。
佐助も一見こいさんの下僕に見えますが、実は束縛してるのは佐助ということです。変態~~。
そして事件は起こります。
こいさんの美貌に一目ぼれした金持ちのボンボンがこいさん目当てに「三味線を教えてほしい」と申し出てきます。
こいさんは気性が荒いので、そんな邪な気持ちで気軽に練習しにきた才能のないヘナチョコ男のしょーもない三味線技術に相変わらず激怒し、殴ります。
佐助は筋金入りのハイパーど変態なので殴られても悦びしか感じませんが、そりゃあ江戸の男尊女卑時代に男が女に殴られて怪我させられたなんて、普通の男は「このクソアマが!!!!」ってなもんですよね。
その金持ちの男はこいさんへの仕返しに、こいさんが寝ているところに忍び込んで顔に熱湯をぶっかけます。
こいさんの美しい顔は焼けただれ、その醜くなってしまった顔を佐助にだけは見られたくないと思ったこいさんは佐助を遠ざけます。絶対認めないだろうけどやっぱり佐助のことが好きなんですね。
教祖であるこいさんと会えない日々なんて、スーパーエキスパート変態の佐助が我慢できるはずがありません。そんな人生に意味などありません。
そして佐助は気付きます。自分の目が見えなくなればいいんだ、と。
そうすればこいさんも安心してくれるし、なによりも自分もこいさんが生きている真っ暗な世界を共有できるというこの上ない悦び。
そう気付いた佐助は縫い針を持ち出し……自分の眼球めがけて一気に……
突き刺す!!!!!
うぎゃおおおおおおおおおおおお!!!!!!
反対側の目も………
突き刺す!!!!!!!!!!
うぎええええええええええええええええええ!!!!!
こいさん……わて、もう見えまへん……これでこいさんのお顔が見えることはありまへん……へへへ……
さ、さ、さすけええええええええええええ!!!!!!!!!!
この佐助の行為に大感激したこいさんは(これもまたスーパー超ド級の変態レベル)佐助と生涯添い遂げました……
みたいなお話です。
絵麻緒ゆうさんのあとに2008年宙組にて再演され、ちぎちゃんと蓮水ゆうやさんが役替わりで主演もされました。
宝塚ではかなりすみれコードギリギリの変態作品ですが、こんなに再演されているということはやっぱり人気公演であったのだろうし、なにより演者の生徒さんたちの熱演がすごかったんだと思います。
役者としての成長も、何ステップも駆け上がることのできる作品なのでしょうねえ。
セリ美はちぎちゃんバージョンはまだ見たことはないんですが、ちぎちゃんが佐助にぴっっっったりだということは容易に想像できます。
ちぎちゃんってご本人はあんなにパワフルで元気印な陽の人なんですが、お芝居ではほんとにシリアスが似合う人だな~と思います。
ニジンスキーも素晴らしかったですもんね。今のところ原田作品で唯一好きな作品です。
思えば、ニジンスキーも本来はすごく性的描写のドぎつい部分がある作品ですし、ちぎちゃんってそういう品性に欠けるような演出でもすみれコードギリギリの絶妙なラインで演じることのできる稀有な役者さんだと思います。
色気と下品って似て非なるものですから、宝塚で演じるにはものすごく演者さんの品性や技量が試されると思います。
お芝居って喋り声の良さも必要とされるので(息子の地声はもう天性のものですわねオホホホ)、生まれつき発声が明瞭じゃないとか、男役で言えば高すぎる声とか、生まれながらにして持ってる声質でお芝居が巧くも拙くも見えてしまうもので。
ちぎちゃんは男役としての声はあまり有利とは言えないのに本当にお芝居が素晴らしかった。
きっとご本人の真摯で謙虚な姿勢や役柄の心情を深く追求できる勘の良さや聡明さがずば抜けていて、そこにあの美しいお顔も手伝って、演出家が「この子にこういう役をやらせてみたい」と思うような生徒さんになったんじゃないかなと思います。
ゆえにトップ就任後に満員御礼を続けるという記録に繋がっていったのかなと分析します。
ま、ミズさまとは宙組と雪組で一緒でしたから、ミズさまからたくさん大切な芸事を教わってくれたという背景もあるでしょうけどねえ。ええ。ええ。間違いなくそうですとも。
まぁそんな和モノの衝撃的悲劇といえば、今や夢千鳥を大成功させた息子の真骨頂みたいな役柄になりました。
やっぱりそういう作品って小劇場だからこそ、その迫真の演技が伝わるというものだし、「タカラヅカ初めて観に来ました~♡」という一見さんにあんなもんを見せたら宝塚に対する大いなる勘違いが生まれそうなのであまり向いておらず、玄人だけが観るバウだからこそその凄さが分かるものだと思うので、何度も言いますけども栗田先生には本当によくぞ息子に夢千鳥というバウ作品を与えてくださったと感謝してもしきれない気持ちでございます。
壮麗帝といいリリーといい、近年はいいお役に恵まれて、運も味方についてきましたねえ。
息子曰く「運も実力のうち」ですからね。
ちょっとここで今までの息子が演じてきた大きな役柄を陰と陽で並べてみましょうか。
心にモヤモヤとか陰を抱えている役を「陰」として、明るいキャラクターを「陽」としてみました。異論があったらごめんくさいね。
※すいません、WWSじゃなくてWSSでした…
意外と陰が多いんですねえ!
本当はもっとたくさんの役を表に並べたいんですが、本公演ではなかなか物語に関わる重要な役どころが与えてもらえなくてねえ!(怒)
バンパイア・サクセションは陽にあたるのかな?双頭の鷲は…「どちらでもない」かな?
でも「和希にはこれ」という当て書きと言っていいような大きな役を演じているここ2~3年は陰の役が本当に多いですね。これって和希ファンとしてはとても嬉しいことです。
ちぎちゃんやだいもんもそうですけど、やっぱり壮絶な悲劇が似合う役者は「巧い」ってことですから。
それに加えてあのコンパクトな身長も、日本人を演じるのにすごくリアルですし着流しを着こなすのにはピッタリ!!!
夢千鳥では、じゅっちゃんをひっぱたいたり首絞めたり胸ぐら掴んだりナイフで斬りつけたり、それはもうDV男としての才能を見せつけてくれました。あんな風に胸ぐら掴まれて鬼のような顔で怒鳴られたら(でも美声)セリ美はもう震え上がっちゃいます……
さらに彦乃に膝枕してもらったり、お葉に追いすがったり、もう「ダメ男の最高峰」を堪能させていただきましたねえ。
そうなったら今度はやっぱり同じダメ男でも「ボロボロにやられる側」をじっくり堪能してみたいと願うのが今やすっかり変態として数段ステップアップした和希ファンの総意でしょう。
すごく可愛い娘役さんに「なんべん言うたら分かるんや!!!!この阿呆!!!!」とバチで殴られて「うっうっうっ…」とめそめそする息子。
「佐助!!手!!!」とヒステリックに怒鳴られて「へえ!すんまへん!!」と娘役さんの足元にかしずく息子。
こいさんが金持ちボンボンの弟子をとってその稽古を嫉妬に満ち満ちたまなざしでジトーーーーっと見つめる息子。
針を目に突き刺して「う゛う゛う゛!!!!」と畳を転げまわる息子。
ああ……夢のようよ………(恍惚)
………ハッッッッ!!!!
皆さん、ヨダレ拭いて拭いて!!いい大人がヨダレ出ちゃってますよ!!!
もうね、スーパーダンサーなもんだから畳を転げまわる姿すら美しいのよきっと…
まぁ現実的に考えればそう何度も和モノ悲劇をやるわけもないんですが、夢千鳥で「和モノの悲劇は和希にお任せ」というキャッチコピーを生み出してしまいましたので、このような妄想が広がってしまうわけですね。
そうなると相手役さんは誰がいいかしらねえ……
じゅっちゃんなんてもうあまりに想像が容易すぎて「あれ?じゅっちゃんって殉情やったことあったよね?」と勘違いするレベルです。
じゅっちゃんがあの美しい声を張り上げて「佐助!!!!」と叫び、息子がまたもや美しい声で「へえ!!!」と応える。
「なんべん言うたら分かるんや!!!この阿呆!!!(バシッ!!)」
「すんまへんこいさん!!!すんまへん!!!!ううう……」
「こいさん、わてはもうな~んにも見えしまへん……(うっとり)」
「佐助…ッッ!!!」
………ハッッッッ!!!!
皆さん、ヨダレ拭いて拭いて!!いい大人がヨダレ出ちゃってますよ!!!
いやぁ~~妄想、いいですねえ。
セリ美はどの役に化けて息子主演の殉情にこっそり紛れ込もうかしら…とか妄想はもう無限の広がりを見せます。
こいさんのお母さん役(初演は出雲 綾さん)がいいかしらねえ。こいさんの母なのに急にお芝居中に我に返って「こいさん、うちの息子をよろしくねええええいい子なのよおおおお」とか言いそうな気しかしない。
これは娘役さんが男役さんをいびり倒すという非常に貴重な様子も見られるので、いつもは男役さんの隣で控えている可憐でキュートな娘役さんが鬼のような形相でDVをはたらくという点なんかも見どころですよねえ。
だから、普段とギャップがあればあるほど春琴役はいいキャスティングになると思いますね。
あと、いつも怒鳴ってるので怒鳴り声がキンキンしてない娘役さんがいいですねえ。
あとは、当たり前ですがずっと目を閉じてるので、目を閉じたお顔が美しい人がいいかな。
じゅっちゃん以外に妄想するなら、セリ美はやっぱりくらっちかなァ~~。
しっとりした和風美人ですし、演技力と声の良さは言うまでもないしね。
谷崎潤一郎の作品は変態性が強いしご本人も真性変態なのでセリ美はもう全然読む気にはなれませんけど、そのドラマチックな展開は演劇にピッタリだと思います。
直近の再演からもう13年も経ってますし、若手の演技力を鍛えるにもうってつけの作品なので、そろそろバウで観たいな~。マノンも再演されますしね。あれも娘役さんが奔放なキツイ役ですからすごくいいですね。くらっち絶対絶対サイコーですから。初見の皆さん、楽しみにしててくださいね。
そしてできれば殉情を女性演出家に担当していただきたい。
今まではダーイシでしたけど、これを現代の女性演出家が担当したらどうなるかすごく興味深いです。
なんか近年は「全ツと博多座といえば再演」みたいな風潮ができあがってますが、チョイスされる作品は悪くはないけど…もっといい作品たくさんあるやん!!!と思うことが多いので(追憶のバルセロナなんてやらなくていいよ…)殉情で全ツはさすがに無理ですけど、こういういい作品をバウや2番手さん以下の別箱でたくさん掘り起こしてほしいです。
ダーイシといえば、好きな作品の中に「長い春の果てに」もありますね。
ダーイシにしてはすごく素敵な作品でした。あれはカレー華コンビにやってほしかったな~~。また誰かで再演してほしいな。
それではまた~~。
書くネタ溜まってるからまたすぐに更新します! ………たぶん。
コメント
コメント一覧 (6)
朝から、濃厚な記事で、ごちそうさまでございます。
百恵ちゃんの映画で、ぞわぞわした気持ちになった大昔の自分を思い出しました。
宝塚でも色々やっていたのですね、私はどれも未見です。
スカステで文豪作品特集でもしてくれないかな。
スカステ観られないと、宝塚ロスになりますよねえ。私はスカステのおかげで、ステイホームが苦じゃないですもの……
殉情…息子さんのお相手として、じゅっちゃんに続いて夢白あやちゃんはどうでしょう。シルクロードでのあーさ、あやちゃんの並びはS×Sを感じましたわ。
ちぎちゃんのお芝居いいですよね。ロミジュリファンの友人から過去の公演の録画をもらいまして、彼女の推しマーキューシオはちぎちゃんでした。たしかに、セリフの合間もちぎちゃんから目が離せませんでした。雪組公演では、緒月さんティボルトとの絡みが狂犬のケンカみたいで、今回の星組よりアダルトな印象。咲ちゃんが死!とか、過去の映像は興味深いですね。
花の道のデッキ、工事中なんですね。会には入っていないけれど、妖精の入出や会の皆さまのご様子を眺めさせていただく幸せな時間が語り草になるのでしょうか。
ともあれ、休演なく公演を全うされますように。
エェッ!?!
スカステ加入していらっしゃらなかったんですか?(いきなりか?)
いつぞやTwitter上で、スカステ加入についてやり取りして、セリ美さんはてっきり、とっくにスカステ愛好者になられたとばかり.....
のんのんは、引っ越しに合わせていったん契約を解約。
新しい住まいでBSCS対応のアンテナを設置したものの、住まいのTV配線がBSとCSで分かれているためにCSを見るためには、もう1機アンテナを付ける必要がある と工事業者さんに言われ、そこまでして、今スカステに執着必要ある?
という心の声が聞こえてきて、スカステ難民となりました💦
あ〜〜あ💦おまけに、グラフや歌劇を売ってる本屋さんも近場にはないし、生観劇も当分ムリだし、一気に宝塚難民ですヮ┐(´д`)┌ヤレヤレ
さて、そうそう「殉情」。のんのんは、ちぎちゃんの「殉情」スカステで見ましたよ。確か、春琴はちぎちゃん同期の和音美桜。セリ美さんがおっしゃるように、芝居巧者のちぎちゃんだけに、いじめられていじめられて尚自分の全てを捧げ尽くす純愛を通り越したM愛佐吉を見事に演じてました。
そうかぁ〜〜〜
そらくんに佐吉ねー
確かにいいかも。
ただ、のんのんは、ちなつさんにも似合うかな〜〜と思ったりします。
ちなつさん、この度のたま&さくらコンビ退団公演では、残留となりましたが、次のれい&うみコンビお披露目では、もしや.......と、戦々恐々でございます。
文豪作品特集、いいですねええ!!!
うちの息子含め、明治大正昭和の文学作品に流れる特有の閉そく感ゆえのパワーや美しさが似合う生徒さんっていますもんねえええ
セリ美が思いつくところでは、春琴抄以外はみりおさんの春の雪とか、ね。
そして今後もたくさん舞台化してほしいなあ。
タカラヅカ=フランス、みたいなイメージが強いですけど、やっぱり日本人だからこそ表現できる細かな心情ってありますもんね~。平安でも戦国でも江戸でも明治でも昭和でもいいから、和モノもっとやってほしいな~~。
マスクってヨダレ隠しにほんとに便利ですよね~~。外出時でも目だけメイクすれば済むし、有難いわあ。
夢白ちゃんですか!確かに、隠しきれないあの気の強さ…!!!
SAPAでは娘役の枠を飛び越えたすごいハードなお役でしたねえ。あの「痛いの!!薬を頂戴!!!」というドス声が忘れられない…
ヴェネチアの紋章はセリ美は映像でも未見でして、夢白ちゃんはきっと2番手娘役のお役なんでしょうが、どんな仕上がりになるのでしょうねえ。
ロミジュリ、なんだかセリ美は全然ご縁が無くて、音月さんverもチエちゃんverも琴ちゃんverも観られず仕舞いでした…別に避けてるわけでもないのになァ。
今の星組は琴ちゃんをはじめ、アイドル系の子が多いから「若気の至り」感が強いロミジュリなんでしょうね。そこに愛ちゃんというピリッとしめてくれる存在があってバランスいいみたいですね~。いつか誰かがスカステ放送の録画をセリ美にくれるといいな……
スカステはね~~…ミズさま時代はスカステ開局と同時に加入して、地上波なんて目もくれずに毎日毎日毎日スカステ漬けの数年間を送っていましたが、ミズさまをお見送りして、セリ美も実家を出て一人暮らしをするようになり、そのうちに息子を見つけて「数年ぶりにスカステでも入ろうかな!」なんて思ったらアパートがCS対応不可ということでね……難民になってしまいました…
でも「いつか宝塚市民になる!」という最後の夢を叶えるつもりでいるので、そのときこそ加入するつもりでおります!
いくら好きでも、やっぱりスカステも無し、読み物も手に入りにくい、観劇など相当の準備をしなければ行かれない環境…となるとどうしても情熱は薄れがちになりますよねえ…
セリ美もいつも結構そこの「憧れ力」の維持には苦労しております……いつかそのことについてもブログで書きたいなと思っております!
佐助にちなつさん!!!!
素晴らしいじゃないですかあああああ!!!!
いや、ちなつさんにできないお役なんてもはや無いですけど、献身的に、狂ったようにこいさんに尽くすちなつさんの姿…!!目に浮かぶようですわ!!
ちなつさん、このまま本当に別格で終わってしまうのでしょうか…
コロナで劇団もかなりの赤字を出したと聞きますので、満を持してちなつさんをトップにしたら、各組に潜んでいる隠れキリシタンならぬ隠れちなつファンがもそもそと観劇に通うこと請け合いですよねええええええ!!!
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