ちょっと宝塚ライターとしての仕事のペースが上がってきておりまして、そうなるとブログを書く時間が削られるのでなかなか難儀ですなあ。
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久しぶりに真面目な文章書いたのでなんか変な感じ。
いろんな宝塚関連のweb媒体でライターやってきましたけど、当然ながら管理人さんたちの考え方や仕事のしかたはそれぞれ違うので、それに合わせるのがなかなか大変だったりします。
ライターとしてもそこそこ実績はありますし、ヅカファンとしてもそれなりに知識は詰め込まれているほうだと思うので、最初は「セリ美さん、すごくいいです!素晴らしい仕上がりです!」と言ってくれていても、だんだん注文が細かくなっていって「もっとこんな感じに書いてほしい」と何度も書き直しを命じられるようになってしまったり、逆にだんだん丸投げになってきたり。
やっぱりこういう趣味性の高い書き物は報酬がすごく低いんでね。
千円前後の原稿料なのに何度も書き直させられたらそりゃあ、ねえ。
こちらもそれなりにスキルと知識があることは自覚があるので、「そんなに気に入らないなら自分で書きなよ」という気持ちになってしまうんですよねえ。
あとはやっぱりどこまで個人的な感想を入れていいのかも難しいですね~。
「この作品、全然好きじゃない」と思っても褒めたたえなきゃいけないしねえ。
そのあたりが趣味を仕事にすることの難しさですよね。
知識が増えれば増えるほど、歴が長くなればなるほど、自分の好き嫌いも明確化してきますしね。「好きじゃないゾーン」に入った生徒さんや作品を述べるときに非常に困ってしまいます。
それでも書かねば。チケット代のために!ミズさまと息子のために!
さて、卵黄………いや、桜嵐記のレポです。
今回は個人評ですね。さっそくいきましょう。
たまさん。
セリ美個人的にはたまさんのことは好きでも嫌いでもない、「ご近所さん」という感じでした。(カインズとかドンキがあるので蒲郡によく行きます)
でも、皆さんが仰っている「理想の夫」という個性はよ~~~っく理解していました。あの温かで誠実な目線や包容力のあるがっちりボディー、優しくてやわらかい声。
リビングでテレビ見ながらいびきかいてる腹の出た夫を持つ世の主婦たちのハートを大きく包み込んでくれる男役さんであることはしっかり理解しています。
でも、今回でさらに理解できました。
たまさんのヒーロー力。
よく娘役さんに対して「ヒロイン力」という言葉が使われますが、男役さんにも「ヒーロー力」は当然求められます。
でも娘役さんに与えられる役柄よりは、男役さんに与えられる役柄のほうがバリエーションが豊富なので、大人っぽい役が得意な男役さんもいれば、若々しいキャラクターが得意な男役さんもいたり、クールで無口な役が得意であったり、「真骨頂」はそれぞれ違うものをお持ちですよね。
そんな中でも、いわゆる「弱気を助け、強きを挫く」「勧善懲悪」「正義の味方」という形容詞が当てはまる「正統派ヒーロー」を演じたたまさんはもう無敵ですね。
悪の組織に捕まって地下に監禁されているところに、鉄の扉を蹴破って「遅くなってごめん!」と椅子に括り付けられた縄をほどいて優しく抱きしめてほしいジェンヌさんナンバーワンです。
しがない一般市民である我々ヅカオタが一体どういう経緯で悪の組織にさらわれて地下に監禁されるのかは分かりませんけども。
あの健康的で厚い胸板に飛び込んで「怖かった…」とウソ泣きをして、たいして痛くもない手首の縄の跡を見せて「痛かったね」と優しくスリスリしてほしいですね。
「痛いのおおお頭も痛いのおおお」と泣きついて頭をナデナデしてもらったり、「痛いのおおおなぜだか背中も痛いのおおお」と背中をさすってもらったり、「歩けないのおおお足が痛いのおおお」とおぶってもらったり、たまさんの優しさにつけこんでやりたい放題したいですね。
BADDYではまさかの真逆の「俺はワル」というキャラクターを思い切って当てはめて大成功したくーみんですが、今回はもうド直球、たまさんの退団公演に超ふさわしく、「珠城りょうといえばみんなこれでしょ?」というど真ん中を射抜いてきやがりました。
忠義のために自分の命を棄ててでも信念を貫き、桜と共に散っていく姿はまさに「日本の美」そのものでした。
特に印象的だったのは、さくらちゃんとついに結ばれる、という時のたまさんの眼差しですね。
もうね、燃え上がってました。たまさんの瞳の中に炎が見えましたね。
いつもは非常におだやかな表情のたまさんが、あんな情熱的な眼差しをするなんてびっくりしちゃいましたよ~。
これ、ショーのデュエダンのときもそうでした。燃えるようなまなざしでさくらちゃんを見つめてた。
いつもは「このバッグが欲しいの?いいよ~僕が買ってあげる。今日は焼き肉が食べたい?いいよ~僕が予約しておくね。ディズニーランド行きたい?いいよ~明日は休み取るから行こうか~」みたいな穏やか・優しさの塊みたいなたまさんが急に燃える目で見つめてくるそのギャップですよね。
たまさくはただ見つめ合っているだけなのに、「な、なんて眼差しでさくらちゃんを見るの…!!」と、真っ赤になったセリ美は指の隙間からあのたまさんをかろうじて見ることができました。
眼差しだけで人物の感情を表現できるというのは、素晴らしい技術ですねえ。
あの燃え上がる眼差しで2人は最初で最後の熱く儚い一夜を過ごし、たまさんは今生にもう思い残すことはなく、楠木家の信念を守るために戦場に赴いて行ったんだとよく伝わり、桜吹雪を背に戦場に現れた姿にもう惚れ惚れ。
セリ美が録画してでも見ているEテレの番組「100分de名著」では(ちなみに今のところいちばん刺さった本は『ディスタンクシオン』https://dokushojin.com/review.html?id=7970趣味の本質を社会構造にあてはめた画期的な理論。ヅカファンのセリ美に刺さりまくりました)、このまえ三島由紀夫の『金閣寺』を扱ったんですが(ほんとに三島由紀夫って紙一重の人ですよねいろいろと)、そこでも「戦地に赴く夫を見送る妻が別れの儀式を行う」という場面が出てきました。
戦争が行われていた時代の男女はこのように「きっともう二度と会えない」という気持ちで向かい合っていたわけで、特に楠木正行と弁内侍は結婚してるわけでも許嫁なわけでもない、たったいま想いが通じ合ったカップルなのに、もう明日には永遠の別れが待っているわけです。いま、この瞬間がすべてなわけです。
その「いまこの瞬間、この人を全身全霊で愛す」という情熱が、数十秒のセリ下がりの間でよく表現されていて、だいもんみたいな熱情型と穏やかな空気を持つたまさんは対極にいるイメージだったんですが、たまさんにもこんなに情熱を宿す部分があったんだ!とびっくりしました。
よく考えてみれば、BADDYのデュエダンもすごく情熱的でしたよねえ。
また100分de名著ネタで申し訳ないんですが、渋沢栄一の著書『論語と算盤』を扱った際に、「対極のものを融合させる美学」が主題としてあって、BADDYも「善」の概念であるちゃぴと、「悪」の概念であるたまさんが、憎しみを持ちながら対峙するけど、ダンスが昂ぶっていくうちにそれが愛に変わって溶け合っていく、みたいな終わりを迎えました。
その「対極のものを融合させる美」ということで、好青年のたまさんにあえて「悪いコト」をさせたのかなって思いました。
この桜嵐記の楠木正行は、とにかく「私」を抑えて、南朝のために生きて南朝のために死んでいった「公」の人物ですが、この弁内侍との場面だけは押さえきれない私情が爆発するわけです。
「公」が「私」と融合したその瞬間に美しさがある、そんな『論語と算盤』的な美学が見えた素晴らしいセリ下がりでした。
楠木正行の生きざまはまさに桜のようでした。
絢爛に豪勢に一気に咲き誇り、潔く一気に散っていく。咲く姿も散る姿も美しく、まあやがどこかのインタビューで「久美子先生が、『強く厳しいことは美しい』と仰っていた」と言っていましたが、くーみんの追求する「美」を完璧に表現できていたような気がしますね。
楠木正行の人生は、たまさんの宝塚人生にも通じるものがきっとあるでしょうから、全身全霊で演じ切ることができる最高のお役ではないでしょうかね。
はい、さくらちゃん。
さくらちゃん、前回のピガールで初めてじっくり観させていただいたんですが。
まぁ作品が作品だし、お役もお役だったので「いつもより強調してこういう台詞回しにしたのかな」って思っていたんですが、やっぱり龍真咲一派だったんですね。
さくらちゃん、スカステの音楽学校のCMに出てるじゃないですか。レッスン風景のバックでさくらちゃんのナレーションが流れていますが、最初セリ美はそれがさくらちゃんじゃなくてアナウンス専門の人がやってるのかと思ったんです。
それほどすごく綺麗な声で抑揚も聴きやすくて、声の綺麗な子なのね~と惚れ惚れしたんですけども、それが台詞になるとどうしてああなっちゃうのだろう…
せっかく声があんなにいいんだから、あんなにこねくり回さなくても…ちょっと大芝居が過ぎるなあ。
なんかもう最終的には歌舞伎とかコントみたいに聞こえてきました。
まさおさんもそうだったなあ。
お好きな方にとってはあの「まさお節」がきっとたまらないのだろうと思うのですが、好き嫌い分かれるだろうな~という感じのスターさんですよね。
まかぜも「まかぜ節」なるものがありますので、それが「たまらない!」となるか、「気になって仕方ない」になるか、もうそれは好き好きですからね。
だから、さくらちゃんがヘタだとかそういうことではなくて、あの強烈な個性を「たまらねえ!」と思うか、「もっと自然にやってよ~」となるか真っ二つに分かれるだろうな、と。
そしてセリ美は後者である、と。
途中、「和モノやる娘役さんってみんなこんな台詞回しだったっけ??」と分からなくなり、くらげちゃんの台詞回しを聞いてみたらすごく自然だったので(笑)、やっぱりさくらちゃんならではなのねと確認できました。
一方で、ショーになったらもう本領発揮!!って感じですね。
とにかく、華やかな存在感!藤原紀香さんみたいな感じで、細いんだけど肉感ある魅力的なスタイルで、まぁセンターが似合う!派手な衣装が似合う!
セリ美は男役さんを蹴散らすほど存在感のある娘役さんが好きなので、「行け行け~!!」と爽快感すら覚えました。
ミュサロでもかなり攻めた衣装だったじゃないですか。ああいうの素晴らしいと思います。娘役は男役さんの添えものなんかじゃないんだぞ!個性出してくぞ!!って感じの。
そのへんもすごく龍真咲一派って感じですね。
すごく自己主張の強いお方なのかな?と思いきや、たまさんと添い遂げるということで、英断だったように思いますね。
貫禄ある美女なのできっと退団後も女優としてご活躍されるでしょうね。
はい、れーこちゃん。
れーこちゃんはもうほんとにいつトップになってもいいくらいのすごい貫禄ですなあああ!
ピガールのときに「急にめっちゃ貫禄出た!!」と驚き、でも劇場支配人という役柄だからそのように見えたのかな?と思っていたんです。
でも、間違いなくもうあれはトップさんのオーラになってますね。
今回、ベタベタの河内弁を喋って、性格は戦好きの野心的な男。もうれーこちゃんと共通するものなにもないじゃないですか。
でも、あんんんんな綺麗なお顔なのに、戦好きのなにわ男にしっかり見えましたもんね~。
セリ美は浅草の人間なので河内弁なんて全く分かりませんけども(江戸弁はけっこう喋るよ!)(落語家さんが喋ってるような「冗談じゃないよお前さん!」とか「するってえとどうだい!」みたいなリズムのやつ)、れーこちゃんの河内弁はきっとネイティブの人が聴いてもすごく上手に喋っていたように思います。
楠木3兄弟、三者三様に個性が全然違って、その役作りが全員お見事で、れーこちゃんに託された役割を完璧に演じ切っていました。
家督を継げない立場で育ってきた3男だからこそなのか、末の弟なのにいちばん野心的で、なんとか名を上げてやろうと虎視眈々狙ってるんですね。
たとえ自分が所属する南朝を裏切ったとしても、まずは自分の武勲を立てることのほうが先だ、という考え方の持ち主なんですけど、兄二人の生き様を見てその考え方を変えていく過程もすごくドラマチックで説得力がありましたね。
「お前は生きろ!」とたまさんに未来を託されて泣く泣く兄を置いて立ち去っていく姿はもう仁義に生きるなにわ男にしか見えませんでした。
れーこちゃんの老年を演じるるう組長ともしっかり話し合いをして念入りに誠実に役作りをしたんだろうなという姿勢が見えて、本当に素晴らしかった。
くらげちゃんとの並びもとても上品で大人っぽくて、こりゃ今後の月組の安泰は約束されてますね。
あとは作品に当たることだけ…頼むよ劇団!!!
なんでか分からないけど、トップコンビご本人たちもすごく魅力的で実力も申し分ないのに全然作品に恵まれないまま最後の作品になってしまった…っていうコンビがたま~にいるんですよね。
息子に夢千鳥が巡ってきたように、この素敵なコンビにピッタリの名作がどうか来ますように。
れーこちゃんって、声や佇まいがなぜだかなんとなく昭和感のあるスターさんのように見えるので、岡田先生のロマンチックレビューとか、まさにダルレークみたいなこってりねっとりした作品が合うと思うんですよね。
くらげちゃんも娘役芸を正確に身に着けた正統派娘役さんだと思うので、きっと素敵に絡んできてくれるでしょう。
プレお披露目は博多座で和モノ、まずはすごくいいセレクトですね!
川霧の橋ってセリ美は見たことないのですが、宝塚の財産である柴田作品ですし期待大です!(博多うまいもんツアーしながら行きたいけど予算的に無理だろうな…)
はい、お待たせ!ちなつさん!
セリ美はね、月組さんはそんなに観劇回数は多くないんですが、いつもいつも観劇帰りには阪急電車内で爆発しそうな胸を抑えながら溢れる想いを指先に込めてスマホでイラストを描き、ヅカ友さんに送りつけるという謎の恒例行事があるくらい、ちなつさんを見せられるともうどうしていいか分からない面持ちになるのです……
過去の送りつけイラスト一覧↓↓
そう、悩める乙女になってしまうんですね…
これはもちろん息子に対する想いとも全然違うし、ミズさまへの崇める気持ちとも違う。
ハイティーンに経験する片想いのような感情なのでしょうか…
そして今回も例にもれず、また悩める乙女になってしまいまして……
ちなつさんのアドレスなんて知るわけがないのに、なぜかちなつさん宛てにメールを打ち出してしまうという悩ましい気持ちを表現してみました。(本文も頭おかしい)
ちなつさんって…なんなんでしょうね……
女役さんやったってお美しいから、「オトコ!」というキャラクターというわけでもない。
かつて蘭寿さんが付けられた異名「赤面王子」のように、キザりまくり釣りまくりというキャラでもない。
「俺を見ろ!!!」ってほど自己主張が強いタイプでもない。
カレーさんれーこちゃんあーさみたいに、「顔がいい!!!」という正統派美形というわけでもない。
琴ちゃん・息子みたいに「うっっっっま!!!歌もダンスも超人的!!」という男役さんでもない。
それなのに、釘付けになってる乙女が日本中にどれだけいるのでしょうか…
もちろん、根底には徹底的に叩き込まれた男役の基礎がしっかりあるんだと思います。
セリ美はダンサー好きですが、ダンサーってのは早く回れればいいとか高く跳べればいいとか脚めっちゃ上がるとかそういうことじゃなくて、いちばんの正解は「美しいこと」なんだと思うんですね。
だから、ダンサー扱いは決してされてないけどすごくダンスの好きな男役さんっているんです。
その最たる人が、春野さんです。
春野さんはスーパーシンガーであるゆえ、余計にダンスに注目されることがあまりなかったんですが、あんなにしなやかに美しく高貴に踊る人、セリ美は他に知りません。
それと同じ枠で、キキちゃんのダンスも基本に忠実で丁寧でとても好きですし、ちなつさんのダンスもそこに入ります。
男役の基礎がしっかりあるからこその洗練された無駄のない動き。この振りの時には顔をどこに向けたらいちばん美しく見えるのか、肩の開き具合や背筋の伸ばし方など、とにかくすべてが洗練されていて、洗練されているからこそ漂ってくる清潔な色気。
男役だからってガニ股で歩いて身振り手振りを大きくして男っぽく動けばいいってもんじゃないですもんね。
ダンスだけではなく、役として動く時の所作一つ一つすべてにその無駄のない動きから漂う清潔な色気を纏っていて、さらに的確な役作りが加わってもう人間国宝の域だとセリ美は思っています。声も少し香寿たつきさんに似た甘い声だしね~。
今回の役は、武士ながら戦嫌いで料理が大好きな愛妻家という、当時からしてみたら「優男」の類に入るキャラなんですけど、やっぱり男役としての基礎が叩き込まれてるから全然ナヨっちく見えなくて、むしろこの令和の世にいたら全世界の女性が理想に掲げる完璧な男性を演じてるんですね。料理上手で愛妻家で奥さんの家族もすごく大切にする、っていう。
戦はたまさんとれーこちゃんに任せて、俺は奥さんが待ってる家に帰って料理しよ~っと♪みたいな武士っぽくない武士なのに、最後はもう超武士。そのギャップに全ちなつファンは悶え死にます。即死です。気づいたらもう召されてます。南無。
また今回もフルールが営業してなかったから終演後のセリ美は腹ペコなはずなのに、どうも胸が苦しくて食欲がわかなくて…
それでまた恒例行事のさっきのイラストをヅカ友さんに送りつけて、「なんで食欲がわかないんだろう…おにぎり買ったのに…」とLINEを送って、「それは恋わずらいです」と言われて「こっ…これが恋なの…?!?!」というところまでがひとくくりです。
ちなつさん観るたびにこのくだりやってるんですよね。
今回の作品における具体的な感想はあんまり書いてなくて恐縮なんですけど、ちなつさんに関してはもうこんなことしか言えませぬ…
このままほんとに別格で終わっちゃうのかな…
でも誰かは2番手羽根背負わなきゃいけませんしねえ。ちなつさん背負わずにありちゃんが背負うなんてちょっと考えづらいので、あきらさん方式になるのでしょうか。
ああもったいないもったいない……あんな国宝級の男役を別格で終わらせるなんて罰が当たるよ!!!
超高級なお水で洗車するみたいなものですわ。ああもったいない!!!
劇団もコロナでかなりの赤字を出したそうですから、ここで一発「よくやった!」という粋な人事を見せて空席を徹底的になくしたほうが身のためだと思うんだけどねー。
えー、くらげちゃん。
ちなつさんの奥さんという役どころですが、「相変わらず上手いねえ…」としみじみ思ってしまいました。
最後は可哀想な結末となるんですが、くらげちゃんってちょっと木村多江さん的な幸薄い感、悲壮感があるので、すごくご本人のキャラに合った役で、「さすがだわ、くーみん…」と思わずにいられないですね。
だから逆に『カンパニー』のときみたいな体育会系デスッ!オッス!みたいな役は無理があるんですよねえ。
さくらちゃんがたまさんの後妻になると発表があったときに、くらげちゃんもうらら嬢のように潔く見切りをつけちゃうのかな…と思ってましたけど、諦めずにいてくれて本当に良かった。
出島のときに、デュエダンでくらげちゃんのドレス捌きがもうほんとに美しくて、セリ美としたことがちなつさんを見ずにくらげちゃんに釘付けになっちゃった瞬間があったんです。
で、今回もさくらちゃんをセンターとした娘役さんだけの場面があったんですけど、くらげちゃんをオペラでずっと追ってしまいました。本当にドレス捌きが美しい。結構激しく動く振りでも、絶対に脚なんて見えないんです。どうなってるんだアレ。
博多座でのドリームチェイサーでどんなデュエダンを見せてくれるのでしょうねえ。デュエダンが美しいコンビってすごくいいですよね。もうとっても楽しみです。
もうちょっと太ってくれるといいなァ…
はい、ありちゃん。
南朝の天皇の役ですけども、まぁそもそもありちゃんが和モノ向きのスターさんではないからなあ。
近年はおだちんの評価があまりに高すぎて、新公時代に激推しされてただけにいまちょっと踏ん張りどころのような気がしますねえ。
あんなに華やかでダンサーなんだし、さぞかしショーのほうでは活躍するんだろうなぁと思っていたんですが、ショーでもやっぱりおだちん推しが激しくてちょっと可哀想になっちゃいました。
もちろん階段降りはおだちんよりあとだし一人なんですけど、おだちんとそれぞれにあてられたソロの場面とかを比べると、ああ月Pはどうしてもおだちんが推したくて推したくてたまらないのね、という感じが見受けられました。
ありちゃん、新公でトートやってすごくお歌も上手になったし、お顔も可愛いし、スタイルいいし、ダンスはもちろん言うことないし、すごくいい人材なのにおだちんばかりを大事にするならうちに頂戴よ!!!って思ってる他組担、すごく多そうだなあ。
でもあながち無い話じゃないよねえ。
月組と宙組って他組より路線スターさん充実してるほうだし、うちの息子と共に組替えオッズはいちばん低いと思うんですよね。組替え大本命。
ありちゃんの身長的には宙組が似合うけど宙組は路線渋滞起きてるから、なんとなく息子が雪か星に行って、そこにありちゃんが入るのもあるのかなぁとか、でももえこちゃんと同期だけど、ちぎコマみたいにあえて競わせるのもあり得るよな、とか。
同期対決ということだと、雪組に行ってあやなちゃんとシンメでっていうのももちろんあり得ることになるよね。咲ちゃんの身長とありちゃんならバランスいいし。
そんなことを悶々と考えてしまうほど、「やっぱりそんなにおだちん推したいのか…」という印象でしたねえ。
いや、おだちんすごくいいですよ。推したい気持ちはめっちゃ分かる。芸達者であることはもちろん、ああいう昭和の空気持ってる生徒さんはいま貴重ですからね。
でも月組はほんとにもういい加減に下剋上みたいな人事は廃止するべき。あんなのご本人たちにとっても劇団にとっても絶対いいことない。
トップさんの平均任期は3年程度と言われてるけど、路線さんはみんな学年順に順当にステップアップしていって、めでたくトップになったら長すぎず短すぎずの3年やっていただくのが絶対いいと思うのよね。
だいきほみたいな超絶技巧コンビとか、みりおさんみたいに満員御礼がずっと叶うほどのカリスマトップさんは例外的に長くやっていただきたいけれど。
だから、ありちゃんおだちんを見るたびに「ありちゃんを飛び越すとかいう人事、絶対やめろよ月P!」とヒヤヒヤしてしまうのです。
ショー自体はすごく良かったのに、あんなにキラキラ可愛いダンサースターをショーでなぜもっとメインで使わないのか、という気持ちが残ってしまいましたね。
ああ勿体ない!!!
で、おだちん。
たまさんたち楠木三兄弟が敵対する、北朝のボスの足利尊氏ですね。
このときの尊氏がだいたい何歳くらいなのかちょっと分からないですけど、北朝を束ねる将軍が20代の若者なわけないですから、コロナでズレこんでまだ新公学年だという100期生がこの貫禄って一体何事よ?!?!と思ってしまいますよねやっぱり。
おだちん見て唸らないことってないのよねえ。「伯母様のDNAってすごいのねえええ」って思ってしまうほど、とにかく上手いとしか言えないっすよ。
さらにすごいのは、若い頃から貫禄出すぎちゃうと路線に乗りにくくなっちゃう現象ってあると思うんですけど、貫禄ありながらもちゃんとスターオーラも放ってるところなんですよねえ。華ってもう努力じゃどうにもならないので、やっぱり伯母様DNAってことなんでしょうかねえ。
おだちん率いる北朝の将軍たちがたまさんたちの領地に乗り込んで、楠木三兄弟を「北朝に寝返らないか」ってスカウトに来るんですけど、そこでたまさんたちと対等に堂々交渉してるところとか、どう見ても研18なんですよねえ。学年詐称してないか?っていう。
ショーでも「風間柚乃歌謡ショー」言われてる銀橋ソロありますけど、どう見ても研18なんですよね~。
時代が進めば進むほど、ああいう昭和レビューっぽい場面は貴重になってきますから、おだちんには昭和担当でどんどん活躍してほしいです。
近年のショーでは韓流アイドルとかジャニーズっぽい場面とか、懐メロアイドル系の場面が入ることも多いですけど、セリ美としてはそういうのは本家の韓流とかジャニーズさんとかを見ればいいわけであって、やっぱり宝塚でしか見られないものを大切にしてほしいんですよね。世界に一つってやっぱりすごいじゃないですか。
セリ美も「文章も書いて絵も描いてイベントも催しちゃう唯一無二のふざけたヅカブロガー」を目指してるので、やっぱり独創性って表現者にとって最も大切なものだと考えます。
金ぴかのジャケット着て蝶ネクタイして銀橋で朗々と名曲を歌い上げるという、本来ならば若手にしてみたら「そんなの間がもたないよ!」という場面でも往年の石原裕次郎のように堂々とゆったりと銀橋を渡り切ってしまえるおだちん、本当にあっぱれでした。
ジャニーズ系とかモデル系の下級生ってどの組にもいますけど、なんかおだちんって「石原軍団」って感じしません?(笑)
素晴らしいです、ほんと。
さぁ、セリ美が桜嵐記でMVPをお贈りした千海さんにいきましょう!
……って、ウソでしょ?!?!からんちゃんのwiki、無いの?!?!?!
いやぁぁぁマジかぁぁぁぁぁ!!からんファンの皆様がんばってええええ!!!
「千海華蘭」で検索すると「代表問題」って出てくるんだけど…なに…??
セリ美も実は今まではそんなに注目してこなかった生徒さんでして…
「結構な上級生なのにまるで新公学年みたいなキュートな生徒さん」という情報くらいしかありませんで…
調べてみると、新公では主役こそ射止められなかったものの、大きな役どころばかり指名されているし入団時の成績も9番ということで、やっぱり最初から優秀な生徒さんだったんですねえ。
お顔もこんなに可愛いし、なんでもっと推されなかったのかしら…??
今回のお役はコメディー担当と言ってもいいのかなあ。
ひょんなことからさくらちゃんのお付きになった貧しい農民ですが、農民ならではの身軽さとか気さくな感じがすごく上手でした。
最初はどなたが演じてるのかよく分からなくて、農民チームが蜘蛛の子散らしたように逃げる中、ずっと舞台に残り続けて「こんなお姫様を見捨てて逃げるなんてオラできねえよお」という人の良さがすごく出ていて、「あのめっちゃ巧い人ダレッッ?!」と思ってオペラで凝視してたら、「もしかして…あの可愛い上級生…??」と気付きました。
そのあともたまさんやさくらちゃんのまわりをウロチョロしてるのがすごく可愛いし、教養も無い農民だからこその自由な言動がとてもおかしくてキュートでした。
コメディーって間が命なのでめちゃくちゃ難しいのに、もうほんとにお見事。
あれは男役とか娘役とかそういう次元を超えて、「演劇人」というスキルの高さが求められる役なので、からんちゃん以外に誰もできないだろうな、というほどの素晴らしさでしたねえ。
からんちゃん目当てに配信も見ちゃおうかなと考えてるほど、いまからんちゃんに飢えています。
92期はほんとに芸達者が多いねえ。
つーかさーーー月組ってほんとに人材豊富よねえええ。
いま宙組以外は「2番手どうすんの?!3番手は?!」みたいな状況なのに、月組なんてれーこちゃんありちゃんおだちんという明確な路線さんたちががっちり控えてる他に、るう組長ゆりちゃんまゆぽんからんちゃんという心強すぎるアシスト陣がいるなんて…
いまどこの組も路線スターはもちろん、こういうベテラン勢不足も深刻だというのに…そりゃゆりちゃんとまゆぽんを専科にして「みんなで共有しよ?♪」って言われちゃいますよね。
ゆりちゃんも今回珍しく悪役ということで、あまりに堂々たる悪役でセリ美は幕間に確認するまであの悪いジジイがロイヤルゆりちゃんだったなんてまっっっったく気付かなったほど素晴らしい演技だったんですけど、彼らの名演技を観て、
『芝居の月組』が戻ってきてる……!!!
と大感動したんですよ。
組ごとの特長を挙げてくださいって言われたらやっぱり基本となるのは、
ダンスの花組
芝居の月組
和モノの雪組
暑苦しい(褒めてる)星組
長身の宙組
みたいなのが昔から言われてるものかなと思いますが、やっぱりその時代のトップさんの個性や組子たちの構成によって変わってくるんですよね。
今の星組なんて暑苦しいどころか、琴ちゃんを筆頭に爽やかアイドル路線になってますしね。
で、月組もいつの時代からかそんなに「芝居は任せろ」みたいな個性じゃなくなってきてた印象でした。
芝居の巧い巧くないは見る人それぞれに依るところが大きいので、「この人はそんなにお芝居の人じゃないよね」って明言はしませんけども。
しかし、たまさんも含めて、全員本当にお芝居が素晴らしい。よく、推されてる下級生が台詞を言って「おっと、まだ発展途上だネ!」と思うことがありますが、そういう人が誰もいませんでした。
その上、「おっとっと…」な歌唱の人も誰もいない。
ショーでもすごく群舞が揃ってました。
実力で見たら月組っていま宝塚ナンバーワンなんじゃないか…?!と気付き、(月担の皆さんからしてみたら「おせーよ!」ですよねえ)なによりも芝居の巧さが際立っていて、月組の伝統芸をしっかり継承してるところに感動してしまいました。
組長さんをはじめ、組子たちが「うちの組の伝統を途絶えさせてはいけない!」としっかり下級生に教えて継承していく姿って、日本の伝統工芸の技術を弟子に伝えていく匠たちみたいでとてもかっこいいですよね。
そうやって、自分たちの仕事に誇りをもって命を懸けてる姿がまたドラマチックで、その誇りがタカラジェンヌさんたちの外見の美しさにさらに磨きをかけてる気がしますね。
なんだかからんちゃんの見事な演技力を見て「月組やべえぞ」って覚醒した感じがあったので、ゆりちゃんまゆぽんが常勤してくれなくなるのはすごくサミシイですけど、逆にりんきらさんが月組さんにヘルプに来てくれるなんて面白いことも期待できるので、今後の月組さんも前のめりで見守っていきたいと思いましたね~。
あ、気持ちだけ前のめりね。
気持ちは前のめりに、観劇は背をつけて。
これ全ヅカファンのスローガンですものね。
また、そこまで生徒さんのポテンシャルを引き出すくーみんと中村A先生の手腕も本当に素晴らしい。
fffでのくーみん生田コンビも素晴らしかったし、桜嵐記でのくーみん中村Aコンビも素晴らしかったし、お芝居もショーも最高ランクって本当に見ごたえがある!これで2000円(2階17列)だなんて申し訳ないくらい。
シャーロックでの生田野口コンビも頑張ってくれよー!
ということで、桜嵐記/Dream Chaserの感想でした。
ほんとはもう3回くらい観に行きたかったなぁ。でも今は絶賛節約期なので、我慢しました…。
いつだって貧乏暮らしなセリ美でありますが、今は特に節約しなくちゃいけなくてね…
その理由は次回のブログでちょっとお話ししてみたいなと思いまする!!!
それでは~~~
シャーロックの次の別箱っていつ発表になるん…??

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久しぶりに真面目な文章書いたのでなんか変な感じ。
いろんな宝塚関連のweb媒体でライターやってきましたけど、当然ながら管理人さんたちの考え方や仕事のしかたはそれぞれ違うので、それに合わせるのがなかなか大変だったりします。
ライターとしてもそこそこ実績はありますし、ヅカファンとしてもそれなりに知識は詰め込まれているほうだと思うので、最初は「セリ美さん、すごくいいです!素晴らしい仕上がりです!」と言ってくれていても、だんだん注文が細かくなっていって「もっとこんな感じに書いてほしい」と何度も書き直しを命じられるようになってしまったり、逆にだんだん丸投げになってきたり。
やっぱりこういう趣味性の高い書き物は報酬がすごく低いんでね。
千円前後の原稿料なのに何度も書き直させられたらそりゃあ、ねえ。
こちらもそれなりにスキルと知識があることは自覚があるので、「そんなに気に入らないなら自分で書きなよ」という気持ちになってしまうんですよねえ。
あとはやっぱりどこまで個人的な感想を入れていいのかも難しいですね~。
「この作品、全然好きじゃない」と思っても褒めたたえなきゃいけないしねえ。
そのあたりが趣味を仕事にすることの難しさですよね。
知識が増えれば増えるほど、歴が長くなればなるほど、自分の好き嫌いも明確化してきますしね。「好きじゃないゾーン」に入った生徒さんや作品を述べるときに非常に困ってしまいます。
それでも書かねば。チケット代のために!ミズさまと息子のために!
さて、卵黄………いや、桜嵐記のレポです。
今回は個人評ですね。さっそくいきましょう。
たまさん。
セリ美個人的にはたまさんのことは好きでも嫌いでもない、「ご近所さん」という感じでした。(カインズとかドンキがあるので蒲郡によく行きます)
でも、皆さんが仰っている「理想の夫」という個性はよ~~~っく理解していました。あの温かで誠実な目線や包容力のあるがっちりボディー、優しくてやわらかい声。
リビングでテレビ見ながらいびきかいてる腹の出た夫を持つ世の主婦たちのハートを大きく包み込んでくれる男役さんであることはしっかり理解しています。
でも、今回でさらに理解できました。
たまさんのヒーロー力。
よく娘役さんに対して「ヒロイン力」という言葉が使われますが、男役さんにも「ヒーロー力」は当然求められます。
でも娘役さんに与えられる役柄よりは、男役さんに与えられる役柄のほうがバリエーションが豊富なので、大人っぽい役が得意な男役さんもいれば、若々しいキャラクターが得意な男役さんもいたり、クールで無口な役が得意であったり、「真骨頂」はそれぞれ違うものをお持ちですよね。
そんな中でも、いわゆる「弱気を助け、強きを挫く」「勧善懲悪」「正義の味方」という形容詞が当てはまる「正統派ヒーロー」を演じたたまさんはもう無敵ですね。
悪の組織に捕まって地下に監禁されているところに、鉄の扉を蹴破って「遅くなってごめん!」と椅子に括り付けられた縄をほどいて優しく抱きしめてほしいジェンヌさんナンバーワンです。
しがない一般市民である我々ヅカオタが一体どういう経緯で悪の組織にさらわれて地下に監禁されるのかは分かりませんけども。
あの健康的で厚い胸板に飛び込んで「怖かった…」とウソ泣きをして、たいして痛くもない手首の縄の跡を見せて「痛かったね」と優しくスリスリしてほしいですね。
「痛いのおおお頭も痛いのおおお」と泣きついて頭をナデナデしてもらったり、「痛いのおおおなぜだか背中も痛いのおおお」と背中をさすってもらったり、「歩けないのおおお足が痛いのおおお」とおぶってもらったり、たまさんの優しさにつけこんでやりたい放題したいですね。
BADDYではまさかの真逆の「俺はワル」というキャラクターを思い切って当てはめて大成功したくーみんですが、今回はもうド直球、たまさんの退団公演に超ふさわしく、「珠城りょうといえばみんなこれでしょ?」というど真ん中を射抜いてきやがりました。
忠義のために自分の命を棄ててでも信念を貫き、桜と共に散っていく姿はまさに「日本の美」そのものでした。
特に印象的だったのは、さくらちゃんとついに結ばれる、という時のたまさんの眼差しですね。
もうね、燃え上がってました。たまさんの瞳の中に炎が見えましたね。
いつもは非常におだやかな表情のたまさんが、あんな情熱的な眼差しをするなんてびっくりしちゃいましたよ~。
これ、ショーのデュエダンのときもそうでした。燃えるようなまなざしでさくらちゃんを見つめてた。
いつもは「このバッグが欲しいの?いいよ~僕が買ってあげる。今日は焼き肉が食べたい?いいよ~僕が予約しておくね。ディズニーランド行きたい?いいよ~明日は休み取るから行こうか~」みたいな穏やか・優しさの塊みたいなたまさんが急に燃える目で見つめてくるそのギャップですよね。
たまさくはただ見つめ合っているだけなのに、「な、なんて眼差しでさくらちゃんを見るの…!!」と、真っ赤になったセリ美は指の隙間からあのたまさんをかろうじて見ることができました。
眼差しだけで人物の感情を表現できるというのは、素晴らしい技術ですねえ。
あの燃え上がる眼差しで2人は最初で最後の熱く儚い一夜を過ごし、たまさんは今生にもう思い残すことはなく、楠木家の信念を守るために戦場に赴いて行ったんだとよく伝わり、桜吹雪を背に戦場に現れた姿にもう惚れ惚れ。
セリ美が録画してでも見ているEテレの番組「100分de名著」では(ちなみに今のところいちばん刺さった本は『ディスタンクシオン』https://dokushojin.com/review.html?id=7970趣味の本質を社会構造にあてはめた画期的な理論。ヅカファンのセリ美に刺さりまくりました)、このまえ三島由紀夫の『金閣寺』を扱ったんですが(ほんとに三島由紀夫って紙一重の人ですよねいろいろと)、そこでも「戦地に赴く夫を見送る妻が別れの儀式を行う」という場面が出てきました。
戦争が行われていた時代の男女はこのように「きっともう二度と会えない」という気持ちで向かい合っていたわけで、特に楠木正行と弁内侍は結婚してるわけでも許嫁なわけでもない、たったいま想いが通じ合ったカップルなのに、もう明日には永遠の別れが待っているわけです。いま、この瞬間がすべてなわけです。
その「いまこの瞬間、この人を全身全霊で愛す」という情熱が、数十秒のセリ下がりの間でよく表現されていて、だいもんみたいな熱情型と穏やかな空気を持つたまさんは対極にいるイメージだったんですが、たまさんにもこんなに情熱を宿す部分があったんだ!とびっくりしました。
よく考えてみれば、BADDYのデュエダンもすごく情熱的でしたよねえ。
また100分de名著ネタで申し訳ないんですが、渋沢栄一の著書『論語と算盤』を扱った際に、「対極のものを融合させる美学」が主題としてあって、BADDYも「善」の概念であるちゃぴと、「悪」の概念であるたまさんが、憎しみを持ちながら対峙するけど、ダンスが昂ぶっていくうちにそれが愛に変わって溶け合っていく、みたいな終わりを迎えました。
その「対極のものを融合させる美」ということで、好青年のたまさんにあえて「悪いコト」をさせたのかなって思いました。
この桜嵐記の楠木正行は、とにかく「私」を抑えて、南朝のために生きて南朝のために死んでいった「公」の人物ですが、この弁内侍との場面だけは押さえきれない私情が爆発するわけです。
「公」が「私」と融合したその瞬間に美しさがある、そんな『論語と算盤』的な美学が見えた素晴らしいセリ下がりでした。
楠木正行の生きざまはまさに桜のようでした。
絢爛に豪勢に一気に咲き誇り、潔く一気に散っていく。咲く姿も散る姿も美しく、まあやがどこかのインタビューで「久美子先生が、『強く厳しいことは美しい』と仰っていた」と言っていましたが、くーみんの追求する「美」を完璧に表現できていたような気がしますね。
楠木正行の人生は、たまさんの宝塚人生にも通じるものがきっとあるでしょうから、全身全霊で演じ切ることができる最高のお役ではないでしょうかね。
はい、さくらちゃん。
さくらちゃん、前回のピガールで初めてじっくり観させていただいたんですが。
まぁ作品が作品だし、お役もお役だったので「いつもより強調してこういう台詞回しにしたのかな」って思っていたんですが、やっぱり龍真咲一派だったんですね。
さくらちゃん、スカステの音楽学校のCMに出てるじゃないですか。レッスン風景のバックでさくらちゃんのナレーションが流れていますが、最初セリ美はそれがさくらちゃんじゃなくてアナウンス専門の人がやってるのかと思ったんです。
それほどすごく綺麗な声で抑揚も聴きやすくて、声の綺麗な子なのね~と惚れ惚れしたんですけども、それが台詞になるとどうしてああなっちゃうのだろう…
せっかく声があんなにいいんだから、あんなにこねくり回さなくても…ちょっと大芝居が過ぎるなあ。
なんかもう最終的には歌舞伎とかコントみたいに聞こえてきました。
まさおさんもそうだったなあ。
お好きな方にとってはあの「まさお節」がきっとたまらないのだろうと思うのですが、好き嫌い分かれるだろうな~という感じのスターさんですよね。
まかぜも「まかぜ節」なるものがありますので、それが「たまらない!」となるか、「気になって仕方ない」になるか、もうそれは好き好きですからね。
だから、さくらちゃんがヘタだとかそういうことではなくて、あの強烈な個性を「たまらねえ!」と思うか、「もっと自然にやってよ~」となるか真っ二つに分かれるだろうな、と。
そしてセリ美は後者である、と。
途中、「和モノやる娘役さんってみんなこんな台詞回しだったっけ??」と分からなくなり、くらげちゃんの台詞回しを聞いてみたらすごく自然だったので(笑)、やっぱりさくらちゃんならではなのねと確認できました。
一方で、ショーになったらもう本領発揮!!って感じですね。
とにかく、華やかな存在感!藤原紀香さんみたいな感じで、細いんだけど肉感ある魅力的なスタイルで、まぁセンターが似合う!派手な衣装が似合う!
セリ美は男役さんを蹴散らすほど存在感のある娘役さんが好きなので、「行け行け~!!」と爽快感すら覚えました。
ミュサロでもかなり攻めた衣装だったじゃないですか。ああいうの素晴らしいと思います。娘役は男役さんの添えものなんかじゃないんだぞ!個性出してくぞ!!って感じの。
そのへんもすごく龍真咲一派って感じですね。
すごく自己主張の強いお方なのかな?と思いきや、たまさんと添い遂げるということで、英断だったように思いますね。
貫禄ある美女なのできっと退団後も女優としてご活躍されるでしょうね。
はい、れーこちゃん。
れーこちゃんはもうほんとにいつトップになってもいいくらいのすごい貫禄ですなあああ!
ピガールのときに「急にめっちゃ貫禄出た!!」と驚き、でも劇場支配人という役柄だからそのように見えたのかな?と思っていたんです。
でも、間違いなくもうあれはトップさんのオーラになってますね。
今回、ベタベタの河内弁を喋って、性格は戦好きの野心的な男。もうれーこちゃんと共通するものなにもないじゃないですか。
でも、あんんんんな綺麗なお顔なのに、戦好きのなにわ男にしっかり見えましたもんね~。
セリ美は浅草の人間なので河内弁なんて全く分かりませんけども(江戸弁はけっこう喋るよ!)(落語家さんが喋ってるような「冗談じゃないよお前さん!」とか「するってえとどうだい!」みたいなリズムのやつ)、れーこちゃんの河内弁はきっとネイティブの人が聴いてもすごく上手に喋っていたように思います。
楠木3兄弟、三者三様に個性が全然違って、その役作りが全員お見事で、れーこちゃんに託された役割を完璧に演じ切っていました。
家督を継げない立場で育ってきた3男だからこそなのか、末の弟なのにいちばん野心的で、なんとか名を上げてやろうと虎視眈々狙ってるんですね。
たとえ自分が所属する南朝を裏切ったとしても、まずは自分の武勲を立てることのほうが先だ、という考え方の持ち主なんですけど、兄二人の生き様を見てその考え方を変えていく過程もすごくドラマチックで説得力がありましたね。
「お前は生きろ!」とたまさんに未来を託されて泣く泣く兄を置いて立ち去っていく姿はもう仁義に生きるなにわ男にしか見えませんでした。
れーこちゃんの老年を演じるるう組長ともしっかり話し合いをして念入りに誠実に役作りをしたんだろうなという姿勢が見えて、本当に素晴らしかった。
くらげちゃんとの並びもとても上品で大人っぽくて、こりゃ今後の月組の安泰は約束されてますね。
あとは作品に当たることだけ…頼むよ劇団!!!
なんでか分からないけど、トップコンビご本人たちもすごく魅力的で実力も申し分ないのに全然作品に恵まれないまま最後の作品になってしまった…っていうコンビがたま~にいるんですよね。
息子に夢千鳥が巡ってきたように、この素敵なコンビにピッタリの名作がどうか来ますように。
れーこちゃんって、声や佇まいがなぜだかなんとなく昭和感のあるスターさんのように見えるので、岡田先生のロマンチックレビューとか、まさにダルレークみたいなこってりねっとりした作品が合うと思うんですよね。
くらげちゃんも娘役芸を正確に身に着けた正統派娘役さんだと思うので、きっと素敵に絡んできてくれるでしょう。
プレお披露目は博多座で和モノ、まずはすごくいいセレクトですね!
川霧の橋ってセリ美は見たことないのですが、宝塚の財産である柴田作品ですし期待大です!(博多うまいもんツアーしながら行きたいけど予算的に無理だろうな…)
はい、お待たせ!ちなつさん!
セリ美はね、月組さんはそんなに観劇回数は多くないんですが、いつもいつも観劇帰りには阪急電車内で爆発しそうな胸を抑えながら溢れる想いを指先に込めてスマホでイラストを描き、ヅカ友さんに送りつけるという謎の恒例行事があるくらい、ちなつさんを見せられるともうどうしていいか分からない面持ちになるのです……
過去の送りつけイラスト一覧↓↓
そう、悩める乙女になってしまうんですね…
これはもちろん息子に対する想いとも全然違うし、ミズさまへの崇める気持ちとも違う。
ハイティーンに経験する片想いのような感情なのでしょうか…
そして今回も例にもれず、また悩める乙女になってしまいまして……
ちなつさんのアドレスなんて知るわけがないのに、なぜかちなつさん宛てにメールを打ち出してしまうという悩ましい気持ちを表現してみました。(本文も頭おかしい)
ちなつさんって…なんなんでしょうね……
女役さんやったってお美しいから、「オトコ!」というキャラクターというわけでもない。
かつて蘭寿さんが付けられた異名「赤面王子」のように、キザりまくり釣りまくりというキャラでもない。
「俺を見ろ!!!」ってほど自己主張が強いタイプでもない。
カレーさんれーこちゃんあーさみたいに、「顔がいい!!!」という正統派美形というわけでもない。
琴ちゃん・息子みたいに「うっっっっま!!!歌もダンスも超人的!!」という男役さんでもない。
それなのに、釘付けになってる乙女が日本中にどれだけいるのでしょうか…
もちろん、根底には徹底的に叩き込まれた男役の基礎がしっかりあるんだと思います。
セリ美はダンサー好きですが、ダンサーってのは早く回れればいいとか高く跳べればいいとか脚めっちゃ上がるとかそういうことじゃなくて、いちばんの正解は「美しいこと」なんだと思うんですね。
だから、ダンサー扱いは決してされてないけどすごくダンスの好きな男役さんっているんです。
その最たる人が、春野さんです。
春野さんはスーパーシンガーであるゆえ、余計にダンスに注目されることがあまりなかったんですが、あんなにしなやかに美しく高貴に踊る人、セリ美は他に知りません。
それと同じ枠で、キキちゃんのダンスも基本に忠実で丁寧でとても好きですし、ちなつさんのダンスもそこに入ります。
男役の基礎がしっかりあるからこその洗練された無駄のない動き。この振りの時には顔をどこに向けたらいちばん美しく見えるのか、肩の開き具合や背筋の伸ばし方など、とにかくすべてが洗練されていて、洗練されているからこそ漂ってくる清潔な色気。
男役だからってガニ股で歩いて身振り手振りを大きくして男っぽく動けばいいってもんじゃないですもんね。
ダンスだけではなく、役として動く時の所作一つ一つすべてにその無駄のない動きから漂う清潔な色気を纏っていて、さらに的確な役作りが加わってもう人間国宝の域だとセリ美は思っています。声も少し香寿たつきさんに似た甘い声だしね~。
今回の役は、武士ながら戦嫌いで料理が大好きな愛妻家という、当時からしてみたら「優男」の類に入るキャラなんですけど、やっぱり男役としての基礎が叩き込まれてるから全然ナヨっちく見えなくて、むしろこの令和の世にいたら全世界の女性が理想に掲げる完璧な男性を演じてるんですね。料理上手で愛妻家で奥さんの家族もすごく大切にする、っていう。
戦はたまさんとれーこちゃんに任せて、俺は奥さんが待ってる家に帰って料理しよ~っと♪みたいな武士っぽくない武士なのに、最後はもう超武士。そのギャップに全ちなつファンは悶え死にます。即死です。気づいたらもう召されてます。南無。
また今回もフルールが営業してなかったから終演後のセリ美は腹ペコなはずなのに、どうも胸が苦しくて食欲がわかなくて…
それでまた恒例行事のさっきのイラストをヅカ友さんに送りつけて、「なんで食欲がわかないんだろう…おにぎり買ったのに…」とLINEを送って、「それは恋わずらいです」と言われて「こっ…これが恋なの…?!?!」というところまでがひとくくりです。
ちなつさん観るたびにこのくだりやってるんですよね。
今回の作品における具体的な感想はあんまり書いてなくて恐縮なんですけど、ちなつさんに関してはもうこんなことしか言えませぬ…
このままほんとに別格で終わっちゃうのかな…
でも誰かは2番手羽根背負わなきゃいけませんしねえ。ちなつさん背負わずにありちゃんが背負うなんてちょっと考えづらいので、あきらさん方式になるのでしょうか。
ああもったいないもったいない……あんな国宝級の男役を別格で終わらせるなんて罰が当たるよ!!!
超高級なお水で洗車するみたいなものですわ。ああもったいない!!!
劇団もコロナでかなりの赤字を出したそうですから、ここで一発「よくやった!」という粋な人事を見せて空席を徹底的になくしたほうが身のためだと思うんだけどねー。
えー、くらげちゃん。
ちなつさんの奥さんという役どころですが、「相変わらず上手いねえ…」としみじみ思ってしまいました。
最後は可哀想な結末となるんですが、くらげちゃんってちょっと木村多江さん的な幸薄い感、悲壮感があるので、すごくご本人のキャラに合った役で、「さすがだわ、くーみん…」と思わずにいられないですね。
だから逆に『カンパニー』のときみたいな体育会系デスッ!オッス!みたいな役は無理があるんですよねえ。
さくらちゃんがたまさんの後妻になると発表があったときに、くらげちゃんもうらら嬢のように潔く見切りをつけちゃうのかな…と思ってましたけど、諦めずにいてくれて本当に良かった。
出島のときに、デュエダンでくらげちゃんのドレス捌きがもうほんとに美しくて、セリ美としたことがちなつさんを見ずにくらげちゃんに釘付けになっちゃった瞬間があったんです。
で、今回もさくらちゃんをセンターとした娘役さんだけの場面があったんですけど、くらげちゃんをオペラでずっと追ってしまいました。本当にドレス捌きが美しい。結構激しく動く振りでも、絶対に脚なんて見えないんです。どうなってるんだアレ。
博多座でのドリームチェイサーでどんなデュエダンを見せてくれるのでしょうねえ。デュエダンが美しいコンビってすごくいいですよね。もうとっても楽しみです。
もうちょっと太ってくれるといいなァ…
はい、ありちゃん。
南朝の天皇の役ですけども、まぁそもそもありちゃんが和モノ向きのスターさんではないからなあ。
近年はおだちんの評価があまりに高すぎて、新公時代に激推しされてただけにいまちょっと踏ん張りどころのような気がしますねえ。
あんなに華やかでダンサーなんだし、さぞかしショーのほうでは活躍するんだろうなぁと思っていたんですが、ショーでもやっぱりおだちん推しが激しくてちょっと可哀想になっちゃいました。
もちろん階段降りはおだちんよりあとだし一人なんですけど、おだちんとそれぞれにあてられたソロの場面とかを比べると、ああ月Pはどうしてもおだちんが推したくて推したくてたまらないのね、という感じが見受けられました。
ありちゃん、新公でトートやってすごくお歌も上手になったし、お顔も可愛いし、スタイルいいし、ダンスはもちろん言うことないし、すごくいい人材なのにおだちんばかりを大事にするならうちに頂戴よ!!!って思ってる他組担、すごく多そうだなあ。
でもあながち無い話じゃないよねえ。
月組と宙組って他組より路線スターさん充実してるほうだし、うちの息子と共に組替えオッズはいちばん低いと思うんですよね。組替え大本命。
ありちゃんの身長的には宙組が似合うけど宙組は路線渋滞起きてるから、なんとなく息子が雪か星に行って、そこにありちゃんが入るのもあるのかなぁとか、でももえこちゃんと同期だけど、ちぎコマみたいにあえて競わせるのもあり得るよな、とか。
同期対決ということだと、雪組に行ってあやなちゃんとシンメでっていうのももちろんあり得ることになるよね。咲ちゃんの身長とありちゃんならバランスいいし。
そんなことを悶々と考えてしまうほど、「やっぱりそんなにおだちん推したいのか…」という印象でしたねえ。
いや、おだちんすごくいいですよ。推したい気持ちはめっちゃ分かる。芸達者であることはもちろん、ああいう昭和の空気持ってる生徒さんはいま貴重ですからね。
でも月組はほんとにもういい加減に下剋上みたいな人事は廃止するべき。あんなのご本人たちにとっても劇団にとっても絶対いいことない。
トップさんの平均任期は3年程度と言われてるけど、路線さんはみんな学年順に順当にステップアップしていって、めでたくトップになったら長すぎず短すぎずの3年やっていただくのが絶対いいと思うのよね。
だいきほみたいな超絶技巧コンビとか、みりおさんみたいに満員御礼がずっと叶うほどのカリスマトップさんは例外的に長くやっていただきたいけれど。
だから、ありちゃんおだちんを見るたびに「ありちゃんを飛び越すとかいう人事、絶対やめろよ月P!」とヒヤヒヤしてしまうのです。
ショー自体はすごく良かったのに、あんなにキラキラ可愛いダンサースターをショーでなぜもっとメインで使わないのか、という気持ちが残ってしまいましたね。
ああ勿体ない!!!
で、おだちん。
たまさんたち楠木三兄弟が敵対する、北朝のボスの足利尊氏ですね。
このときの尊氏がだいたい何歳くらいなのかちょっと分からないですけど、北朝を束ねる将軍が20代の若者なわけないですから、コロナでズレこんでまだ新公学年だという100期生がこの貫禄って一体何事よ?!?!と思ってしまいますよねやっぱり。
おだちん見て唸らないことってないのよねえ。「伯母様のDNAってすごいのねえええ」って思ってしまうほど、とにかく上手いとしか言えないっすよ。
さらにすごいのは、若い頃から貫禄出すぎちゃうと路線に乗りにくくなっちゃう現象ってあると思うんですけど、貫禄ありながらもちゃんとスターオーラも放ってるところなんですよねえ。華ってもう努力じゃどうにもならないので、やっぱり伯母様DNAってことなんでしょうかねえ。
おだちん率いる北朝の将軍たちがたまさんたちの領地に乗り込んで、楠木三兄弟を「北朝に寝返らないか」ってスカウトに来るんですけど、そこでたまさんたちと対等に堂々交渉してるところとか、どう見ても研18なんですよねえ。学年詐称してないか?っていう。
ショーでも「風間柚乃歌謡ショー」言われてる銀橋ソロありますけど、どう見ても研18なんですよね~。
時代が進めば進むほど、ああいう昭和レビューっぽい場面は貴重になってきますから、おだちんには昭和担当でどんどん活躍してほしいです。
近年のショーでは韓流アイドルとかジャニーズっぽい場面とか、懐メロアイドル系の場面が入ることも多いですけど、セリ美としてはそういうのは本家の韓流とかジャニーズさんとかを見ればいいわけであって、やっぱり宝塚でしか見られないものを大切にしてほしいんですよね。世界に一つってやっぱりすごいじゃないですか。
セリ美も「文章も書いて絵も描いてイベントも催しちゃう唯一無二のふざけたヅカブロガー」を目指してるので、やっぱり独創性って表現者にとって最も大切なものだと考えます。
金ぴかのジャケット着て蝶ネクタイして銀橋で朗々と名曲を歌い上げるという、本来ならば若手にしてみたら「そんなの間がもたないよ!」という場面でも往年の石原裕次郎のように堂々とゆったりと銀橋を渡り切ってしまえるおだちん、本当にあっぱれでした。
ジャニーズ系とかモデル系の下級生ってどの組にもいますけど、なんかおだちんって「石原軍団」って感じしません?(笑)
素晴らしいです、ほんと。
さぁ、セリ美が桜嵐記でMVPをお贈りした千海さんにいきましょう!
……って、ウソでしょ?!?!からんちゃんのwiki、無いの?!?!?!
いやぁぁぁマジかぁぁぁぁぁ!!からんファンの皆様がんばってええええ!!!
「千海華蘭」で検索すると「代表問題」って出てくるんだけど…なに…??
セリ美も実は今まではそんなに注目してこなかった生徒さんでして…
「結構な上級生なのにまるで新公学年みたいなキュートな生徒さん」という情報くらいしかありませんで…
調べてみると、新公では主役こそ射止められなかったものの、大きな役どころばかり指名されているし入団時の成績も9番ということで、やっぱり最初から優秀な生徒さんだったんですねえ。
お顔もこんなに可愛いし、なんでもっと推されなかったのかしら…??
今回のお役はコメディー担当と言ってもいいのかなあ。
ひょんなことからさくらちゃんのお付きになった貧しい農民ですが、農民ならではの身軽さとか気さくな感じがすごく上手でした。
最初はどなたが演じてるのかよく分からなくて、農民チームが蜘蛛の子散らしたように逃げる中、ずっと舞台に残り続けて「こんなお姫様を見捨てて逃げるなんてオラできねえよお」という人の良さがすごく出ていて、「あのめっちゃ巧い人ダレッッ?!」と思ってオペラで凝視してたら、「もしかして…あの可愛い上級生…??」と気付きました。
そのあともたまさんやさくらちゃんのまわりをウロチョロしてるのがすごく可愛いし、教養も無い農民だからこその自由な言動がとてもおかしくてキュートでした。
コメディーって間が命なのでめちゃくちゃ難しいのに、もうほんとにお見事。
あれは男役とか娘役とかそういう次元を超えて、「演劇人」というスキルの高さが求められる役なので、からんちゃん以外に誰もできないだろうな、というほどの素晴らしさでしたねえ。
からんちゃん目当てに配信も見ちゃおうかなと考えてるほど、いまからんちゃんに飢えています。
92期はほんとに芸達者が多いねえ。
つーかさーーー月組ってほんとに人材豊富よねえええ。
いま宙組以外は「2番手どうすんの?!3番手は?!」みたいな状況なのに、月組なんてれーこちゃんありちゃんおだちんという明確な路線さんたちががっちり控えてる他に、るう組長ゆりちゃんまゆぽんからんちゃんという心強すぎるアシスト陣がいるなんて…
いまどこの組も路線スターはもちろん、こういうベテラン勢不足も深刻だというのに…そりゃゆりちゃんとまゆぽんを専科にして「みんなで共有しよ?♪」って言われちゃいますよね。
ゆりちゃんも今回珍しく悪役ということで、あまりに堂々たる悪役でセリ美は幕間に確認するまであの悪いジジイがロイヤルゆりちゃんだったなんてまっっっったく気付かなったほど素晴らしい演技だったんですけど、彼らの名演技を観て、
『芝居の月組』が戻ってきてる……!!!
と大感動したんですよ。
組ごとの特長を挙げてくださいって言われたらやっぱり基本となるのは、
ダンスの花組
芝居の月組
和モノの雪組
暑苦しい(褒めてる)星組
長身の宙組
みたいなのが昔から言われてるものかなと思いますが、やっぱりその時代のトップさんの個性や組子たちの構成によって変わってくるんですよね。
今の星組なんて暑苦しいどころか、琴ちゃんを筆頭に爽やかアイドル路線になってますしね。
で、月組もいつの時代からかそんなに「芝居は任せろ」みたいな個性じゃなくなってきてた印象でした。
芝居の巧い巧くないは見る人それぞれに依るところが大きいので、「この人はそんなにお芝居の人じゃないよね」って明言はしませんけども。
しかし、たまさんも含めて、全員本当にお芝居が素晴らしい。よく、推されてる下級生が台詞を言って「おっと、まだ発展途上だネ!」と思うことがありますが、そういう人が誰もいませんでした。
その上、「おっとっと…」な歌唱の人も誰もいない。
ショーでもすごく群舞が揃ってました。
実力で見たら月組っていま宝塚ナンバーワンなんじゃないか…?!と気付き、(月担の皆さんからしてみたら「おせーよ!」ですよねえ)なによりも芝居の巧さが際立っていて、月組の伝統芸をしっかり継承してるところに感動してしまいました。
組長さんをはじめ、組子たちが「うちの組の伝統を途絶えさせてはいけない!」としっかり下級生に教えて継承していく姿って、日本の伝統工芸の技術を弟子に伝えていく匠たちみたいでとてもかっこいいですよね。
そうやって、自分たちの仕事に誇りをもって命を懸けてる姿がまたドラマチックで、その誇りがタカラジェンヌさんたちの外見の美しさにさらに磨きをかけてる気がしますね。
なんだかからんちゃんの見事な演技力を見て「月組やべえぞ」って覚醒した感じがあったので、ゆりちゃんまゆぽんが常勤してくれなくなるのはすごくサミシイですけど、逆にりんきらさんが月組さんにヘルプに来てくれるなんて面白いことも期待できるので、今後の月組さんも前のめりで見守っていきたいと思いましたね~。
あ、気持ちだけ前のめりね。
気持ちは前のめりに、観劇は背をつけて。
これ全ヅカファンのスローガンですものね。
また、そこまで生徒さんのポテンシャルを引き出すくーみんと中村A先生の手腕も本当に素晴らしい。
fffでのくーみん生田コンビも素晴らしかったし、桜嵐記でのくーみん中村Aコンビも素晴らしかったし、お芝居もショーも最高ランクって本当に見ごたえがある!これで2000円(2階17列)だなんて申し訳ないくらい。
シャーロックでの生田野口コンビも頑張ってくれよー!
ということで、桜嵐記/Dream Chaserの感想でした。
ほんとはもう3回くらい観に行きたかったなぁ。でも今は絶賛節約期なので、我慢しました…。
いつだって貧乏暮らしなセリ美でありますが、今は特に節約しなくちゃいけなくてね…
その理由は次回のブログでちょっとお話ししてみたいなと思いまする!!!
それでは~~~
シャーロックの次の別箱っていつ発表になるん…??


コメント
コメント一覧 (6)
そーなんですよ!月組!ホント芸達者がゴロゴロしてるんですよ!....とはいっても、のんのんが月組推しになったのは、2017年「グランドホテル」からなんですけどね。
セリ美さんご指摘の千海華蘭ちゃん、かわいいお顔ながらいつもピリリと芝居を引き締める山椒のような存在。前作ではロートレックを演じていましたね。
しかし、ここ最近の月組、特にちゃぴ退団後の月組の凋落といったら.....そりゃー、ひとえに企画のせいだろう とのんのんは思うワケです。たまさくコンビのテイストを無視した作品の数々。セリ美さんがおっしゃるようにたま様のヒーロー感を全面に押し出す作品をなぜやらぬ!?なぜ歌が得意でもないたま様にミュージカル?ひねくれて、斜に構えたような持ち味なんかないたま様になぜ「赤と黒」?
「太王四神記」やりたまえ!!たま様タムドク、れいこヨン・ホゲ、....ときたら、ちなつ様はプルキル!!!!見たいぃぃぃ
と、思ってたワケですが。ようやく「桜嵐記」で花咲いたようですね。ウエクミ先生デビュー作「月雲の皇子」で、たま様の魅力を十二分に引き出したウエクミ先生ならではの名作に仕上がったのでしょうね〜〜
さくらちゃんはお稽古中「金髪の女のコが喋っているようにしか見えない」と、ダメ出しされたみたいですけど.....。
しかし、さくらちゃんもちゃぴの後を受けてのトップ娘役就任で色々ご苦労されたことでしょう。
さて!!21日の配信、楽しみに待つことにしましょう!!
月組をこれからもよろしく!!
長文の個人評、ありがとうございました。
うん、うんと頷くことばかり。
100分de名著、良い番組ですよねえ。
風と共に去りぬのときは、まさおが朗読してましたねえ。
さくらちゃんもまさお一派!そうか、そうだったのか……では仕方あるまい。
とはいえ、さくらちゃんのセリフ回し、洋物だと気にならないのだけれど、和物は、武蔵の時も、今回も気になりました。
なんだろ、語尾がはねるっていうのかな……
千海さんは、武蔵の時の本阿弥光悦も良い印象が残ってて、本当に達者な方だと思います。
私は紫門さんに驚愕しました。あの化けっぷりとショーでの華やかさが同一人物とは、もう恐れ入りました。
ちなつさん、ほんと特別な方ですよね。外箱の主演とかまた見たいなあ……
れいこさんとくらげちゃんは、申し分ないので早く見たいのだけど、私今西は宝塚、東は名古屋までの移動と決めておりますので、ロマンス劇場までお預けですわ。来年か~
とりあえずは、21日の配信を前のめりになって待ちます。
”気持ちは前のめりに、観劇は背をつけて”
名スローガンですね。劇場に貼って欲しい!
分かってはいたけれど、楠木三兄弟の美丈夫ときたら、だんご三兄弟もびっくりですね。ちなつさんが帰宅して、くらげちゃんに「ゆり」と呼びかけるところ、観てる女性全員自分の名前に置き換えましたよね?!三途の川に愛妻を追いかけるちなつさん…魔女のハートは脂身赤身とも丸焼けになりました。
おだちんが石原軍団の鉄砲玉なら、たまさんは若頭でしょうか。サングラスをかけて、拉致されている地下倉庫の扉を蹴破り、サングラスを外して優しい眼で「ごめんね」と見つめてほしい。
さくらちゃんはなるほどのまさお一派。公家訛りだと思うことにしました。オーストリアではオーストリア人になりきってセリフ回しは吹き替え風でしたね。華やかだし芸達者だと思うことにしました。
理解力の乏しい魔女は、初見ではたまさんの大事な最期のシーンが腑に落ちませんでした。みんな、たまさんを置いて行ってしまって、残されたたまさんは一人でしっかり喋ってるし…すみません、どなたか解説お願いします。
ショーは久しぶりの王道パターンでしたね。黒燕尾のパガニーニ、ガツーンとした音が響き、たまさんらしいパンチが効いていました。
ロケットのお衣装の白いふわふわしたパーツが舞台に落ちていたんですね。気になって見ていたら、踊りにくかったかもだけど誰も踏まなくて、そのまま、デュエダンに。男役さんだけのダンスで順番にはけるときに、さっと回収して行かれました。
美しいものを観ることには価値がある、そしてジェンヌさんの優しさに触れた時間でした。
月組さんやちなつさんへの賛美はもはやのんのんさんに向けて書いているといっても過言ではありませぬ!
ちなつさんの素晴らしさを最も分かち合ってくださる読者さまだと思っております!!
でもほんとに、こんんんなにスター揃いだというのに、なぜこうにも作品に恵まれないのか…本文でも「なぜだか作品に恵まれないトップコンビが稀にいる」と書きましたが、たまさんもそれにあたる人のように思いますねえ。赤と黒なんて、中日劇場無き今、セリ美にとって遠征せずとも劇団のほうからこっちに来てくれるなんて願っても無いことなのに、赤と黒じゃあ…と結局行かず仕舞いでしたわ。ああもったいない。せっかく近くで公演があったというのに!!!
どうかれーこうみコンビにはお2人にぴったりの作品が来ますよーに……
さくらちゃん、あんんんなにええ声してるからコントみたいに大げさな抑揚つけなくても充分上手に聴こえるんだけどなァ~。「んまさつらさまッ…」ってこねくり回さんでも…と思って観ておりました。ああいうの、くーみんは指導しないんでしょうかね~。
いやでも、とにかく作品の素晴らしさには変わりはない!!
やっぱり思うに、くーみん初級編である月雲の皇子、翼ある人びと、星逢、金色、神々は疑問点も一切なく、とにかく哀しく美しい物語であり、中級編にあたるSAPAとfffは「人類が向かうべき道とは、不幸とは」というあまりに壮大すぎる、全人類の闇に焦点を当てすぎている作品なのでさすがのくーみんも手に負えないテーマのように感じます。
そうすると今回の桜嵐記は初級編に属すると思うので、ああ、原点回帰してもらって本当に良かったという気持ちです。
しかし、だいもんの退団作品に引き続いてすぐにたまさん退団作品でお呼びがかかり、ジェンヌさんたちからも絶大な人気を得ていることが分かりますなあ~
早く次回作の告知が欲しい!
たまさんの最期ですか…セリ美も一度の観劇でしっかり記憶できる頭脳の持ち主ではないので、東京楽の配信でそこんとこしっかり確認してみますね!
長男は家名のために人生を捧げなくてはという真面目一徹、次男はそんな兄を見て風来坊な優男になり、三男は家督相続権利のない身分をバネにして野心の塊。でも兄弟みんなで助け合って理解しあっているというあの三兄弟のキャラクター分けも絶妙ですよねええ。
歴史上の人物って我々はどうしても人間臭さを感じにくいですけど、実際はあのように一人ひとり性格も考え方も違って、過酷な運命の中でもイノシシを丸焼きにしたり桜の下で酔っ払ったり、陽気な一部分もあったのだろうな、と歴女としてもとても楽しめました。
ショーはスタンダードで気品があって、とても好みでした。魔女さんのようにクラシックに造詣が深いと楽しみ方もさらに深まってうらやましい限りです。音楽の教養のない自分が悲しい…
遭遇できたらラッキー!なハプニングも目撃できて良かったですねえ!あれこそ生観劇の醍醐味。音楽学校から統制がしっかりとられているジェンヌさんの「相互補助」の本領を見た気持ちになりますよね~。
セリ美は意外とそういう場面に出くわさないんだよなァ。つまんないの~。
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