セリ美が知る限り、史上最難関のチケ難になっておるプロミセス@ドラマシティ。
まさにプラチナチケットですよ。
無事に千秋楽を迎えたようですね。
もう~~どこに訊いても、誰に訊いても、無い無い無い無い。
肝心の芹香のオンナたちもヒィヒィ言ってたそうじゃないですか。
ハッスルの時も夢千鳥の時も本当に大変でしたが、今回よりはまだマシだったように思いますね。
セリ美は割と「チケットもご縁」だと割り切っているので、手を尽くしてみて取れなければ配信とかスカステ見ればいいや~~なんて悠長に構えてたんです。
いや~~危なかった~~~!!!
まさか映像は初日のスカステ映像のみしか残らないなんて…
そんな酷い仕打ちあります~~?!?!
本当にたまたまお取次ぎしていただけるところがあって、そこももうほとんどお断りだろうなと諦めてたんです。でも幸運にもOK頂けまして……
2回だけ観ることができました……
ブリリア刑場のほうはまさに引っ越し真っ最中期間だし、せっかく難関くぐり抜けて刑場まで辿り着いても噂に聞く刑罰に泣くことになるのも嫌だったので、最初から申し込んでおりませんでした。
この2枚のチケットが無ければ可愛い可愛い息子のクズ男ぶりを見ずして死ぬところでした…
ニール・サイモンってものすごく版権にうるさいって聞きますけど、それなら劇場をもっと大きいハコにするか、公演期間を長くするとかしてくれたら良かったのにねえ。
まぁそれだと息子がオデッセイに乗船できなくなるから、そういう兼ね合いとかいろいろあるんでしょうけどもね。
20世紀号のときも成仏できないたくさんの亡霊がツイッターを彷徨っていましたが、プロミセスの亡霊もこれからツイ界を彷徨い続けるのだろう…
少しでも亡霊たちが成仏できるよう、いつもより丁寧にレポするのがセリ美の役目だと思って頑張って書いていきたいと思いますです。
いつもは順序だてて丁寧にレポすることはあまりなく、好き勝手なことを順不同で書くスタイルですけども、今回は物語に沿って細かくレポしていきましょうかね。
あ、パーフェクトにネタバレしてるので、ブリリアを予定されてる方はご注意くださいね。
ドラマシティっていつぶりだったかな?写真撮影禁止でしたっけ??
開演前にスタッフさんがしきりに「開演前に緞帳があがりますが、そこからは写真撮影禁止です」と言ってまわってましてね。
ニール・サイモンはセットにも版権あるんか?
でも翌日は緞帳上がる前から「写真撮影禁止」という案内に変わってましたね。なんだろう?
でも、開演してみたらなんとなくその意味が分かって。
基本的にセットは出し入れ無しで、表側がキキちゃんちのアパートになってて、裏側がキキちゃんの勤めるオフィス。
場面転換では盆が回るだけというよくできたセットでしたねえ。
セリ美の画力ではこんなもんでスイマセン……
ニューヨークの可愛いアパートって感じで、普通に間取りもロフトベッドルームがあっていいですよねえ。
しかも、当時のニューヨークスタイルなのかどうかわかりませんが、ベッドサイドに洗面があるってのも面白いですよね~。
いま目下引っ越し中のセリ美は「あ~なるほどな~そういうのもいいな~」なんて興味深く見てました。
確かに洗面って起きるときと寝るときに使うものですもんね。
言われてみれば、この遠征人生で泊まったホテルは数十箇所、ベッドサイドに洗面があった部屋もありました!
広いお部屋よりも、こういうコンパクトに上手に収められた間取りって好きなんですよね~。
セリ美も新居ではロフトベッドを採用して、下段にデスクを入れて仕事スペースにして、上段には座椅子とテレビを置いてスカステ鑑賞スペースにしようと画策中。
まぁ、その前にスカステが無事に開通するかどうかまだ分らんのですけどもね…
セリ美の新居の話はさておき。
緞帳が上がってこのセットが登場、暗転したまま1分ほど待っていると目覚まし時計の音がジリリリリと鳴り響く。
シーーーーン……
何も起きない。
10秒ほどしてまたジリリリリ。
スヌーズ機能。
そしてベッドに潜んでいたキキちゃんが寝癖のついた髪でガバっと起床!!時計を見て「ヤバい!!」という顔で大急ぎて洗面台で支度開始!
ということは、緞帳開いてからずっとキキちゃんはこのベッドでお布団をかぶってスタンバイしていたということになりますので、その兼ね合いもあっての「撮影禁止」だったのかなあ?なんて。
目覚まし鳴るまで1~2分あるんですが、お布団の中でうっかりウトウトしちゃいそうで怖いですねえ。
「あ!キキちゃんそこにずっといたのね!」
というサプライズで一気に惹き込まれます。60年代の華やかな音楽に乗って歯を磨いて顔を洗ってシェービングクリームつけて髭を剃って、またクリーム塗って、ワックスで寝癖を直して。
T字カミソリで髭をぞりぞりやってるジェンヌさんの姿、なんか新鮮でしたね(笑)
男役さんでもなかなか髭剃りのシーンって無いですからね。
あの中で本物はヘアワックスだけだったと思うんですが、鏡は壁に設置されてないのに、鏡も見ずにワックスで寝癖をサッと直して綺麗な髪形に整える技術すごいなあ、と感心してしまいました。
VO5さんの高性能もあるんでしょうけど、ほんとにジェンヌさんの自由自在のスタイリングって特許の一つですよね~。
場面に合わせてサラサラもガチガチもルーズも瞬時に変えてきますもんね。
準備を終えたキキちゃんがパジャマのまま下の階に降りてきて、早替わり用になっていたパジャマをババっと脱ぐとスーツ姿に変身。
トースターにセットした食パンがチーンと焼きあがったらそれを咥えて玄関を飛び出す!!
あ~あ~~この可愛いキキちゃんと曲がり角でぶつからないかな~~。
ドシーーーン!!☆
「ちょっと!危ないじゃないの!どこ見てんのよ!!」
「ああ!ご、ごめんなs…」
「あ……♡」
「あ………♡」
はい、フォーリンラブ。
朝に食パン咥えて曲がり角でぶつかって恋に落ちるのは日本古来から伝わる伝統の文化ですからね。
セリ美も一度くらい経験してみたかった。食パン咥えて花の道に飛び出せばどこぞの組の誰かとぶつかれるかしら。
こんなイノシシみたいなセリ美とほっそいジェンヌさんが激突したら病院行きにさせちゃうからダメだわね。
せめて妄想の中だけでも許しておくれ。
…はい、妄想から戻りました。
起床から出かけるまでのこの作業をキキちゃんは1~2分で完了させるんですが、いかにも住み慣れたこの部屋で毎朝こうやって出勤してるんだろうなという役のイメージが掴めて、上手な演出でしたねえ。
そして満員電車に揺られて、ニューヨークのど真ん中にある保険会社に出勤する。次々に高層エレベーターに吸い込まれて吐き出される人々。
産業革命から欧米諸国はめざましい発展を遂げ、バブルを迎えて景気は急上昇ではあるけれど、社畜のようにみんな一様に席でカタカタとタイピングをするだけの仕事。
それが終われば花のアフターファイブ。今日はどこで飲もう、誰と遊ぼう、といそいそと出かけていく。
でも、キキちゃんだけはなんとなくうまくやれない。
存在感が薄くてお人好しゆえに仕事を押し付けられたり、意中の女の子(じゅっちゃん)にもうまく声をかけられない。
それでも決して未来を悲観しているわけではなく、「いつかビッグになるんだ!!幸せになるんだ!!」と夢見て日々をポジティブに頑張っている経理部の平凡な青年です。
みんなに仕事を押し付けられても、「この残業姿をシェルドレイク部長(そらさん)に見てもらってアピールするんだ!!」と頑張りますが、肝心の部長にはキキちゃんのあまりの存在感の薄さに、その姿すら認識してもらえません。
物語は、キキちゃん自身がストーリーテラーとなって客席に話しかけるスタイルで進みます。
「僕って子供の頃からずっと平凡、こういう人間なんです…でも大きな夢があるんだ!!きっと叶えてみせる!!!」と。
この客席との掛け合いがすごく可愛くて面白かったですね~。
例えば、じゅっちゃんの登場シーン。
「あら、チャック(キキちゃん)!」
「やぁ!ミス・クーベリック!キミも残業?」
「そうなの、食堂の仕事が残ってて…って嘘よ♡あなたに会いたくて残業してたのよ♡おかげで私があなたにゾッコンだってみんなにバレバレよ…ねえチャック…(キキちゃんの首に腕を回す)今晩どこかで一杯飲まない?そのあとは……」
「ストーーーーップ!!!」
暗転、キキちゃんのみにピンスポット。じゅっちゃんはストップモーション。
「(客席に向かって)………嘘です。(ヒロシです…の感じで)そんなこと言われたこともありませんし、今後言われることもありません。僕は仕事にも恋にも運が無い。だから時々こうして妄想にふけるんです。そのくらいいいでしょう?実際の会話は…」
指をパチン、暗転が解けて現実世界に戻る。
「あら元気だった?フランク」
「チャック…チャック・バクスターだよ…」
「あらそうだったっけ?ごめんなさ~い?」
「ああ、いいよ気にしなくて」
「そういえば今週は食堂に来なかったわね?具合でも悪かったの?」
「毎日行ってたよ…。ああそうだ!今晩もしよかったら…」
「ごめんなさい予定があるの~それじゃフランクまたね~」
じゅっちゃん、エレベーターに乗って去る。
「(客席に向かって)…ねえ、このあと一杯付き合ってもらえません?あなた今晩なにもないですよね?」
みたいな感じで物語が進んでいくスタイル。
演劇においてはそう珍しくない演出ではありますが、キキちゃんの軽快な台詞運びにすごく合っていて素晴らしかったです!!!
このキキ妄想劇場、このあともう一回始まるんですが、「(またやってしまって)すみません……
(指パチン)」というテンドン技が非常に効果的でした!
そして会社帰りに行きつけのバーに寄るキキちゃんですが、そこで会社の重役であるりっつ(既婚)に偶然会います。
りっつは連れの女の子(花宮沙羅ちゃん)とイチャイチャするための浮気部屋を探していて、ちょうど独身で一人暮らしであるキキちゃんに目を付け、「今夜、1時間だけ部屋を貸してくれないか…?」といやらしく迫ります。
自分の部屋をヤリ部屋に使われてしまうなんて、ラブホテルじゃあるまいしそりゃあ嫌ですよねえ。
キキちゃんはしばらく渋っていますが、意外と野心家であるため、昇進の約束をりっつに口にされると心が揺らぎます。
そしてついにカギを手渡してしまいます。ここから原作タイトルである「アパートの鍵、貸します」という状況に陥ってしまうわけですね。
これに味をしめたりっつは毎週火曜日になるとキキちゃんの部屋を使いに来ます。
更に、この噂を聞き付けた浮気常連者の重役たちも次々に「私にもカギを貸してくれ」「私にも」とわらわら寄ってきて、
火曜日:りっつ
水曜日:まっぷーさん
木曜日:澄風なぎくん
というローテーションで夜に部屋を数時間貸す羽目に。
さらにここに飛び込みでしどりゅーも加わって、その4人はもうキキちゃんの部屋をラブホテル代わりに散らかしたい放題。
アパートの隣に住む医者、まゆぽんも「毎晩毎晩お盛んなことだな!おかげでこっちは一睡もできんよ!!」とおかんむりです。
そして「そんなに眠れないならこれでも飲みなさい。よく効くぞ」と睡眠薬を渡します。
もらった睡眠薬を飲んで今夜こそあったかい布団でゆっくり眠ろう…と薬を飲んだ瞬間に「部屋を貸してくれ!」と押しかけてこられたりして、さすがにもう嫌気がさしてきた頃に、ついに待っていた人事部長(そらさん)からのお呼び出しが!!!
しかし、急に重役たちの推薦を集める事態は怪しいと知っているうちの息子。
なにせ仕事はできる男ですからね。社内中の情報は全部掴んでいます。
以前にも博打で重役たちを儲けさせて妙に昇進した男がいたことがあり、キキちゃんへの推薦も裏があることを息子は知っています。
これで昇進の話は無しに…と思いきや、息子も不倫常習犯。やっぱりキキちゃんのカギが欲しいわけです。
キキちゃんの出世&今夜のバスケットボールの試合のチケット2枚と、キキちゃんの部屋のカギを交換しようと持ち掛けます。しかも、りっつたち4人にはもう部屋を使わせず、自分だけに使わせろという圧をかけます。きゃーサイテー。
ここでこの交渉をする歌を2人で歌うんですが、いや~~~もう声の相性もピッタリでね~~~!!!
キキそらは普段から仲良しなお2人ですから、そりゃあ芝居の掛け合いもピッタリで、2人のタッグはこれが最後なのか…と思うともう本当にマイ初日は泣けてしまいましてね…
ウェストサイドで初タッグを組んだお2人さんですが、そのあとの作品ではもうほとんど絡むことがない役ばかりで…
ずんそらにしろキキそらにしろ、どうしてこう宙Pって仕事ができないんでしょうねえ。
もっと早くにどんどん芝居でこの2組を組ませて、オサアサみたいにセット売りしちゃったら相・乗・効・果でみんなハッピーだったのにさあ!!!!
結局ずんちゃんとも壮麗帝でようやく1作品のみ、キキちゃんともこれで最後に1作品のみだなんて…本当にもったいない!!!!!
それでいちばん脂が乗ってきたいい時期を雪組さんに進呈しちゃうなんて、商売がヘタすぎないかい?!
これで雪Pがうまいことやってあーさそら?Jそら?でうまく売り込んじゃったりするんじゃないの~~??
こんなに素晴らしいタッグを見せてくれたキキそら、そしてキキちゃんの上司なんていう役をこなせるまでに成長した息子に母は涙涙で御座いました…
さて、最初はやっぱり迷うキキちゃんですが、それで出世ができるならと条件をのみ、カギを渡します。
この部長室での2人の芝居にもたくさんの笑いポイントを仕掛けていて、ほんとにゲラゲラ笑いながら見れてまさに「愉快」でした。
そのジョークの種類がいかにもアメリカンジョークで、オシャレで軽快で「さすが喜劇王ニール・サイモン」という感じでしたね~。他の作品知らんけど。
しどりゅーに押しかけられて真冬の夜に薄着で何時間も外で過ごす羽目になったキキちゃんはこの日風邪を引いてしまっていて、会社にある診療所に行ったりするほど具合が悪かったんですね。
部長に呼ばれる直前に測った体温は38℃だったのに、部長から「さぁここに君の住所を書いてくれ」と言われて胸ポケットから出したのはボールペンではなくて体温計で、見たら「うぉぉぉぉぉ!よ、よ、よんじゅういちどぉぉぉぉ?!?!?!?!」と驚愕するわけですが(笑)、部長は「それは平熱だ、落ち着け」と言い切ったり(笑)
部長は今日キキちゃんに部屋にいられたら困るわけですからね。
こんな感じで、物語の流れを利用したうまい笑いを随所に散りばめてるんですね。
そして息子からもらった今夜のバスケのチケットを持ってさっそくじゅっちゃんを誘いに行きますが…
相変わらずじゅっちゃんはつれない返事。
というのも、うちの息子が一緒に部屋を使いたいと思っていた相手はじゅっちゃんだったわけで、キキちゃんはなんと自分の好きな人に他の男との情事の場所を提供してしまっていたわけです。
でも言い換えれば、天下のモテ男であるうちの息子が全社員の中から目を付けたんだからかなりイイ女なんですよね、じゅっちゃん。
そんなコを好きになるなんてキキちゃんもなかなかお目が高いですよね、奥手にしては。
それを知らないキキちゃんはじゅっちゃんを一生懸命バスケに誘うわけですし、じゅっちゃんも実はバスケが大好き。
最初は渋っていたじゅっちゃんですが、息子に会った後にバスケ会場に向かおう、とキキちゃんと9時に待ち合わせの約束をします。
ついに誘いに乗ってくれたじゅっちゃん。キキちゃんはもう夢見心地です。
2人分のドリンクとポップコーンを持って、試合会場で待ちますが…
じゅっちゃんはその頃、うちの息子と密会していました。
する気もないくせに離婚をチラつかせて、不倫を終わらせて一緒になりたいと願うじゅっちゃんを繋ぎとめる、ズルいズルいズルいオトコなんです。
異性としてはとても魅力的だけど、人間としては誠意のカケラもない最低男を恋しく思ってしまう自分をどうしても制御できないじゅっちゃん。
今日はちょこっとだけ会ってバスケ会場に向かうつもりだったのに、押したり突き放したりで絶妙に女心を刺激してくる息子についほだされて流されて、キキちゃんとの約束をすっぽかしてしまいます。
でもじゅっちゃんもじゅっちゃんで、
「場所を変えよう。ここじゃ落ち着かない」
「行かない。このあと約束があるの」
「大事な約束かい?」
「そうでもないけど」
とか言ってて、「ひどっ!!!」って思いましたけどもね(笑)
約束に重要度なんて無いでしょうが!どんな人との約束も大事な約束です!人として守らなければいけないものです!!!!
恋に盲目になってる女は友情より男を取る、なんてよく言いますが、まさにそういう女になっちゃってました。
本来のじゅっちゃんは純粋だからこそこういう悪い男に騙されちゃって、近いうちに離婚するなんていう嘘も見抜けず、いいように利用されてるのに尻尾振って待っちゃうわけですが、悪い男だからどんどん自分までスレてきちゃって、たばこを吸おうとしたり嫌味を言うようになったり、良くない恋をすると女性って人間性まで変わってきちゃうんですよね~。女性は良くも悪くも順応性の高い生き物ですからね。
華原さんとか浜崎さんなんてねえ、見ててなんとも言えない気持ちになりますもんねえ…
若い時分にあんまりいい恋をしなかったんだろうなあ…
10時50分、キキちゃんは2人分のドリンクとポップコーンを持ったまま、まだじゅっちゃんを待っていました。待ち合わせ時間は9時でした。
怒るどころか、「あんな純粋なお嬢さんだから、僕みたいな若手重役といきなりデートだなんて、きっと緊張しちゃったんだろうな~!それか、僕の風邪がうつっちゃったのかなぁ。申し訳なかったなあ」とか明るく自分を励ます姿がもう健気で健気で…
ついにバスケの試合は終わり、警備員さんに試合結果を聞けば、拮抗したとても面白い試合だったようですがキキちゃんは意地でも「うん、大した試合じゃなかったみたいだな!」と自分に言い聞かせ、帰路につきます。
翌日、会社で2人は顔を合わせますが「10分ほど待ってすぐ中に入ったからそんなに待ってないよ!気にしないで!」と嘘をついていつもと変わらず明るいキキちゃんにじゅっちゃんは余計に罪悪感を煽られます。
そんなじゅっちゃんにもめげずに「今度の木曜は空いてる?」と誘いますが、じゅっちゃんは「ごめんなさい、予定があるの」と罪悪感なんてほんとに抱えてる?!という素っ気なさ。盲目女は怖いよ!
そのあとキキちゃんは部長室へ向かい、「君は重役に昇進した。約束は果たしたぞ。まだ何か欲しいのかね」と感じ悪くあしらってくるうちの息子に、「僕の部屋にコンパクトが落ちてましたよ、鏡が割れちゃってますけど」と忘れ物を届けます。どこまでもいい人!そんなの捨てちゃってもいいのにねえ。
そのコンパクトは息子がじゅっちゃんにプレゼントしたものでした。
キキちゃんの部屋でも案の定言い争いになって、このコンパクトを息子に投げつけてきて割れてしまったようでした。
やることはやるけどやっぱり言い争う、仲直りのしるしにってまたやることやってまた言い争う、っていうカップル、結構いますよね。
DV男とそこから逃げられない女性ってたぶんこういう構造なんだろうなあと想像します。
簡単に言えば飴とムチ、ツンデレってやつなんでしょうねえ。それにすっかり手懐けられちゃう弱い女。
「なんて酷いオトコなの!!」という怒り・恐怖からの、突然の甘やかし。
緊張と緩和を断続的に与えられるとセロトニンやアドレナリンがめっちゃ放出して、薬物依存みたいな感覚になるんだろうなあ。
……あれ??夢二と他万喜もそうじゃない???
壮麗帝だけでもまともな夫婦関係になれて良かったよう……
恐怖からの甘やかしでセロトニンが大放出されるのはもう脳科学の分野なので、誰にでも起こり得ることなんでしょうけどね。
流されやすい性格の人とか依存心の強い人とかはこういう異常な興奮状態を理性で抑え込むことができないから危険ですね。
特に女性は恋愛脳の人が多いからいつまで経ってもDV被害が無くならないんだろうなあ。
セリ美はさすがに交際相手にDVされたことはありませんが、「ああこの人と結婚したらいずれそうなるかもな」と感じた人はいました。
支配欲と全能感がすごかったですね。言い換えればとても優秀でエネルギッシュな人なので、仕事もすごくできるし(社長だった)友達もすごく多くて面白いから異性としては魅力的に見えるわけですよ。頼もしいし。
でもそれが裏目に出ると喧嘩をしたときなんか「お前、俺をバカにしてんのか」とか凄んでくる感じで、「あ、殴られるのかな」なんて思う瞬間もありました。
まさに夢二ですねえ。
セリ美も頭にくると他万喜のように睨み返すような気性なので、余計に相手の苛立ちを煽ってしまったんでしょうけどね。相性サイアク。
コイツは女を幸せにできるような男じゃない、と分かっていてもやっぱり嫌いにはなれなかったので、DVされ続けても離れない女性の気持ちやじゅっちゃんの気持ちは解りますねえ。
ヅカ遠征で東奔西走してるセリ美に嫌気がさしてあちらから別れを告げてくれたのでセリ美はDV結婚をせずに済みましたけども。
男なんかよりも宝塚が大事に決まってんだろ!!!クソが!!!!!!
ま、それほど男女の情念って一筋縄ではいかないってことですよね~。
不倫だと分かっているし、会ってもまったく満たされないのに、どうしても嫌いになれないじゅっちゃんの女心。
そして息子のほうもクソ男のくせにいっちょまえに切ない恋心を歌い上げたりします。
割れたコンパクトを見つめながら、安定した家庭も持ちたい、でも若くてかわいい女の子と恋愛ごっこもしたい、独身のキキちゃんはなんて羨ましいんだ、なんていう超自己中ソングを超美声で朗々と歌い上げます。
あまりに巧すぎて、「ああ…シェルドレイク部長も部長なりに辛いのね…泣」なんて同情しそうになります。巧いって罪ですねえ。
そしてクリスマスの日。
会社でのクリスマスパーティーに行こうとしたじゅっちゃんは、途中でせっちゃんに遭遇します。
せっちゃんは息子の秘書です。
せっちゃん…舞台裏でも舞台上でも息子の世話を焼いてくれてありがとうね……!!!とまたここで母は号泣。
もうせっちゃんに世話を焼いてもらうこともなくなるのか…なんて思うとやっぱりサミシイ。
マイク袋をチクチクしてくれたり、ハッスル盛り上げてくれたり、本当に本当にありがとうねせっちゃん!!!!
親子劇場でも行方をくらました息子の居場所のヒントをいつもくれてありがとう!!!
宙組96期に幸あれーーーー!!!!!
せっちゃんはおもむろにじゅっちゃんを呼び止め、それとなく「あなた、部長に手出しされてるわね?私もかつてはそうだったわ」と衝撃の告白をします。
いぶかしがるじゅっちゃんを尻目に、じゅっちゃんが部長にされてきたことを次々と言い当てます。
デートで行く店、誕生日に贈られるプレゼント、恒例の離婚スピーチ。そのすべてが言い当てられ、「あなたで何人目かしらねえ」と、部長がいつも同じ常套手段を使って社内の若い女の子をこれまでたくさん食い物にしてきたことをじゅっちゃんに聞かせます。
例の、キキちゃんの部屋で投げつけたコンパクトもせっちゃんが選んだものでした。
せっちゃんはお節介ながらも「こんな風に酒もたばこも覚えて独身の道を行く私のようになるわよ。やめておきなさい」と忠告します。
動揺したじゅっちゃんは信じられないといった様子でクリスマス会場に入ります。
いつもの調子でキキちゃんが「やあ!会いたかったよ!」と明るく出迎えます。
「見てほしいものがあるんだ!」と毛糸の帽子を買ってみたんだけど似合うかなあ?と無邪気に被ってみせます。
可愛いキキちゃんだから古めかしいニット帽でも普通に「激かわ」なんですけども、たぶんシナリオとしては「全然似合ってない変な帽子を被ってみせてる無邪気な平凡男」というテイなんでしょう。
「ほんとに似合ってる~?被り方合ってるかな~?」とかなんとか言っているキキちゃんに、「似合ってると思うわよ(心ここにあらず)」と言って、「そんなに言うなら自分で見てみたら?」と例のコンパクトを手渡します。さっき部長に返してもらったんでしょうねえ。
「こんなものいらない!」と言わんばかりに投げつけたくせに、結局また使ってるというダメ女ぶり。
そのコンパクトを見て、ついにキキちゃんは気付いてしまいます。
部長の不倫相手がじゅっちゃんだということに!!!!
と絶望しているところに、部長から電話が。
「ええ…忘れてませんよ。ツリーも飾ってあるし、シャンパンも用意してあります…はい…」
部長に頼まれて、クリスマスにまた部屋を貸してほしいと言われていたのでした。
他の重役とは格が違う部長の言いつけなら、クリスマスツリーも飾るしシャンパンも買っておいたキキちゃん。
でも、自分が一生懸命飾り付けたあの部屋に不倫しに来るのは大好きなじゅっちゃんだったなんて…
嗚呼、なんてことだ!!!!!!!
純粋すぎて天使のように可愛い大好きなじゅっちゃんがまさかの部長と不倫してたなんて……あああああああああ僕はなんて不幸なんだああああああああああ
~~~~~1幕、終了~~~~~
いや~普通に面白いですよねええ~?
夢中になって観て笑って息子の成長に泣いてたらあっという間に緞帳が降りてきて、「えっ、もうそんなに経ってたの?!?!」ってびっくりしちゃいました。
海外のミュージカルって、例えばミーマイの「顎で受け止める」とかワケわかんない翻訳あるじゃないですか。
ジョークにしても英語が母体になってるから、それを和訳するとなんか変なことになるんですよね。
「ああ、これは無理に和訳したんだろうな」ってところが一つも無くて、物語もひとつも意味不明の箇所が無くて、どの人物にも感情移入できるし、笑いもサムくないし、60年代のアメリカの空気がしっかり出てて、客席が明るくなった瞬間につい「わぁぁぁ面白~い!」って口から出ちゃったくらいでした。
リアルな人間像を描きすぎて地味になってることもなく、かといってあり得ない設定にしすぎて感情移入できないこともなく、ブロードウェイのいいところだけを詰め込んだ素晴らしい1幕でした!!!!
なにより、キキちゃんと息子をはじめとする役者陣がもう巧いのなんのって……!!!
ミズさまが現役時代にいちばん苦手としていたものがコメディーだったんですよ。
やっぱりいつだってテンション高く叫んでいないといけないし、間が命だからテンション上がって急ぎすぎてもいけないし、アドリブも多少は入れていかないといけないし、突然振られて何も出てこなかったらどうしようという恐怖もあるし。
まずは、「お人好しすぎてモテない」「でも人生を悲観することなく、鈍感力を発揮して楽しく明るく元気に生きてる」というキャラクターをキキちゃんが本当に見事に演じ切っていました。
キキちゃんって割と「コメディーセンスがある」「さすが関西人」みたいに言われることが多いですけど、もちろんその理由も大前提としてあるんですけど、セリ美が主張したいのは声質なんですよ。
声って、大まかに陰性と陽性に分けられると思っていましてね。
陰性の人は渋いお芝居向きで、陽性の人は明るいお芝居向きで。
陽性ジェンヌさんを例に挙げると、
霧矢さん
蘭とむさん
音月さん
まぁ様
愛ちゃん
あがた
みたいな感じかな。声が少し高くてパァァァァァっとしてるって言うのかな。
ここにキキちゃんも入ると思っています。
だから声質がもうコメディー向きなんですよね。
あの明るい声で「やあフラン!会いたかったよ!」って言われるとこっちまで温かい気持ちになるんですよねえ。
だから余計に、真冬のバスケ会場で1時間50分も待たされてるのにもひとつも怒らずに「全然待ってないよ!面白い試合だったよ!」ってカラカラと笑っていたりするともう胸が痛くてねえ……
「チャックよ!!!幸せになれ!!!!!」って自然と観客みんなが思っちゃうんですよね。
で、実際チャックは幸せになるのでしょうか。2幕につづく!!!!!
う、うちの子だって悪いかもしれないけど、じゅ、じゅっちゃんだって分かってて付き合ってるんだからうちの子だけが、わ、悪いんじゃないんだかんね!!とか思ってしまう母心

まさにプラチナチケットですよ。
無事に千秋楽を迎えたようですね。
もう~~どこに訊いても、誰に訊いても、無い無い無い無い。
肝心の芹香のオンナたちもヒィヒィ言ってたそうじゃないですか。
ハッスルの時も夢千鳥の時も本当に大変でしたが、今回よりはまだマシだったように思いますね。
セリ美は割と「チケットもご縁」だと割り切っているので、手を尽くしてみて取れなければ配信とかスカステ見ればいいや~~なんて悠長に構えてたんです。
いや~~危なかった~~~!!!
まさか映像は初日のスカステ映像のみしか残らないなんて…
そんな酷い仕打ちあります~~?!?!
本当にたまたまお取次ぎしていただけるところがあって、そこももうほとんどお断りだろうなと諦めてたんです。でも幸運にもOK頂けまして……
2回だけ観ることができました……
ブリリア刑場のほうはまさに引っ越し真っ最中期間だし、せっかく難関くぐり抜けて刑場まで辿り着いても噂に聞く刑罰に泣くことになるのも嫌だったので、最初から申し込んでおりませんでした。
この2枚のチケットが無ければ可愛い可愛い息子のクズ男ぶりを見ずして死ぬところでした…
ニール・サイモンってものすごく版権にうるさいって聞きますけど、それなら劇場をもっと大きいハコにするか、公演期間を長くするとかしてくれたら良かったのにねえ。
まぁそれだと息子がオデッセイに乗船できなくなるから、そういう兼ね合いとかいろいろあるんでしょうけどもね。
20世紀号のときも成仏できないたくさんの亡霊がツイッターを彷徨っていましたが、プロミセスの亡霊もこれからツイ界を彷徨い続けるのだろう…
少しでも亡霊たちが成仏できるよう、いつもより丁寧にレポするのがセリ美の役目だと思って頑張って書いていきたいと思いますです。
いつもは順序だてて丁寧にレポすることはあまりなく、好き勝手なことを順不同で書くスタイルですけども、今回は物語に沿って細かくレポしていきましょうかね。
あ、パーフェクトにネタバレしてるので、ブリリアを予定されてる方はご注意くださいね。
ドラマシティっていつぶりだったかな?写真撮影禁止でしたっけ??
開演前にスタッフさんがしきりに「開演前に緞帳があがりますが、そこからは写真撮影禁止です」と言ってまわってましてね。
ニール・サイモンはセットにも版権あるんか?
でも翌日は緞帳上がる前から「写真撮影禁止」という案内に変わってましたね。なんだろう?
でも、開演してみたらなんとなくその意味が分かって。
基本的にセットは出し入れ無しで、表側がキキちゃんちのアパートになってて、裏側がキキちゃんの勤めるオフィス。
場面転換では盆が回るだけというよくできたセットでしたねえ。
セリ美の画力ではこんなもんでスイマセン……
ニューヨークの可愛いアパートって感じで、普通に間取りもロフトベッドルームがあっていいですよねえ。
しかも、当時のニューヨークスタイルなのかどうかわかりませんが、ベッドサイドに洗面があるってのも面白いですよね~。
いま目下引っ越し中のセリ美は「あ~なるほどな~そういうのもいいな~」なんて興味深く見てました。
確かに洗面って起きるときと寝るときに使うものですもんね。
言われてみれば、この遠征人生で泊まったホテルは数十箇所、ベッドサイドに洗面があった部屋もありました!
広いお部屋よりも、こういうコンパクトに上手に収められた間取りって好きなんですよね~。
セリ美も新居ではロフトベッドを採用して、下段にデスクを入れて仕事スペースにして、上段には座椅子とテレビを置いてスカステ鑑賞スペースにしようと画策中。
まぁ、その前にスカステが無事に開通するかどうかまだ分らんのですけどもね…
セリ美の新居の話はさておき。
緞帳が上がってこのセットが登場、暗転したまま1分ほど待っていると目覚まし時計の音がジリリリリと鳴り響く。
シーーーーン……
何も起きない。
10秒ほどしてまたジリリリリ。
スヌーズ機能。
そしてベッドに潜んでいたキキちゃんが寝癖のついた髪でガバっと起床!!時計を見て「ヤバい!!」という顔で大急ぎて洗面台で支度開始!
ということは、緞帳開いてからずっとキキちゃんはこのベッドでお布団をかぶってスタンバイしていたということになりますので、その兼ね合いもあっての「撮影禁止」だったのかなあ?なんて。
目覚まし鳴るまで1~2分あるんですが、お布団の中でうっかりウトウトしちゃいそうで怖いですねえ。
「あ!キキちゃんそこにずっといたのね!」
というサプライズで一気に惹き込まれます。60年代の華やかな音楽に乗って歯を磨いて顔を洗ってシェービングクリームつけて髭を剃って、またクリーム塗って、ワックスで寝癖を直して。
T字カミソリで髭をぞりぞりやってるジェンヌさんの姿、なんか新鮮でしたね(笑)
男役さんでもなかなか髭剃りのシーンって無いですからね。
あの中で本物はヘアワックスだけだったと思うんですが、鏡は壁に設置されてないのに、鏡も見ずにワックスで寝癖をサッと直して綺麗な髪形に整える技術すごいなあ、と感心してしまいました。
VO5さんの高性能もあるんでしょうけど、ほんとにジェンヌさんの自由自在のスタイリングって特許の一つですよね~。
場面に合わせてサラサラもガチガチもルーズも瞬時に変えてきますもんね。
準備を終えたキキちゃんがパジャマのまま下の階に降りてきて、早替わり用になっていたパジャマをババっと脱ぐとスーツ姿に変身。
トースターにセットした食パンがチーンと焼きあがったらそれを咥えて玄関を飛び出す!!
あ~あ~~この可愛いキキちゃんと曲がり角でぶつからないかな~~。
ドシーーーン!!☆
「ちょっと!危ないじゃないの!どこ見てんのよ!!」
「ああ!ご、ごめんなs…」
「あ……♡」
「あ………♡」
はい、フォーリンラブ。
朝に食パン咥えて曲がり角でぶつかって恋に落ちるのは日本古来から伝わる伝統の文化ですからね。
セリ美も一度くらい経験してみたかった。食パン咥えて花の道に飛び出せばどこぞの組の誰かとぶつかれるかしら。
こんなイノシシみたいなセリ美とほっそいジェンヌさんが激突したら病院行きにさせちゃうからダメだわね。
せめて妄想の中だけでも許しておくれ。
…はい、妄想から戻りました。
起床から出かけるまでのこの作業をキキちゃんは1~2分で完了させるんですが、いかにも住み慣れたこの部屋で毎朝こうやって出勤してるんだろうなという役のイメージが掴めて、上手な演出でしたねえ。
そして満員電車に揺られて、ニューヨークのど真ん中にある保険会社に出勤する。次々に高層エレベーターに吸い込まれて吐き出される人々。
産業革命から欧米諸国はめざましい発展を遂げ、バブルを迎えて景気は急上昇ではあるけれど、社畜のようにみんな一様に席でカタカタとタイピングをするだけの仕事。
それが終われば花のアフターファイブ。今日はどこで飲もう、誰と遊ぼう、といそいそと出かけていく。
でも、キキちゃんだけはなんとなくうまくやれない。
存在感が薄くてお人好しゆえに仕事を押し付けられたり、意中の女の子(じゅっちゃん)にもうまく声をかけられない。
それでも決して未来を悲観しているわけではなく、「いつかビッグになるんだ!!幸せになるんだ!!」と夢見て日々をポジティブに頑張っている経理部の平凡な青年です。
みんなに仕事を押し付けられても、「この残業姿をシェルドレイク部長(そらさん)に見てもらってアピールするんだ!!」と頑張りますが、肝心の部長にはキキちゃんのあまりの存在感の薄さに、その姿すら認識してもらえません。
物語は、キキちゃん自身がストーリーテラーとなって客席に話しかけるスタイルで進みます。
「僕って子供の頃からずっと平凡、こういう人間なんです…でも大きな夢があるんだ!!きっと叶えてみせる!!!」と。
この客席との掛け合いがすごく可愛くて面白かったですね~。
例えば、じゅっちゃんの登場シーン。
「あら、チャック(キキちゃん)!」
「やぁ!ミス・クーベリック!キミも残業?」
「そうなの、食堂の仕事が残ってて…って嘘よ♡あなたに会いたくて残業してたのよ♡おかげで私があなたにゾッコンだってみんなにバレバレよ…ねえチャック…(キキちゃんの首に腕を回す)今晩どこかで一杯飲まない?そのあとは……」
「ストーーーーップ!!!」
暗転、キキちゃんのみにピンスポット。じゅっちゃんはストップモーション。
「(客席に向かって)………嘘です。(ヒロシです…の感じで)そんなこと言われたこともありませんし、今後言われることもありません。僕は仕事にも恋にも運が無い。だから時々こうして妄想にふけるんです。そのくらいいいでしょう?実際の会話は…」
指をパチン、暗転が解けて現実世界に戻る。
「あら元気だった?フランク」
「チャック…チャック・バクスターだよ…」
「あらそうだったっけ?ごめんなさ~い?」
「ああ、いいよ気にしなくて」
「そういえば今週は食堂に来なかったわね?具合でも悪かったの?」
「毎日行ってたよ…。ああそうだ!今晩もしよかったら…」
「ごめんなさい予定があるの~それじゃフランクまたね~」
じゅっちゃん、エレベーターに乗って去る。
「(客席に向かって)…ねえ、このあと一杯付き合ってもらえません?あなた今晩なにもないですよね?」
みたいな感じで物語が進んでいくスタイル。
演劇においてはそう珍しくない演出ではありますが、キキちゃんの軽快な台詞運びにすごく合っていて素晴らしかったです!!!
このキキ妄想劇場、このあともう一回始まるんですが、「(またやってしまって)すみません……

そして会社帰りに行きつけのバーに寄るキキちゃんですが、そこで会社の重役であるりっつ(既婚)に偶然会います。
りっつは連れの女の子(花宮沙羅ちゃん)とイチャイチャするための浮気部屋を探していて、ちょうど独身で一人暮らしであるキキちゃんに目を付け、「今夜、1時間だけ部屋を貸してくれないか…?」といやらしく迫ります。
自分の部屋をヤリ部屋に使われてしまうなんて、ラブホテルじゃあるまいしそりゃあ嫌ですよねえ。
キキちゃんはしばらく渋っていますが、意外と野心家であるため、昇進の約束をりっつに口にされると心が揺らぎます。
そしてついにカギを手渡してしまいます。ここから原作タイトルである「アパートの鍵、貸します」という状況に陥ってしまうわけですね。
これに味をしめたりっつは毎週火曜日になるとキキちゃんの部屋を使いに来ます。
更に、この噂を聞き付けた浮気常連者の重役たちも次々に「私にもカギを貸してくれ」「私にも」とわらわら寄ってきて、
火曜日:りっつ
水曜日:まっぷーさん
木曜日:澄風なぎくん
というローテーションで夜に部屋を数時間貸す羽目に。
金曜日を希望する図々しいセリ美
さらにここに飛び込みでしどりゅーも加わって、その4人はもうキキちゃんの部屋をラブホテル代わりに散らかしたい放題。
アパートの隣に住む医者、まゆぽんも「毎晩毎晩お盛んなことだな!おかげでこっちは一睡もできんよ!!」とおかんむりです。
そして「そんなに眠れないならこれでも飲みなさい。よく効くぞ」と睡眠薬を渡します。
もらった睡眠薬を飲んで今夜こそあったかい布団でゆっくり眠ろう…と薬を飲んだ瞬間に「部屋を貸してくれ!」と押しかけてこられたりして、さすがにもう嫌気がさしてきた頃に、ついに待っていた人事部長(そらさん)からのお呼び出しが!!!
しかし、急に重役たちの推薦を集める事態は怪しいと知っているうちの息子。
なにせ仕事はできる男ですからね。社内中の情報は全部掴んでいます。
以前にも博打で重役たちを儲けさせて妙に昇進した男がいたことがあり、キキちゃんへの推薦も裏があることを息子は知っています。
これで昇進の話は無しに…と思いきや、息子も不倫常習犯。やっぱりキキちゃんのカギが欲しいわけです。
キキちゃんの出世&今夜のバスケットボールの試合のチケット2枚と、キキちゃんの部屋のカギを交換しようと持ち掛けます。しかも、りっつたち4人にはもう部屋を使わせず、自分だけに使わせろという圧をかけます。きゃーサイテー。
ここでこの交渉をする歌を2人で歌うんですが、いや~~~もう声の相性もピッタリでね~~~!!!
キキそらは普段から仲良しなお2人ですから、そりゃあ芝居の掛け合いもピッタリで、2人のタッグはこれが最後なのか…と思うともう本当にマイ初日は泣けてしまいましてね…
ウェストサイドで初タッグを組んだお2人さんですが、そのあとの作品ではもうほとんど絡むことがない役ばかりで…
ずんそらにしろキキそらにしろ、どうしてこう宙Pって仕事ができないんでしょうねえ。
もっと早くにどんどん芝居でこの2組を組ませて、オサアサみたいにセット売りしちゃったら相・乗・効・果でみんなハッピーだったのにさあ!!!!
結局ずんちゃんとも壮麗帝でようやく1作品のみ、キキちゃんともこれで最後に1作品のみだなんて…本当にもったいない!!!!!
それでいちばん脂が乗ってきたいい時期を雪組さんに進呈しちゃうなんて、商売がヘタすぎないかい?!
これで雪Pがうまいことやってあーさそら?Jそら?でうまく売り込んじゃったりするんじゃないの~~??
こんなに素晴らしいタッグを見せてくれたキキそら、そしてキキちゃんの上司なんていう役をこなせるまでに成長した息子に母は涙涙で御座いました…
さて、最初はやっぱり迷うキキちゃんですが、それで出世ができるならと条件をのみ、カギを渡します。
この部長室での2人の芝居にもたくさんの笑いポイントを仕掛けていて、ほんとにゲラゲラ笑いながら見れてまさに「愉快」でした。
そのジョークの種類がいかにもアメリカンジョークで、オシャレで軽快で「さすが喜劇王ニール・サイモン」という感じでしたね~。他の作品知らんけど。
しどりゅーに押しかけられて真冬の夜に薄着で何時間も外で過ごす羽目になったキキちゃんはこの日風邪を引いてしまっていて、会社にある診療所に行ったりするほど具合が悪かったんですね。
部長に呼ばれる直前に測った体温は38℃だったのに、部長から「さぁここに君の住所を書いてくれ」と言われて胸ポケットから出したのはボールペンではなくて体温計で、見たら「うぉぉぉぉぉ!よ、よ、よんじゅういちどぉぉぉぉ?!?!?!?!」と驚愕するわけですが(笑)、部長は「それは平熱だ、落ち着け」と言い切ったり(笑)
部長は今日キキちゃんに部屋にいられたら困るわけですからね。
こんな感じで、物語の流れを利用したうまい笑いを随所に散りばめてるんですね。
そして息子からもらった今夜のバスケのチケットを持ってさっそくじゅっちゃんを誘いに行きますが…
相変わらずじゅっちゃんはつれない返事。
というのも、うちの息子が一緒に部屋を使いたいと思っていた相手はじゅっちゃんだったわけで、キキちゃんはなんと自分の好きな人に他の男との情事の場所を提供してしまっていたわけです。
でも言い換えれば、天下のモテ男であるうちの息子が全社員の中から目を付けたんだからかなりイイ女なんですよね、じゅっちゃん。
そんなコを好きになるなんてキキちゃんもなかなかお目が高いですよね、奥手にしては。
それを知らないキキちゃんはじゅっちゃんを一生懸命バスケに誘うわけですし、じゅっちゃんも実はバスケが大好き。
最初は渋っていたじゅっちゃんですが、息子に会った後にバスケ会場に向かおう、とキキちゃんと9時に待ち合わせの約束をします。
ついに誘いに乗ってくれたじゅっちゃん。キキちゃんはもう夢見心地です。
2人分のドリンクとポップコーンを持って、試合会場で待ちますが…
じゅっちゃんはその頃、うちの息子と密会していました。
する気もないくせに離婚をチラつかせて、不倫を終わらせて一緒になりたいと願うじゅっちゃんを繋ぎとめる、ズルいズルいズルいオトコなんです。
異性としてはとても魅力的だけど、人間としては誠意のカケラもない最低男を恋しく思ってしまう自分をどうしても制御できないじゅっちゃん。
今日はちょこっとだけ会ってバスケ会場に向かうつもりだったのに、押したり突き放したりで絶妙に女心を刺激してくる息子についほだされて流されて、キキちゃんとの約束をすっぽかしてしまいます。
でもじゅっちゃんもじゅっちゃんで、
「場所を変えよう。ここじゃ落ち着かない」
「行かない。このあと約束があるの」
「大事な約束かい?」
「そうでもないけど」
とか言ってて、「ひどっ!!!」って思いましたけどもね(笑)
約束に重要度なんて無いでしょうが!どんな人との約束も大事な約束です!人として守らなければいけないものです!!!!
恋に盲目になってる女は友情より男を取る、なんてよく言いますが、まさにそういう女になっちゃってました。
本来のじゅっちゃんは純粋だからこそこういう悪い男に騙されちゃって、近いうちに離婚するなんていう嘘も見抜けず、いいように利用されてるのに尻尾振って待っちゃうわけですが、悪い男だからどんどん自分までスレてきちゃって、たばこを吸おうとしたり嫌味を言うようになったり、良くない恋をすると女性って人間性まで変わってきちゃうんですよね~。女性は良くも悪くも順応性の高い生き物ですからね。
華原さんとか浜崎さんなんてねえ、見ててなんとも言えない気持ちになりますもんねえ…
若い時分にあんまりいい恋をしなかったんだろうなあ…
10時50分、キキちゃんは2人分のドリンクとポップコーンを持ったまま、まだじゅっちゃんを待っていました。待ち合わせ時間は9時でした。
怒るどころか、「あんな純粋なお嬢さんだから、僕みたいな若手重役といきなりデートだなんて、きっと緊張しちゃったんだろうな~!それか、僕の風邪がうつっちゃったのかなぁ。申し訳なかったなあ」とか明るく自分を励ます姿がもう健気で健気で…
ついにバスケの試合は終わり、警備員さんに試合結果を聞けば、拮抗したとても面白い試合だったようですがキキちゃんは意地でも「うん、大した試合じゃなかったみたいだな!」と自分に言い聞かせ、帰路につきます。
翌日、会社で2人は顔を合わせますが「10分ほど待ってすぐ中に入ったからそんなに待ってないよ!気にしないで!」と嘘をついていつもと変わらず明るいキキちゃんにじゅっちゃんは余計に罪悪感を煽られます。
そんなじゅっちゃんにもめげずに「今度の木曜は空いてる?」と誘いますが、じゅっちゃんは「ごめんなさい、予定があるの」と罪悪感なんてほんとに抱えてる?!という素っ気なさ。盲目女は怖いよ!
そのあとキキちゃんは部長室へ向かい、「君は重役に昇進した。約束は果たしたぞ。まだ何か欲しいのかね」と感じ悪くあしらってくるうちの息子に、「僕の部屋にコンパクトが落ちてましたよ、鏡が割れちゃってますけど」と忘れ物を届けます。どこまでもいい人!そんなの捨てちゃってもいいのにねえ。
そのコンパクトは息子がじゅっちゃんにプレゼントしたものでした。
キキちゃんの部屋でも案の定言い争いになって、このコンパクトを息子に投げつけてきて割れてしまったようでした。
やることはやるけどやっぱり言い争う、仲直りのしるしにってまたやることやってまた言い争う、っていうカップル、結構いますよね。
DV男とそこから逃げられない女性ってたぶんこういう構造なんだろうなあと想像します。
簡単に言えば飴とムチ、ツンデレってやつなんでしょうねえ。それにすっかり手懐けられちゃう弱い女。
「なんて酷いオトコなの!!」という怒り・恐怖からの、突然の甘やかし。
緊張と緩和を断続的に与えられるとセロトニンやアドレナリンがめっちゃ放出して、薬物依存みたいな感覚になるんだろうなあ。
……あれ??夢二と他万喜もそうじゃない???
壮麗帝だけでもまともな夫婦関係になれて良かったよう……
恐怖からの甘やかしでセロトニンが大放出されるのはもう脳科学の分野なので、誰にでも起こり得ることなんでしょうけどね。
流されやすい性格の人とか依存心の強い人とかはこういう異常な興奮状態を理性で抑え込むことができないから危険ですね。
特に女性は恋愛脳の人が多いからいつまで経ってもDV被害が無くならないんだろうなあ。
セリ美はさすがに交際相手にDVされたことはありませんが、「ああこの人と結婚したらいずれそうなるかもな」と感じた人はいました。
支配欲と全能感がすごかったですね。言い換えればとても優秀でエネルギッシュな人なので、仕事もすごくできるし(社長だった)友達もすごく多くて面白いから異性としては魅力的に見えるわけですよ。頼もしいし。
でもそれが裏目に出ると喧嘩をしたときなんか「お前、俺をバカにしてんのか」とか凄んでくる感じで、「あ、殴られるのかな」なんて思う瞬間もありました。
まさに夢二ですねえ。
セリ美も頭にくると他万喜のように睨み返すような気性なので、余計に相手の苛立ちを煽ってしまったんでしょうけどね。相性サイアク。
コイツは女を幸せにできるような男じゃない、と分かっていてもやっぱり嫌いにはなれなかったので、DVされ続けても離れない女性の気持ちやじゅっちゃんの気持ちは解りますねえ。
ヅカ遠征で東奔西走してるセリ美に嫌気がさしてあちらから別れを告げてくれたのでセリ美はDV結婚をせずに済みましたけども。
男なんかよりも宝塚が大事に決まってんだろ!!!クソが!!!!!!
ま、それほど男女の情念って一筋縄ではいかないってことですよね~。
不倫だと分かっているし、会ってもまったく満たされないのに、どうしても嫌いになれないじゅっちゃんの女心。
そして息子のほうもクソ男のくせにいっちょまえに切ない恋心を歌い上げたりします。
割れたコンパクトを見つめながら、安定した家庭も持ちたい、でも若くてかわいい女の子と恋愛ごっこもしたい、独身のキキちゃんはなんて羨ましいんだ、なんていう超自己中ソングを超美声で朗々と歌い上げます。
あまりに巧すぎて、「ああ…シェルドレイク部長も部長なりに辛いのね…泣」なんて同情しそうになります。巧いって罪ですねえ。
そしてクリスマスの日。
会社でのクリスマスパーティーに行こうとしたじゅっちゃんは、途中でせっちゃんに遭遇します。
せっちゃんは息子の秘書です。
せっちゃん…舞台裏でも舞台上でも息子の世話を焼いてくれてありがとうね……!!!とまたここで母は号泣。
もうせっちゃんに世話を焼いてもらうこともなくなるのか…なんて思うとやっぱりサミシイ。
マイク袋をチクチクしてくれたり、ハッスル盛り上げてくれたり、本当に本当にありがとうねせっちゃん!!!!
親子劇場でも行方をくらました息子の居場所のヒントをいつもくれてありがとう!!!
宙組96期に幸あれーーーー!!!!!
せっちゃんはおもむろにじゅっちゃんを呼び止め、それとなく「あなた、部長に手出しされてるわね?私もかつてはそうだったわ」と衝撃の告白をします。
いぶかしがるじゅっちゃんを尻目に、じゅっちゃんが部長にされてきたことを次々と言い当てます。
デートで行く店、誕生日に贈られるプレゼント、恒例の離婚スピーチ。そのすべてが言い当てられ、「あなたで何人目かしらねえ」と、部長がいつも同じ常套手段を使って社内の若い女の子をこれまでたくさん食い物にしてきたことをじゅっちゃんに聞かせます。
例の、キキちゃんの部屋で投げつけたコンパクトもせっちゃんが選んだものでした。
せっちゃんはお節介ながらも「こんな風に酒もたばこも覚えて独身の道を行く私のようになるわよ。やめておきなさい」と忠告します。
動揺したじゅっちゃんは信じられないといった様子でクリスマス会場に入ります。
いつもの調子でキキちゃんが「やあ!会いたかったよ!」と明るく出迎えます。
「見てほしいものがあるんだ!」と毛糸の帽子を買ってみたんだけど似合うかなあ?と無邪気に被ってみせます。
可愛いキキちゃんだから古めかしいニット帽でも普通に「激かわ」なんですけども、たぶんシナリオとしては「全然似合ってない変な帽子を被ってみせてる無邪気な平凡男」というテイなんでしょう。
「ほんとに似合ってる~?被り方合ってるかな~?」とかなんとか言っているキキちゃんに、「似合ってると思うわよ(心ここにあらず)」と言って、「そんなに言うなら自分で見てみたら?」と例のコンパクトを手渡します。さっき部長に返してもらったんでしょうねえ。
「こんなものいらない!」と言わんばかりに投げつけたくせに、結局また使ってるというダメ女ぶり。
そのコンパクトを見て、ついにキキちゃんは気付いてしまいます。
部長の不倫相手がじゅっちゃんだということに!!!!
と絶望しているところに、部長から電話が。
「ええ…忘れてませんよ。ツリーも飾ってあるし、シャンパンも用意してあります…はい…」
部長に頼まれて、クリスマスにまた部屋を貸してほしいと言われていたのでした。
他の重役とは格が違う部長の言いつけなら、クリスマスツリーも飾るしシャンパンも買っておいたキキちゃん。
でも、自分が一生懸命飾り付けたあの部屋に不倫しに来るのは大好きなじゅっちゃんだったなんて…
嗚呼、なんてことだ!!!!!!!
純粋すぎて天使のように可愛い大好きなじゅっちゃんがまさかの部長と不倫してたなんて……あああああああああ僕はなんて不幸なんだああああああああああ
~~~~~1幕、終了~~~~~
いや~普通に面白いですよねええ~?
夢中になって観て笑って息子の成長に泣いてたらあっという間に緞帳が降りてきて、「えっ、もうそんなに経ってたの?!?!」ってびっくりしちゃいました。
海外のミュージカルって、例えばミーマイの「顎で受け止める」とかワケわかんない翻訳あるじゃないですか。
ジョークにしても英語が母体になってるから、それを和訳するとなんか変なことになるんですよね。
「ああ、これは無理に和訳したんだろうな」ってところが一つも無くて、物語もひとつも意味不明の箇所が無くて、どの人物にも感情移入できるし、笑いもサムくないし、60年代のアメリカの空気がしっかり出てて、客席が明るくなった瞬間につい「わぁぁぁ面白~い!」って口から出ちゃったくらいでした。
リアルな人間像を描きすぎて地味になってることもなく、かといってあり得ない設定にしすぎて感情移入できないこともなく、ブロードウェイのいいところだけを詰め込んだ素晴らしい1幕でした!!!!
なにより、キキちゃんと息子をはじめとする役者陣がもう巧いのなんのって……!!!
ミズさまが現役時代にいちばん苦手としていたものがコメディーだったんですよ。
やっぱりいつだってテンション高く叫んでいないといけないし、間が命だからテンション上がって急ぎすぎてもいけないし、アドリブも多少は入れていかないといけないし、突然振られて何も出てこなかったらどうしようという恐怖もあるし。
まずは、「お人好しすぎてモテない」「でも人生を悲観することなく、鈍感力を発揮して楽しく明るく元気に生きてる」というキャラクターをキキちゃんが本当に見事に演じ切っていました。
キキちゃんって割と「コメディーセンスがある」「さすが関西人」みたいに言われることが多いですけど、もちろんその理由も大前提としてあるんですけど、セリ美が主張したいのは声質なんですよ。
声って、大まかに陰性と陽性に分けられると思っていましてね。
陰性の人は渋いお芝居向きで、陽性の人は明るいお芝居向きで。
陽性ジェンヌさんを例に挙げると、
霧矢さん
蘭とむさん
音月さん
まぁ様
愛ちゃん
あがた
みたいな感じかな。声が少し高くてパァァァァァっとしてるって言うのかな。
ここにキキちゃんも入ると思っています。
だから声質がもうコメディー向きなんですよね。
あの明るい声で「やあフラン!会いたかったよ!」って言われるとこっちまで温かい気持ちになるんですよねえ。
だから余計に、真冬のバスケ会場で1時間50分も待たされてるのにもひとつも怒らずに「全然待ってないよ!面白い試合だったよ!」ってカラカラと笑っていたりするともう胸が痛くてねえ……
「チャックよ!!!幸せになれ!!!!!」って自然と観客みんなが思っちゃうんですよね。
で、実際チャックは幸せになるのでしょうか。2幕につづく!!!!!
う、うちの子だって悪いかもしれないけど、じゅ、じゅっちゃんだって分かってて付き合ってるんだからうちの子だけが、わ、悪いんじゃないんだかんね!!とか思ってしまう母心


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