「毎日更新挑戦中」とかいって2日しか続かないでやんの!!
だっさーー!!!


今やスマホからでも投稿できるんだからねえ。外出先でも書けばいいのにねえ。
どうしても「片手間に書きました~」感のある文章は書きたくなくてね。
公式の速報ニュースをただ伝えるだけの、よくあるカンタンなブログもイヤですね~。


「なんと!先日、〇〇さんの退団発表がありました!〇〇さんと言えば、先日の新人公演でも印象に残る役作りが好評でしたよね!ご卒業の最後まで、応援していきましょう!」


みたいな。

なんんんんじゃそりゃ!!!こんなもんブログと呼んじゃあかんよ!!と思ってます。
でもそういうのに限ってめっちゃ閲覧回数稼いでんのよね。アフィリエイト貼っちゃってさァ。
どうせお小遣い稼ぐならもっとちゃんとしたもの書きなさいよ!とか思っちゃうからセリ美は他所様のブログを訪問しないわけで…


せっかく貴重なお時間を使って読みに来てくださるんだから、ブログは読み応えあってナンボ!と思っていつも書いちゃうから1記事書くのに6時間とかかかるわけでね。
でもそれがセリ美流だからいいんだ!!



しかも、レポ関連は観劇後、新鮮なうちに書くのがいちばんだと分かっていたので遠征から戻ってすぐに書こうと思ったらパソコン壊れてやんの。

本体ではなくて無線マウスと無線キーボードに電波を飛ばすUSBが壊れただけだったので、新品のキーボードとマウスを至急購入しました。


でも「壊れてる!!!」って気付いてすぐに発注して翌日に同じ機種が家に届くんだから、ネット社会ってやっぱ便利よね。






さぁグダグダ言ってないでレポ行きましょう。長くなるぞえ!!!
覚悟してくださいませよ!!!




バイオーム、すみれコードから解き放たれたくーみんが一体どうなってしまうのか興味津々だったヅカファンも多かったと思いますが、やっぱり外部に出るとそんなに甘くないですね。
鼻息荒くチケ争奪戦に乗り出してみたけどチケットはすんなり取れて、当日も少し空席がありました。

まぁ配信もあったので、「配信でいいかな」という方も多かったのだと思いますね。



でも、このバイオームを終えたらくーみんは留学生となって日本を離れますので、今度こそしばしのお別れとなります。

何年間の留学か分かりませんけども、宝塚の座付き演出家でもなく、留学で新しい知識や演出法をまだ吸収する前の過渡期のくーみん作品なんてこのバイオームたったひとつですから、くーみん史を今後語っていく上で絶対に観ておかないといけない大変貴重な作品だったと思います。




「バイオームってどんな作品?」と訊かれたら、答えはこれかな。



「おとなの絵本」。



よく、「本当は怖いグリム童話」とかあるじゃないですか。

今や子供向けの可愛いおとぎ話となって我々に伝わってるけど、出発点の物語は本当はめっちゃエグい話だったんです…みたいな。

そんな感じ。



世界観はめっちゃ絵本なんですよ。

なんせ「もし植物の言葉が分かったら、何を喋ってるのかな?」っていう子供みたいな純粋な想像からバイオーム構想が始まったみたいですからね、くーみん。


植物のボス役である麻実れいさんの語り口調も、もう本当におとぎ話の上手な朗読みたいな、
うっとりするほどの心地よいスピードとトーンで、麻美さんに読み聞かせをしてもらってる雰囲気です。


でも進行していってる話は人間の汚いところを濃縮還元したみたいなドロドロさで。
たとえお芝居であろうと、あんな醜い人間の姿は子供になんて絶対に見せられないです(笑)


だから、おとなの絵本かなって。



公演プログラムで役者の皆さんが一様に仰ってるのは、「この世界観を朗読劇で?!正気か?!と思った」と。

それぐらい「なんかよく分からんけどすごいもん見たな…なんだろコレ…」みたいな新感覚であることは間違いないです。


そのファンタジーな絵本感とリアルな愛憎劇のドッキング、という斬新な仕組みに気付けない人は「なにこれ?こんなのありがちなメロドラマじゃん」って思うと思います。

実際、「こんなの昼ドラと変わんないじゃん。全然良くなかった」って感想書いてるブログとかもあるようです。



バイオームはくーみんも公演プログラムで言ってるように、起承転結を楽しむ作品ではないんですよね。
くーみんのことだから、よく下北とかの小劇場で上演されてる、結末がよくわからず「あとは皆さんのご想像にお任せします」みたいな手抜き手法とはもちろん違います。

しっかり起承転結もありながらいろいろと考えさせられるストーリーにはなっていますけど、主題はそこじゃない。


じゃあ主題って何なの?と訊かれると、「それがよく分かんないだよ…」となっちゃってね。


やっぱり「世界観」としか言えなくて。




まぁもう少し細かく説明してみましょうかね。


まずとにかく言えることは、「役者さんってすげえ……」ですね。
くーみんの構想も相変わらずぶっ飛んでるんだけど、あの精鋭メンバーだったからこそ「なんじゃこりゃあ……」と終演後に絶句してしまうような作品に昇華されたわけで。

あんなもんを朗読劇でやりきれるのなんて、あのメンバーしか考えられないと思うほど凄まじかったです…


特に、麻実れいさん、おハナさま、勘九郎さんは大変激しい役どころなので、あんなもんを1日2回公演とか…もう情緒おかしくなって病んじゃわないのかなあ…と心配になるほどでした。

おハナさまなんてほぼずっと泣いてるから目が腫れちゃっててねえ…
終演後に必死に冷やすんだろうけど、きっとそれでも追いつかないほど目からずっと水を流してる。


しかも、通し役でずっとそれならまだしも(いやそれもしんどいだろうな…)全員2役やるので、ゾンビのようにボロボロになって吐いたり罵ったりして狂うお芝居したあとに、クロマツの芽という子役を「ね~え?おかあさ~ん」なんて無邪気すぎるお芝居をするんだから、「おハナさまの情緒どうなってんねん…」と戦慄するくらい凄まじい役者ぶりでした。


ご本人もインスタでとても疲れた、とても大変だったと書いていたので、これだけ数々の役をこなしてきたおハナさまですら疲労困憊するほどのすごい作品だったことは間違いないです。





あらすじとか書いたほうがいいのかなあ?

でも、くーみん自体が公演プログラムで「起承転結から解放されたかった」と言っているので、起承転結を楽しむ作品とも言えないし…
かといってフランス映画みたいに「雰囲気を楽しむ作品」というだけでもないし…



まぁでも、「どんな作品だったか気になるなあ」という読者さんもおられると思いますので、セリ美の文章でなどくーみんの世界観が表現できるはずもありませんが、多少でも伝わるように頑張ってみよう。うむ。




出演者は7人。主演は勘九郎さんになるのかな。
全員、2役やります。
人間の役と、人間じゃない役。


「全日本芝居トーナメント」なんていうガチバトルやって最後に残ったのがこの7人です、って言われてもおかしくないくらい、日本の最高峰の俳優陣を集めた感じでした。


セリ美はそもそも男性の舞台俳優さんがとても苦手ですし、演劇用の大芝居をする人も苦手です。
日本で「巧い!」とみんなに言われている俳優さんでも、「…どこが?」と思うことがよくあります。


正直、勘九郎さんにもちょっと偏見がありました。

お父様の勘三郎さんの歌舞伎を何度か観たことがあり、「素晴らしい舞台人だ!!」と思っていたので余計に「パパのマネしてもダメよ~」なんて思っていましてね。
発声とか表情の作り方がそっくりだったのでね。


でも、バイオームのインタビューで「今まで培ってきたスキルを一旦全部忘れなきゃいけない芝居」と勘九郎さんが答えていて、きっと歌舞伎役者ではなく「一人の舞台人」としてゼロから役作りをされたのだろうと思いますが、それはそれはとんでもない演技を見せてくれました。


しかも、他の6人は場面ごとに役を変えるのに、勘九郎さんだけはルイという男の子と、ケイという女の子を同時に演じるので、一人芝居をずっとしてるわけです。
えーと、なんて説明したらいいかな。ちょっと台詞を書き起こしてみます。



ケイ 「やっと起きたか~ルイのばーか!」

ルイ 「ケイ…?」

ケイ 「こんなとこで寝たら風邪引くよ~?」

ルイ 「ねえ…フクロウ、もう来た?」

ケイ 「知んな~い。あたしいま来たとこだし」


―ルイ、クロマツの幹に耳をくっつける。


ルイ 「フクロウは…ま~だ~?」

ケイ 「あんた…ヤバいよ?(笑)木に話しかけてんの?!」

ルイ 「んもう…ここに来るなよぉ~」

ケイ 「あたしがここに来るか来ないか、なんでルイが決める?」

ルイ 「ケイは…うちの使用人だ…」

ケイ 「使用人っていつの言葉ぁ~?(笑)いま令和だよ!」

ルイ 「口答えすんな~」

ケイ 「まだ小2だから働いてないし~使用人じゃないし~!」

ルイ 「ん~うちの庭師の娘で、ばあやの孫だろ~?大人になったら使用人だろ~?」

ケイ 「私は…作曲家になる!(リコーダーを取り出してピーと吹く)」

ルイ 「シーーーッ!!フクロウ逃げちゃうだろ!なんでそんなの持ってんの~?」

ケイ 「売れてる作曲家になって、ルイより金持ちになんの~!」

ルイ 「リコーダーとか…キモ~」

ケイ 「はぁぁぁぁ~?!キモいのそっちだし~!ねえ、ルイはどうして授業中にずっと一人で喋ってるの?すっっごい気持ち悪いよ?」

ルイ 「使用人と違って…私立行けば良かった…」

ケイ 「ムリでしょ!(笑)頭ヘンだもん!…ねえ、フクロウは?来た?」

ルイ 「わかんない…」




みたいに、一人芝居を最初から最後までず~~~~~っとやります。勘九郎さんだけ。

子供だから「ばーか!」とか「使用人のくせに」とか、ずけずけとした物言いではあるけど子供ならではの無垢さが溢れていて、このルイとケイのやりとりがあまりに純粋無垢すぎて、まだ開演して数分しか経ってないのにセリ美は何故か泣いておりました。


そして小2という学年だと男の子より女の子のほうがずっとませてて生意気な口調というのもとても忠実に表現されておりました。

ああ、小2の男女ってこういう感じの会話なんだろうな~ってよく伝わってきました。



ルイというのは、とあるお屋敷に住むお坊ちゃまで、こうして夜な夜な家を抜け出して庭にある大きなクロマツにだけ停まりに来るフクロウを見に来ます。

大きな庭には他にもたくさんの木があるのに、なぜかクロマツにしかフクロウが来ないことをルイだけが知っています。

大人たちが寝静まった頃を見計らってパジャマのままで庭に出てくるわけですが、最近はケイという幼なじみも同じ時間にクロマツのもとに来るようになっていました。

台詞にもありますが、ケイはルイの家が召し抱えている庭師・野口さんの娘であり、ルイの家に代々仕えているメイド長・ふきさんの孫娘です。

つまり、ふきさんと野口さんは親子なんですね。このお屋敷の庭の隅のほうに小さい家を建てて、親子ともども住み込みで働いています。

その家の娘であるケイはルイと同い年で同級生。つまり幼なじみってことですね。

2人とも親の目を盗んで、深夜にフクロウを見に集まってきているというわけです。




この、「なぜかクロマツにしか停まらないフクロウ」というのは、くーみんがお友達から実際に聞いたエピソードなんだそうです。
それがきっかけとなってバイオームができていったそうなので、やっぱりクリエイティブな仕事をする人はそういういろんなエピソードやネタを山ほど脳内に蓄積していて、寝起きとか入浴中とか、頭がフラットな状態の時に各ネタが急にピピピ!と繋がって作品に発展していくのだそう。

くーみんほどの天才なら、音楽家に名メロディーが突如降臨してくるように、突如「これだ!」とストーリーが降臨してくるのかと思ってました。
やっぱりいろんな知識をどんどんため込んでストックしておくという地道な作業をしていたのですね。


なんか、うちの息子もそうですけど、実力がとても高い人って努力の影なんて微塵も感じさせないところもまた天才的じゃないですか。
いとも簡単にふふふ~んってやってる感じに見せちゃうっていう。

息子が雪に来てから皆さんに「抜け感がいい!」と仰っていただくのがちょっと流行ってたりしましたけど、つまり余裕があるように見えるってことだと思うんですよ。
どんな難しい振りとか歌でも、ふふふ~ん、って見えるんですよね。

でも、ふふふ~んって見えるようになるまで死ぬほど努力してるんだと思います、負けず嫌いだから。

決してナチュラルなふふふ~んじゃないんですよね。



だからきっとくーみんも「次の作品ねえ……はい!降りてきました!」って創ってるように見えるけど、やっぱりあれだけのものを創り上げるには、それ相応のことをしてるんだろうな、とバイオーム関連のインタビューとかでくーみんの実態が少し垣間見えました。



バイオーム配信の最後におまけでくーみんと演出家の一色さんの対談が見られたんですね。
一色さんという方は、NHKドラマ「精霊の守り人」とか大河ドラマ「麒麟が来る」とかを演出していたスゴイ人です。
今回、くーみんは原案と脚本を、演出は一色さん、という「分担制」でした。
宝塚では基本的には演出家が脚本も演出も全部一人でやりますから、この分担制もくーみんにとっては非常に新鮮だったようです。


くーみんとしては、ルイとケイは性別も違うし、違う役者さんにそれぞれ演じてもらうつもりでいたのに、一色さんが「同じ役者さんに2役ともやってもらうってのはどうですか?」と提案してもらって、その斬新な案に「面白い!」と驚いたそうな。


「演出家ってすごく孤独」とお2人とも仰っていたので、宝塚でくーみんはずっと孤独に闘っていたんだなあ、と知りました。
でも今回、シングル戦ではなくてタッグ戦を初めて経験して、きっとまたいろいろな発見があったのでしょうね。(プロレスの比喩になってしまって申し訳ない)



その対談でくーみんは結構緊張してたのかなあ?
息をするように的確な言葉がとめどなくスラスラスラスラ出てくる人なんだろうと思っていたら、意外と話すときに「う~ん、え~と…なんていうのかな…」と思案されていたので、「あ、くーみんも人間なんだな」と勝手に今までくーみんをバケモノ扱いしていた自分に気が付きました。


と同時に、東大生とかのIQ高い人とか真性オタクにありがちな、表情があまり変わらずに真顔でずっと人の話を聞いていて、急に笑ったと思ったら一気にまた真顔になったり、人の話を聞きながらも視線が定まらずにいろんなところを見てたりとか、「あ、やっぱ京大生だわ」というIQの高い人物であることも確信したりして。

一色さんのほうは、初めての外部仕事だしこういう対談とかも慣れてないくーみんに気を使っていろいろと話を振ったり、くーみんの発言に細かく相槌を打ったりしてるけど、くーみんは見るからに対人スキル高くなさそうな感じがしました(笑)






本編に戻ります。


ルイがそうして家を抜け出してしまうには、「フクロウが好きだから一緒に過ごしたい」という気持ちもあるけど、どこか大人たちから厄介者扱いされている自分も感じ取っているから家に居場所が無かったんだろうな、というのも感じました。

セリ美も家がとても苦手でしたからね。
大人たちは自分のことを見ていないと感じ取っていましたから。
怒られない範囲で家から抜け出したくなるルイの気持ちはよく解ります。



さきほどのケイの台詞で「ルイは授業中にずっと一人で喋ってる」「あんた頭ヘンだもん」とありましたが、たぶんルイは発達障がい的な子供だと思います。


でも、なぜ授業中にずっと一人で喋ってるかっていうと、勉強があまりに簡単すぎて、先生の話は簡単で退屈すぎるからだそう。

つまり、自閉症スペクトラムとかって、記憶力とか、絶対音感とか、なにか突出した才能がある場合もあるみたいじゃないですか。
ルイの場合も、勉強は天才的にできるけど、人とのコミュニケーションができないとか自分の感情を表現するとか空気を読むとかができない子なのかな、と思いました。

だから学校にも馴染めなくて、あんまり学校にも行けてない。


そんなルイを大人たちは「あの子は間違いなく障がいがある…どうしてやるべきか…」と腫れもの扱いしてるのでしょうね。



しかも、運の悪いことにこのお屋敷に住むのは代々の政治家一家で、ルイは本来ならばスーパーエリートで、この華麗なる一族の唯一の後継者。
その唯一の子がこれじゃあ…と大人たちはきっと「いらない子」のような目で見ていたのでしょう。子供はそれを敏感に感じ取りますからね。


このお屋敷の家長である克人(かつひと)は元大臣で、むかし婿養子としてこの家に入りましたが、いかんせん婿養子なので出自が悪く、夢の総理大臣には手が届かなったという無念を持ち続けている。

それでも大臣という肩書までは勝ち取り、一人娘の怜子にも婿を取って、その婿である学(まなぶ)も議員になった。これから先、もっと出世させてやるつもりでいる。

そして100年ぶりにこの家に産まれた男子がルイで、ようやく出自にも申し分のない男子が産まれてこの家から総理大臣が出せるぞ!!!という期待に胸を膨らませたのに、どうやらこの唯一の男児は健常者ではない様子。


そういう、「大人たちが自分を温かい目で見ていない」という空気を感じ取って、こうして居場所を求めてルイはフクロウのもとに来てしまうのだと思いました。



克人は男尊女卑が染みついている昭和の政治家であり、自分が手にできなかった夢をどうにか身内を使って叶えようとします。

克人が家族に健全な愛情を持たずにただ利用するだけの道具としてしか見ていないのを、娘の怜子も当然感じています。


政治家として育て甲斐のある優秀な男を自分が見繕って怜子に与え、なんとか男児を産ませる。克人はそのことしか考えていなかったわけで、怜子は「自分なんてただのメス馬」と卑下しています。

今は亡き、怜子の母もなぜか怜子にはひどく冷たく、大人からの愛情を一切もらえずに育ったことも原因で怜子の心はほぼ崩壊しています。

当然、愛を知らない怜子が自分の息子であるルイに愛情を注げるはずもなく、障がい持ちであろう息子にどう接していいのかも分からない。


毎夜家を抜け出すルイを無理やり家に連れ戻そうとしてルイを引っ張り、「嫌だ!!」と拒否するルイに手を噛まれますが、「なにするの!!」と反射的にルイを殴ってしまうなど、もう母親として失格も失格。


心が満たされない自分をなんとかしたいと、ママ友であるともえがやっている「花セラピー」とやらに傾倒しています。
樹皮や葉をむしって水の中に入れて、植物のエネルギーが充填されたその水を飲むことで宇宙を感じて心が解放されるとかいう怪しさ全開のセラピーです。



まともに母親業も妻業もせずにそんなことばかりやっている怜子に、克人はイライラを募らせています。
「お前には与えられるものは全部与えてやったというのに、お前は自分の義務は何も果たさずに占いごっこか!いい加減にしろ!!!」ってなもんです。

この辺はセリ美母とそっくりでとても胸が痛かったです。


克人は今のように裕福な家庭に生まれたわけでもなく、なんとかこの家の婿養子になって自分の力だけで大臣にまでのぼりつめた苦労人なので、そういう苦労をしていない怜子に「お前には必要な教育は全部させてやったし、金に苦労させてもない。自分で仕事をする必要もなく、完璧な婿まで探してもらって、それでも満たされないと変な占いに無駄遣いしやがって!どれだけわがままなんだ!!」と思うのでしょうね。


でもどれもこれも怜子が父に頼んでしてもらったことではなく、克人が自分のために勝手に怜子に与えたものです。
怜子にしてみたらお金も物もいらないし私立の学校に行きたくもないし結婚も出産も自分で決めたかったはずですよねえ。


親 「こんなにしてやったのに!」

子 「してくれなんて一度も頼んでない!」


これはまぁセリ美の家に限らず、割とどこにでもある現象なのかもしれないですね。

確かにお金が無くて悲惨な思いをすることもあるとは思いますが、食べていかれないほどの貧乏ではない限り、子供がいちばん「欲しい」と思ってるのは愛情なんですけどね。

苦労して生きてきた親はそんな基本的なことに気付かず、若い頃自分が欲しかった「お金」「地位」「教育」だけを与えて「与えてやった!」と自己満足しているものなのでしょう。


ここに悲劇のスタートがありますね。

こうして愛情を知らずに育った怜子は自分の子供も愛せない人間になってしまったわけです。
被害者が加害者に変貌するという、現代の虐待やネグレクトによくあるパターンです。



このママ友であるともえはシングルマザーで、お金を稼ぐために金持ち相手のこういう怪しい商売とか工場のライン作業に入ったり、この一家とは対照的に「生きてくためにお金が欲しい」と必死に生きてる人です。


理由はよくわかりませんけど、セリ美が登場人物の中でいちばんムカついたのがともえさんでした。セリ美母によく似た克人よりもなぜかともえさんにイラっとするんですよね~。

体育教師みたいな、根拠のない元気さを持ってるからかなあ?(笑)
「今日も一日楽しくがんばりましょお!人生って悪くない!お日様も笑ってる!」みたいなポジティブ全開の人が苦手だからかな?(笑)




親から愛されない悲しさを誰よりも知ってるくせに、やっぱり自分も子供を愛せない加害者になってしまった残念な怜子ですが、ルイも「ママは自分を愛していない」とどこかで気付いているので、怜子が話しかけてもあまり反応は見せず、それなりに愛情を持って見てくれているパパの言葉にはきちんと反応します。


パパとしては一般的な感覚を持ってルイを温かく見守っている学ですが、仕事柄、家にはほとんどいられないし、怜子もルイを愛さないし、こんな環境でルイを家にいさせるよりは、専門家のところに行かせてやったほうがルイもこの先、生きやすくなるだろうという考えになってきています。

実際、いまルイは学校にあまり行かずに友達とうまくやれていない様子なので、特別支援施設に、ということでしょうね。



学はパパとしてはまともな感覚を持っていますが、この家に入ってしまったせいで克人の言いなりになって猛勉強し、なんとか立派な政治家にならなくてはという強いプレッシャーと闘いながらこの家で自分の存在価値をアピールしていますが、いかんせん怜子自身がそんな精神状態なので夫婦仲がいいわけありません。

しかし、第一子のルイが健常者でないなら、怜子がまだ子供を産めるうちに早く次の子を作らなければこの家の後継者を作ることも総理大臣を輩出する夢も叶わず、克人を失望させてしまう、と焦ります。


この全員歪んだ一家に入ってしまった苦悩や克人からのプレッシャーから少しでも解放されるために、学は秘書と不倫しています。

一家の為を思って激務をこなしているのに癒される場所の無い学は、今日の激務の終わりに秘書といやらしいテレビ電話でもしてから休もう、と深夜の庭に出てきましたが、そこにはフクロウを待っているルイとケイがいました。


「今度フクロウを見たら絶対にパパも呼ぶから、一緒に見ようね!」とパパと約束をしていたルイ。

ちょうどフクロウが来たタイミングで庭にパパの姿が見えたので、「あ!パパだー!よーし、こっそり近くまで行って驚かせてやろう!」と画策するルイとケイ。

こっそり忍び寄ってみると、パパは誰かと電話してるみたい。
はからずも、パパの電話を盗み聞きするかたちになってしまったルイとケイ。



まぁこの辺はよくありがちなパターンですね。
聞くつもりはなかったのに、大変な事実を聞いてしまったってやつ。


パパがいつもと違う雰囲気で、妙にニヤニヤしながらヒソヒソ誰かと話してる…と不安になっていると、そこに突如ふきさんが現れます。
ルイがまた部屋を抜け出してはいないかと念のためルイのベッドを確認しに行ったメイドのふきさんが「またお坊ちゃまがいない!」と気付き、庭に探しに来たのでした。



ルイの姿より先に学を見つけたふきさん。

「学さま…?」

「ふきさん!!!こんな時間に何を…?!」

と慌ててスマホをポケットにしまった学に事情を説明するふきさんですが、ふきさんは「家政婦は見た」状態になっているので、もちろん学の浮気を知っていますし、その相手も知っています。
いま、学が電話で話していた相手が不倫相手であろうことも察します。


こんなスキャンダルがマスコミにバレたら学の政治家生命が終わってしまうことや、それを知った怜子やルイの心情を思うと、「今すぐにその方との関係を終わらせたほうがよろしいかと」と学のことをいさめます。

そりゃそうですわな。

時代設定は令和の現代ってことですから、政治家のスキャンダルなんて簡単にリークされますし、昭和と違って「まぁそんなこともありました、これからは心を入れ替えまーす」では済まされず、議員辞職まで追いつめられる時代ですもんね。

ふきさんのおっしゃる通りです。


しかし、学はこの異常な一家の中で自分がまともな精神状態でいるためには、秘書との癒しがどうしても必要だと言い張ります。
だから、このことはお父様には言わないでくれ、とふきさんに釘を刺します。


するとふきさんは「克人さまに知られて困るんですか…?怜子さまにじゃなくて…?」
と訝しがります。


ふきさんのおっしゃる通りです。

克人なんていう昭和の政治家は女遊びなんて死ぬほどしてきただろうし、愛人も絶対にいたはず。学に愛人がいたと知っても「ほどほどにしとけよ~」くらいなもんで済むでしょう。

それよりも、今でさえ精神不安定な怜子が、いくら学のことを愛していないとはいえ、自分もよく知っている秘書と浮気していることを知ったらそりゃ更に狂いますわな。


そっちを心配せずに、克人の顔色しか考えていない学に対してふきさんは苛立ちを感じたのでしょう。


普段は「使用人は私情や感情など絶対に顔や態度に出してはならない」という強い信念で仕事をしているふきさんですが、この学の言葉でふきさんにも珍しく感情が出てきます。


そしていつもは「いい婿」としてスマートに振るまっている学も「そんな不倫するより、怜子さまのところに行って一緒に眠ってさしあげてください」というふきの言葉で感情がむき出しになり、やがて話はルイのことに。


「いずれルイは施設に入れるつもりでいる」と打ち明ける学に、ふきはひどく狼狽し、「お願いですからそんな酷いことはやめてほしい」と懇願します。自分が一生懸命お世話してみせます、と。


「あの子はどう見ても普通じゃない。そんなこと、あなただって気付いてるでしょう?!」と学はついにハッキリと明言してしまいます。「そんなことありません!しっかり愛情をかけてさしあげれば…」とふきさんはどうにか説得しようとします。


先日、ルイと「今度フクロウが来たら一緒に見ようね!」と約束したときに、ルイはパパにケイの存在を話していました。ケイと一緒にここに来てフクロウを見てるんだ、と。

そこで学は「やっぱりこの子は…」と確信しました。


学は、ルイが普通じゃないことの証拠としてふきさんに告げました。

「ルイは存在しない友達と喋ってるんですよ!!ケイっていう、あなたの孫なんだそうですよ!」



ここで観客は、ケイはルイにしか見えていない存在だということを知ります。


ひょえええええええええ~~~!!!!!


この事実にうっすら気付いていた人もいるかもしれませんが、セリ美はまったくそんなこと予想していなかったので、座席でのけぞってしまいました。

だって、全員2役やってるんだから勘九郎さんにもルイとケイの2役をやってもらってるだけなんだろうな~と思うじゃないですか。

その辺が一色さんの手腕なんですね~。



さきほど、

全員、2役やります。
人間の役と、人間じゃない役。」

と書きましたが、勘九郎さんだけは子供役を2役やるのかなと思わせておきながら、勘九郎さんもそうだったわけですね。
人間の役と、人間じゃない役。
なるほどおおおおお!!!





ルイになにかの障がいがあることを突き付けられたふきさんは、絶句してしまいます。



更に恐ろしいことを言いますよ。




この会話、ルイは木に隠れて全部聞いてますからね……


浮気相手との大人の会話はよくわからなかったけど、自分についてパパとばあやが話していることは理解してしまったでしょう。



自分はもうすぐここから追い出されてどこかにやられてしまう、、、、と。


そして、


ケイは、、いないのか、、、、、と。



大人たちの話を聞いている間の勘九郎さんの表情がもう…ね。

冷や汗をダラダラ流して(実際は本当に舞台が暑いんだと思うけど)真っ青な顔で視線が泳ぎ、体は落ち着かず、でも静かにしてないと2人にバレてしまう…どうしようどうしよう
…というこの世の終わり感がすごかったです。



そして2人は気まずく庭から去り、入れ違いに怜子がゾンビのようにフラフラとやってきます。



うぐぅ……おええええぇぇぇぇ


おハナさまにゲロを吐かせるというとんでもねえことをさせるくーみん。

「我らが姫役者になにさせてくれてんねん!!!!」と仰天しましたわ。
しかしくーみんはどんどんおハナさまを穢します。容赦ねえ。



昼間に克人から「早く2人目を作りなさい」と指図された学は、庭に来る前に克人の言いつけ通りにさっそく怜子の部屋に行って子作りをしてきたのでした。

愛してもいない妻と義務的で虚しい子作り行為をして、きっと愛する秘書の声で上書きするためにさっき庭に電話しに来たのでしょうね。


愛してもいない、愛されてもいない男から義務的にまたメス馬のように使われてしまった怜子はいつもの睡眠薬を飲んでも眠れなくなってしまい、その倍の数を飲んでも全然眠れなくて、完全にオーバードーズの状態で庭によろよろと出てきたのでした。

それで吐いた。


そこに、ルイを探しに庭師の野口がやってきます。ふきさんの息子ですね。でもケイなんていう娘はいないので、たぶん独身。


野口は、倒れている怜子を見つけます。
朦朧となり、正常な理性も失っている怜子は、なんとここで野口にキスをして大胆にも誘惑します。
いまゲロした口で…うええええと思ってしまいました(笑)


野口は父の代からこのお屋敷で雇われている庭師なので、怜子とは幼なじみです。

少女漫画とかでよくありがちな、使用人がお嬢様に恋しちゃうってパターンです。


小さい頃から野口は怜子のことが好きで、怜子もそれに気づいていた。
でも残念ながら少女漫画と違うのは、怜子は心が壊れているので誰のことも愛せない。野口のことも「使用人のくせに私に恋心なんか抱いてんじゃないわよクソが!!」という気持ちです。
歪んでるぅぅ~~


それなのに、なぜ野口を誘惑したのかというと……

学へのあてつけとかそんなかわいいもんじゃないです……

説明するのも憚られるわ………

すみれコードから解き放たれたくーみんはもう誰も止められやしないよ……









もしさっきの子作りで学の子供を妊娠していたとしても、どっちの子か分からなくするために野口とも子作りしてしまおう、という怜子にしかできない復讐のためです……


おぞましいですねえ……



野口はずっと憧れ続けている怜子からのその誘惑に乗り、怜子をお姫様抱っこして2人は屋敷へと消えてゆきます。



…そして、その一部始終も見てしまっているルイ。


ふきさんと学にルイがいないことを聞いたのか、克人もルイを探しに来て「手間かけさせやがって!!」という苛立ちが抑えきれないような恐ろしい怒鳴り声で「ルイ!!!!!」と叫びながら木の下を通り過ぎていきました。



嵐が来た夜の森に、ルイのか細い泣き声が長く長く響きます。


自分は病気なんだ。
自分はいらない子なんだ。
自分はもうすぐ捨てられる。
ケイは存在しない。
ママは野口さんとキスしてた。


事実を受けとめたくないルイは、すべての声が聴こえなくなれ!と脳内に響くいろんな大人やケイの声をかき消そうと、持ってきたリコーダーを弱々しく吹きつづけ、その様子を庭の植物たちがずっと見ています。

ルイが吹いているリコーダーのこのメロディーがバイオームの主題のメロディーとなっていきます。







はい、ここで1幕終了。


おハナさまに何をやらせてんねん…とか、あまりにルイが可哀想とか、大人が醜すぎるとか、もう負の感情しか無くて、この時点では「いや~ちょっとこれ以上観るの無理かも…」ってなりました。

しんどいですよね~~。

これはセリ美の生育環境がルイや怜子と似てるからかなあ?と思ったんですが、これは健全な家庭で育った人にも相当ダメージあるようですね。




でね、ここまで読んでいただいて、バイオーム見れてない方にとっては「これをどうやって朗読劇でやってるの???」って思いません?

役者さんたちもみんな台本貰った時点でそう思ってますから、みんな思いますよねえ。


世の朗読劇がどういう様相で行われているのかそんなに詳しく知りませんけども、確かに開演して最初のほうはみんな台本持ちながらやってるんですよ。

植物を演じてる時は皆さん棒立ちで、ちゃんと読書台?みたいなものも置いて、パラパラと台本をめくりながらお芝居されてて、人間役のときも動きを伴って歩いたり座ったりしてるけど片手には台本を持って読んでるんですよ。

でも学が秘書と電話するために庭に出てきたあたりから、もう完全に台本は無しでした。


あの役者陣なら別に朗読にしなくたって普通のお芝居として完璧にやり切れるのに、なぜわざわざ朗読劇という形態にしたのか…謎なんです。


たぶん、くーみんが脚本を書いた時はきっともっと完全に朗読型のものを想定していたはずなんですが、一色さんが視覚に訴える映像出身の方だし、演者さん達の引き出しもものすごいから、お稽古していくうちに「朗読劇って言っちゃってるから多少台本は持つけど、まぁ持たなくてもいっか」って変化していったのかなあ?と想像するんですけどね。


あと考え得るのは、最初はみんな本心を隠して殺してあの家の中での自分の役割を務めているから、台本を持たせて動きを制限させるためなのかなあ?とか?深読みしすぎ??




そして今の段階では全然植物役のこと書いてませんけど、あれをどうやって文字にすんねん!!!と今から大変困っております。


軽く説明してみると、庭にある植物のうち、5種をそれぞれが演じていらっしゃいます。


  • たぶん樹齢何百年とかの立派なシンボルツリーが、クロマツ(ふきさん)

  • そのクロマツから落ちた松ぼっくりから芽を出したクロマツの苗(怜子)

  • クロマツの横に咲く薔薇(野口)

  • クロマツの横にあり、とても背の高い西洋樹のセコイア(学)

  • セコイアの隣に咲くリンドウ(ともえ)


あれ?克人は?というと、なんとクロマツの松ぼっくりから芽を出した苗を以前に克人が持ち帰って盆栽として育てている、その盆栽が克人です。


盆栽は2幕から庭に出てきますが、植物はこの人間たちのやりとりをずっと静かに見ています。
人間役として舞台に出ていない人が植物役になって。

例えば、学とふきが庭でやりとりしているのを、薔薇(野口)とクロマツの苗(怜子)とリンドウ(ともえ)がジッと見ている。そんな感じです。

静観しながらも、植物同士で会話してたりもします。でもクロマツ曰く「植物は感情を持たない。ただ眺めているだけ」とのことなので、人間たちの説明をしていることが多いですね。



「植物は感情を持たない。ただ眺めているだけ」とクロマツが言っている時点で、ふきと連動してません?
ふきも、使用人は私情や感情を一切出さず、只々仕えるだけというのが信念ですもんね。

このように、一人2役やる意味がしっかり反映されています。


ただ、脚本のト書きには「人間の役柄と関係があったりなかったりする」とあるそうなので、必ずしも完全にリンクしているわけではなさそうです。

特に野口と薔薇、ともえとリンドウはあんまりリンクしてないかな?
薔薇なんて「マダム口調で」という指定があるそうなので、野口は男性ですし女性性が強いわけでもありませんからね。

たぶん庭師でイケメンの野口にマダム役をあえてあてて、コミカル要素を入れたかったのかなと思います。


くーみんって関西人だからなのか、どんな悲劇でも絶対どこかに笑いどころ入れてくるじゃないですか。

例えば桜嵐記なら、弁内侍の鼻緒を直そうとしたれーこちゃんには「自分でやります!!」とはねつけたのに、たまさんが「やりましょう」と言ったら素直に聞き入れてれーこちゃんが「なんんんそれ!!!」みたいになる場面とか。

正行と弁内侍がイイ感じになってるやりとりをれーこちゃんが見て「アニキ…そういうことは…二人きりのときに言ったほうが……ええよ?」って急にアドバイスする場面とか。



ずっとシリアスでも確かにしんどいですからね、そういうオアシスは大事ですよね。
しかも、ダーイシとかサイトーくんとかセンス無い演出家が笑いを作ろうとすると大抵スベってこちらの共感性羞恥がめっちゃ刺激されてしまうけど、くーみんは笑いのセンスも高いから素晴らしいよね~。スベってるの見たことないもん。



だからたぶん薔薇はそういう役割で入れただけなのかな、と。



とはいえ、めちゃくちゃ植物と人間がリンクしてる時もあるので、それを発見すると「あああああああああああそういうことかああああああああああああああ」ってなります。
なんか謎解きみたいにそういう楽しみ方もできましたね。



人間模様と植物の役割と同時進行で説明していくのは絶対に不可能なので、本筋をお伝えし終わってから植物のことは追記していきたいと思っています。




それでは一旦幕間で~~~す!!

トイレは結局いちばん個室多いところに並ぶのが早いよね!
大劇場のトイレは快適だけどできれば水流すのは手元にリモコン置いてほしいな!!!
そして増設した手洗い所にもお湯出ると嬉しかったな!!!









ブリリア、噂には聞いてたけど音響も酷いね…意見提出しておきました…