画家になるとかいって家を飛び出したと思ったら今度は外国で刑事さんになってるってあーちゃんから教えてもらったけど…


やっぱり着物の端切れを間違えて燃やしちゃったのがいけなかったのかしら……

でもわざとじゃないの!!
お庭で菊坂の草餅を温めようと火を起こしてたら火が消えそうになっちゃって…そらの部屋に布のゴミがあったのを思い出してそれを使ったら、あの端切れがそらの宝物だったなんて知らなかったのよ母さん……

明日ゆっくり謝ろうと思ったら台所に書き置きがあって……




切り裂きジャック





ごめんねそら……切り裂きジャックを捕まえたくなるほどショックだったなんて……!

だって最近のそらったら毎日違う女の子と遊んでばっかりで母さん心配だったのよ…
だから一緒に草餅でも食べていつものそらに戻ってもらおうと思って…

あとにするかいま食べるか聞かなかったのがいけなかったのかしら…泣



ずっとじゅっちゃんと付き合ってたのに、なんだか最近はじゅっちゃんの愛がちょっと重たくなったとかいって、町内会でも有名な箱入り娘のひばりちゃんとか、あんまりいい噂を聞かないモデルのひろこちゃんをおうちに連れ込んだりして…

時にはホステスのさらちゃんまで…!!



あの子ったらいつからあんなに女ったらしになっちゃったのかしら!!!
赤い鳥が逃げたからとかいって何十人もの女性たちを連れ込んでた日もあったわね!!!



かと思いきや、何やら部屋でずん先輩とららちゃんとダンスの練習してたこともあったのよねえ…

それに使うから魚肉ソーセージを6本買っといてほしいって言われて部屋に持って行ったけど、両手に魚肉ソーセージ持って何やってたのかしら…??



女の子とばっかり遊んでたり、映画監督になるって言ったり、魚肉ソーセージでダンスしてたり、どうもやっぱり最近のあの子はおかしいわ…!
母さんの育て方が悪かったのかしら…お風呂の温度が高すぎたせいかしら…




悩んでてもしょうがない!!!

そらを追いかけて早く謝りに行かなくっちゃ!!!!


















はい、久々の親子劇場でしたねえ。
夢千鳥のときも書くつもりでいたんですけど、予想外の千秋楽が来てしまったのでねえ…

母さんはいつだって愛息そらを追いかけてますけど、今度はどこに飛んで行ったのでしょうか。







さて、待っておられる読者様がたもいらっしゃると思いますので、さっそくレポ行きましょうね。


でも、その前にひとつ注意事項を。


ヅカファンって、多くの人は第1次熱中期と、第2次包括期が訪れるものだという持論があります。


第1次熱中期はまさに沼堕ち期となりますので、宝塚という素晴らしい世界を知り、だいたいは「この人、めっちゃスキッッッ!!!!」と一人の贔屓を追いかけ始めます。まぁほとんどはトップさん~4番手さんあたりを好きになりますよね。


で、ものすごい勢いで宝塚という深い深い世界の知識を一気に吸収していき、翌週あたりにはスカステ加入、翌月あたりには「もう研13だし次の別箱では東上するよねゼッタイ~でもブリリアの刑だったらサイアク~」みたいな呪文のような言語を使い始めます。

堕ちたてのオタクの吸収力ったらもうスポンジが水を吸うようにってやつですからね。



で、その
第1次熱中期はもうとにかくそこに贔屓がいればそれでいいので、作品の良し悪しなど二の次三の次、とにかく贔屓の出番が多かったりオイシイ役であればもうそれでいいわけです。
いかに前方席のチケットを確保して贔屓の立ち位置の近くに座って視線をもらうかに命かけるわけです。



そしてその贔屓を退団まで見送って完全燃焼するか、結婚や出産を迎えて一旦宝塚からは離れるわけです。


育児に追われて趣味どころではない日々を過ごし、いくら可愛い我が子とはいえ、さすがに子供にばかりすべてを捧げて、たまには私だって息抜きしたいのよおおおおおおという行き詰まりが訪れます。

そんな時にふと当時のヅカ友さんからの「久しぶり~!月組のチケット1枚余ってるんだけど、どう?」と誘われたりして数年ぶりに劇場に足を踏み入れ、「うわああああ懐かしいいいいい」と独身時代の自分を思い出し、「今の生徒さん達よく知らないんだよなあ」とか思いながらも、羽根!ドレス!キラキラ!!と、やっぱり宝塚の素晴らしさを再認識。

それ以来はすべてのタカラジェンヌの母のような気持ちで5組を満遍なくのんびり観劇するようになり、
第2次包括期へと突入していくわけです。




セリ美はもちろん
第1次熱中期はミズさまに捧げ、ご卒業をお見送りして完全燃焼してしばらくの休養に入りました。

そして愛知で新しくできた知り合いに「タカラヅカって興味ない?」と言われ、「え……?ゴリゴリのミズさまファンですが…?」「こんなところにヅカファンがいたーーーー!!!」ということになり、数年ぶりに中日劇場で凰稀かなめさんのロバートキャパを観て、しかも懐かしのシトラスということでもう懐かしくて懐かしくて大号泣、「タカラヅカ…やっぱ好きだなあ」とそこからちょこちょこ観始めるようになったら「あらこんなところに息子がいたわ」という流れですね。


とはいえ、今は息子を筆頭にすべてのジェンヌさんが息子・娘に見えるので、多少の好き嫌いはありますが包括的に観劇生活をしているわけです。
この状態に入ったらもうきっと宝塚との別れは訪れません。穏やかにのんびりゆっくりと宝塚を愛しながら死の床を迎えるのでしょう。その時には宝塚市民になっていたいものですけどね。


この、
第1次熱中期と第2次包括期の大きな違いは、「作品の良し悪しを気にするかしないか」だと思っています。

さきほど書いたように、第1次ではとにかく贔屓がそこにいてかっこよく活躍していればそれで大満足なので、多少のトンチキは全然気になりません。下級生の路線乗り降りも全然気にしてませんでした。
まさにセリ美がそうでしたから。

当時セリ美はミズさまサイコー!劇場通いやめらんねえええ!としか思ってなかったのに、いま改めて出会うミズ友さんたちが「あの作品は駄作だったよね」とか言ってるのを聞くと「エッ?!そうなの?!」とびっくりすることがよくあります。
言われてみれば確かによく分からないストーリーだったような気がするなぁ、と。


そして第2次では贔屓を応援するというより作品自体や宝塚全体を楽しむ感性で観ているので、今のセリ美のようになんやかんやと劇評をしたり下級生の路線乗り降りを興味深く見たりするわけなんですね。
第1次と違って盲目的になっていないので、自分とは違う意見でも「そうかァ、そういう見方もあるのね」と穏やかに冷静に捉えることができます。


しかし、第1次の人が、自分の贔屓が出ている作品にケチをつけられようものなら、もしくは自分の贔屓を「まだ発展途上ですね」とか書かれようものなら「許すまじ!!!」ってなってしまいがちなんですね。



なので、これから書くシャーロック/デリシューレポは割と批判的な内容が含まれるので、今まさに第1次の人などは「何言ってんだこの赤パーカーが!!!」って思っちゃうかもしれません。

シャーロック大好き、デリシューサイコー!な人は、あんまり読むことをおすすめしませんという注意だけ先にお伝えしておきますね。


あ、生徒さん個人へのダメ出しはまったくありませんので、その辺はご安心を。特に宙組は実力高い子ばっかりなので、褒めるところしかありませんからね。

とにかく演出家2人への強烈なダメ出しでございます。特に野口くん。ダメ出ししまくります。








それではいってみましょう。






シャーロックはまぁ推理モノとはいっても、見るからにキキちゃんが悪役であることは一目瞭然、「一体だれが犯人なんだ?!」という作品ではないので、ネタバレしないほうが作品を楽しめるというスタイルではないと思います。ご安心を。


そりゃあね、原作は世界トップの人気小説ですからトンチキなわけはないんです。普通に楽しめます。
シャーロックホームズという人物像の描き方も、日本で言うところの古畑任三郎的な感じで、人としてはかなり変人だけど仕事においては超一流、コメディータッチのところもあって気楽に観られるミュージカルではあるんです。

だから話の大筋も普通に理解できます。




……が。



「え??どういう意味??」という箇所がすごく多いです。

セリ美は既に3回観てますけど、観れば観るほど「え…この台詞どういう意味?」って疑問が増える一方。

セリ美の理解力の低さという問題もあるような気もしますが…



でも、一応23年宝塚を観ている経歴はあるので、そこまでポンコツじゃないと思うんですよね…

このブログを読んで、「セリ美、それはこういう意味だよ!」って思った方はぜひセリ美に教えていただきたく存じます。有識者からの解説を心より欲しています。




最初は切り裂きジャックの事件をまかぜが解決しようと動き出すところから始まるんですが、もうそこから分からない。


何が分からないって??いやもう何から何まで。


浮浪者に変装したまかぜが何かしらの罠を仕組んで切り裂きジャックの正体を掴もうとするんですが、その罠が何なのかも分からないし、エビちゃんが切り裂きジャックのターゲットとして狙われるんですが、なんでエビちゃんが切り裂きジャックのターゲットにされたのか、なんで殺されずに帰されたのかも分からない。


すっしーさんは幕開きすぐに、愛人である潤花ちゃんに睡眠薬を飲まされて国家機密を潤花ちゃんに盗まれちゃうんですが、潤花ちゃんがどうしてすっしーさんの愛人なのか、なんのメリットがあって愛人をやってたのか、国家機密を盗んだ理由も目的も分からないんですよねえ。


そこで国家機密を盗まれちゃったから、それを取り返すためにすっしーさんはキキちゃんに依頼をしてるんですが、その国家機密取り戻し依頼と切り裂きジャックの関係性も全然分からない。

エビちゃん保護のときに警察が「切り裂きジャックの犯人」として捕まえた男たちのことを、すっしーさんがキキちゃんに「捕まえられてるじゃないか!何やってんだ!」って怒る意味も分からない。
すっしーさんは国家機密を見つけ出してほしいっていう依頼をしてるだけじゃないの?なんで切り裂きジャック事件と関わってるの?



キキちゃんはいわゆるサイコパスとか独裁志向のあるイカレ野郎って人物なわけですが、それを手助けしてるのが兄のしどりゅーで、でもしどりゅーは多分サイコパスじゃないんですよね。ただ弟の手助けをしてるだけで。
でもキキちゃんのために秘密の武器製造所を作ってあげたりしてるので、それなりに目的があって共犯してるんだと思うんですけど、その目的が分からない。お金?


キキちゃんを捕まえるための罠としてまかぜは国の式典を使うんですが、それはキキちゃんを捕まえるための罠なので偽の式典であり、出席している各国の大使たちも偽者だと言っていて、じゃあ本物の式典は?本物の式典の日時を変更したのなら、その通達は各国大使たちに出ているわけで、キキちゃんしどりゅー兄弟がその通達を知らないはずがないと思うんですよねえ。


その偽式典でキキちゃんはイタリア大使に化けて潜入して、ロシア大使?かなんかに化けたずんちゃんを刺し殺すんですが(ずんちゃんは死んだふりをする)、今まで自分では一切手を下さずに犯罪を犯してきたのに、なんでそこだけ自分がわざわざ表舞台に出ていって危険を冒したのか分からない。


そして女王陛下を爆弾から守ろうとして飛び出したうちの息子がなぜか衛兵隊に捕まって連行されていくんですが、その意味も分からない。


そして最後に緞帳が閉まる直前のあの不思議な演出の意味も…分からない!




他にもまだまだあるけど、ちょっと記憶が定かではないのでもう少し確認してからまた書きますね。




とにかく、まかぜが探偵で、キキちゃんが犯人で、潤花ちゃんがキキちゃんの元仲間だったけど今はキキちゃんに追い詰められているからどうか助けてほしいとまかぜに懇願して、まかぜはそれを実行する。

そういう大筋は分かります。


でもこういう細かいところがぜんっっっっぜん分からないです。3回観ても。





さらに、全体的に舞台が暗くて曲もあんまり耳に残らなくて盛り上がりが少ないので、すごく眠くなりました…

同じようなバラード調の歌をまかぜが何度も銀橋で歌うので、どうせ銀橋で歌い上げるならもうちょっとぜんぶ違う曲調にすればいいのにどれもみんな同じ曲に聴こえて退屈になってしまいました。






今回のモチーフは鎖ということですが、生田くんはひかりふる路のときも、断頭台の刃をモチーフにした斜めの線を舞台のいろんなところに入れていて「モチーフの使い方が上手いなあ」と思いましたが、今回もモチーフ使いはかなり秀逸ですね。

セットデザインにも組み込んでありますし、鎖に絡めとられていく人々の困惑を表すダンスの場面にもセンス良く採り入れてました。

盆もセリもフル稼働ですし、演出法に関してはすごく上手ですね。


生田くんの初のショー作品であるシルクロードも最初はちょっと印象が弱くて「う~~ん」でしたが、観ていくうちにすごく味わい深くなって、今では大好きなショーになりましたので、もしかしたらショー作家のほうが向いてるのかもしれないなあ。



シャーロックも細かく物語の設定を聞いていけばきっと全部ちゃんとつながるんだと思うんですけど、研23のセリ美が3回観ても分からないものを、一見さんは1回で理解できるのでしょうかねえ?

やっぱり舞台って、何度もリピートする人用じゃなくて一見さんが1回観てすぐに理解できる明快さがとても大事だと思うんですよね。
観る側の理解力に頼っちゃダメってことですね。


だから、生田くんとしてはすべてつじつまの合うカラクリにしてるのかもしれないけど、あまりに分かりづらいです。

シャーロックが犯人を追い詰めるまでの罠や過程をもっと分かりやすくしてほしかったなあ。





あと、息子のモンスター母としては、息子の見せ場が少なくて不満です。
警部のオイシイとこ、どこにあった??りんきらさん殴るところ??
あれなら姉上の敵討ちに燃えてる藤九郎くんのほうがまだキャラ立っててオイシかった。

ずんちゃんのワトスンくんだって、3番手さんなりの出番量はあるにしろ、ワトスンくんの人となりが伝わるところがなさすぎて、オイシイ役とは言えないんじゃないかなあ。


まかぜとキキちゃんと潤花ちゃんだけのストーリーって感じ。
トライアングルなんとかノって言ってるくらいだから3人の関係性だけが見せ場なのかもしれないけど、もうちょっと3人以外のそれぞれの役にキャラクター持たせてほしかった。






生田くん、好きな作品ばっかりだったからハードル上げちゃったこちらも悪かったかもしれないけど、こんんんんなに不明点ばかりだと思わなかった。

アナスタシアがとてもいい作品だったから、余計にウトウトしてしまう…



まかぜも熊本への凱旋が決まってちょっと退団フラグ立った感じがするので、そうだとしたらバロンの末裔含めてもう残りあと2作。

貴重な主演作なのに、このシャーロックで1作品使っちゃったのはちょっと勿体ないような作品レベルだな…と思ってしまう感じでした。




セリ美は有難いことに初日を観ることができたので、もし生田くんを見かけたら「ドン・ジュアン、変な演出しないでね!!!!」って言ってやろうと心に決めてましたが、もし今度お見掛けしたら「先生…シャーロック全然わかんないです…」って言っちゃいそうです…




既に観劇された方で、セリ美のこれらの疑問、私が解決してみせよう!という名探偵がおりましたら、ぜひにお待ちしております。セリ美を助けて!










さて、デリシューに行こうと思いますが長くなってきたのでまた次回に。

できるだけ早く更新しまーす!





あ、今回は久しぶりのショーもあるということで、fffレターに引き続きシャーロック/デリシューレターも作ってみようかと思っておりまする。

既にネタは温めてあるので、お楽しみにね~!











不動産屋さん巡りもしてきたので、またそれも書きますね~