タカラジェンヌで唯一ディレイ配信を2度も行う息子を持つ母です、どうも。







おだわら






例の心中パニックでとにかくホテルや高速バスをキャンセルしまくり、全額持って行かれはしないけどじわじわとキャンセル料がかさみ、さっきカード支払い額を見て仰天しました…


まぁそうなると思って数年ぶりに仕事を1件増やしたわけですが、新しいクライアントさんとは意思疎通が円滑になるまでしばらく時間がかかるので、そのあたりの心労もあったり、心中パニックが無事に終わったことへの安堵もあったりで、なんだか抜け殻みたいな日々を送っておりますです。




思い起こせば梅田行きのバスの中で心中ストップを知り、「ギャツビー観劇が無かったらこのバス代もホテル代もどうなってたん…」と呆然としたなぁ。


そして頼みの綱の青年館も灰燼に帰し、たった3回しか行われないという地獄のチケット争奪戦でボロボロになりながらなんとかわらしべ長者みたいなことをしまくってチケットを死守したはいいものの、本当に公演が行われるのか当日になっても不安で不安で。


「母が息子の晴れ舞台を観ないでどうする!!!」っていろんな方のお力添えも頂きましてね…
ヅカファンの結束の強さ、人情ってものを痛感いたしました。
まるで八右衛門が身を削って忠兵衛を助けようと獅子奮迅したようなものすごいサポート体制でした。

親子ともども、友人の情けに涙涙でした…
新ノ口村で八右衛門に逃がしてもらったときのあの息子の涙と低頭、まさに母もあの気分でした…




でもなぜか開場時間になっても公式から公演時間の案内は出ないし、ボロボロになって確保したこのチケットすら紙切れになるのか、そもそも息子たちの心身は健やかなのか、もう気が気じゃありませんでした。

たった3回の奇跡のような東京心中が幕を下ろせたこと、本当に本当に良かったです。

異例のカテコとか、公演を延長するとか、平日の真っ昼間に無理やりライブ配信するよりもみんなが家にいる週末のゴールデンタイムにディレイにしてくれるとか、本当に劇団や谷先生の愛情を感じましたよね。


息子もその異例づくしに大変な感謝の意を表していて、立派な挨拶にも母はもう只々泣くばかりでした。


さぞかし苦しかったろうに、泣き崩れたって良かったし、ひたすら「感謝、感謝」と連呼するだけでも充分だったのに、適切な言葉と表現を使って我々をポジティブな世界に連れて行ってくれるあの聡明さには本当に一抹の寂しさすら感じるほどでした。

ハッスルで独特な挨拶してたあの子がこうしてスターとなり巣立ってゆくのね……





cry






でもまだまだこの茫然自失を味わわされている皆さんがいらっしゃるような状況でねえ…
花組も延期延期で可哀想に…

2020年に比べれば生命の危機を感じることは減ったとはいえ、無症状が多いからこそ感染がどんどん広がってしまうという側面もあり、なかなか難しいですなあ。



さっき仕事で、中止期間のあった公演を挙げてみたんです。

2020年

  • 月組 『出島小宇宙戦争』

  • 花組 『はいからさんが通る』

  • 星組 『シラノ・ド・ベルジュラック』

  • 雪組 『NOW! ZOOM ME‼』

  • 星組 『眩耀(げんよう)の谷/Ray』

  • 宙組 『FLYING SAPA』

  • 宙組 『壮麗帝』

  • 雪組 『炎のボレロ/Music Revolution!』

  • 雪組 『ONCE UPON A TIME IN AMERICA』

  • 月組 『赤と黒』

2021年

  • 花組 『PRINCE OF ROSES』

  • 花組 『NICE WORK IF YOU CAN GET IT』

  • 月組 『ダル・レークの恋』

  • 月組 『幽霊刑事』

  • 宙組 『夢千鳥』

  • 宙組 『ホテル スヴィッツラ ハウス』

  • 星組 『ロミオとジュリエット』

  • 花組 『アウグストゥス/Cool Beast!!』

  • 花組 『元禄バロックロック/The Fascination!』

2022年

  • 雪組 『ODYSSEY』

  • 星組 『ザ・ジェントル・ライアー』

  • 星組 『王家に捧ぐ歌』

  • 宙組 『NEVER SAY GOODBYE』

  • 雪組 『夢介千両みやげ/Sensational!』

  • 宙組 『カルト・ワイン』

  • 星組 『めぐり会いは再び next generation/Gran Cantante‼』

  • 雪組 『心中・恋の大和路』

  • 花組 『巡礼の年/Fashionable Empire』

  • 月組 『グレート・ギャツビー』





こわくないですか……?!

一体どれだけのヅカファンがあの気分を味わったのでしょうか…

そしてこれからもまだまだ増えるかもしれないと思うと、劇団さんよ、なんとかうまい商売して利益確保してな…と願うばかりです。


きっと心中も殉情も、予算少ないながらも客入りが確保できる演目として選ばれたんだと思います。

でも再演だって新規ファンにぜひ観てほしいものたくさんあるし、初演を観てる人にだって演者が変わる楽しみもありますしね。

この苦しい時代だからこその策でうまく乗り越えてほしいです。



モンテクリスト伯とベアトリクスに文化庁の補助金が充てられているようですが、安易にチケット代を上げずに国の補助金を使うとか、素晴らしいですよね。


そういうナイスな判断を人事にも発揮してねえええええええええええええええええ

カレンダーの件はけっこう根に持つからねえええええええええええええええええええ









さぁ、ということでレポいきましょうレポ。






山奥





まず最初に全力で褒めたたえたいのは、息子の役作りの的確さなんですよね。


息子もこれまでになかなかハイレベルなクズ男を演じてきましたよね。

夢二さんもシェルドレイク部長も酷いもんでした。


でもほら、2人とも犯罪には手染めてないじゃない?
警察がもし介入しても痴話げんかレベルでおさまる範囲じゃない?



もうさ、忠兵衛ちゃんは横領してっから。
300両は数千万円ですから。
しかも50両は親友が商売に使うお金を横領してっから。

なんかセレブぶって槌屋のおかみさんや駕籠屋さんにスッとお心づけ手渡してますけど、それ人の金だから。


推しに課金しまくってファンサしてほしいけど自分の金は無いから他人の金盗んで課金しちゃお!っていう、稚拙で頭の悪い男なんですよね。

そんで推しと駆け落ちしたはいいけどほぼノープランで結局行き詰まって死ぬしかなかった。
どうせ犯罪おかすなら完全犯罪目指して2人で生き延びればいいものを。

ゆーちゃんさんも言ってました。
「前もって言ってくれりゃあ田んぼ売り払ってでも金作ってやったのに!」と。
それを家の中で聞いて「しまった……その手があったか……」と気付くアホさ加減。



そんな男に、「理想の男性像」を求めてるヅカファンが「ステキ!!!」って思うのはなかなか難儀ですよね。


その超難題に、過去の忠兵衛さんたちもそれはそれは苦戦してきたと思います。


きっと息子も「このどうしようもない忠兵衛をどうやって素敵に見せたらいいのやら」と悩んだことでしょう。
「衝動的なノープランのせいで死んじゃった残念な末路を、どう納得してもらおう」と熟慮したことでしょう。




そして、息子が出したその答えがあの役作りにありました。




とにかく、忠兵衛が幼い。

精神年齢も、振る舞いも。

これからディレイをご覧になる方は、息子の声の高さにぜひ注目していただきたい。


息子は最初の歌唱試験で高音がまったく出ずに歌唱では下位になったという逸話を持っているほど、生まれつきの低音ボイスです。

プロミセスのシェルドレイク部長や、シャーロックのレストレード警部もだいぶ低音でした。

その息子が、忠兵衛ではずいぶんと高音です。なんなら三太よりも高い気がします。

あれは間違いなく役作りのためにそうしたのでしょう。



忠兵衛は24歳なのであの時代からするともう立派な大人です。

でも、声も動きもどこか浮ついているし、「子供がそのまま大人になった」みたいな青年、という役作りをしています。

良く言えば無邪気、悪く言えば幼稚。
良く言えば少年っぽい、悪く言えばガキ。


でも、その無邪気さが八右衛門さんや梅川にとってはもうたまらなく「かっわい!!!めっかわ!!!」なのでしょう。


八右衛門さんの50両を横領した時だって、普通は「やっべえ!!!バレた!!!」って真っ青になりますが、「ごっめ~~~ん!てへぺろ!」ですからね。



忠 「表で話がある!!(`・ω・´)キリッ」

八 「内容によっちゃあ友達でいられなくなるかもしれねえぞ?」

忠 「(`・ω・´)キリッ ……ごっめ~~~ん!(^_-)-☆あの50両貸しといてんか~~~~」




ですからね。

八右衛門さんも「おまえなぁぁぁぁぁ~」って脱力ですわな。

50万円じゃないですからね?!50両ですからね?!概算500万円~1千万円ですからね?!
てへぺろで許される金額じゃねえんですわ!



でも脱力しながらも忠兵衛ちゃんがあまりに無邪気で可愛いもんだからこうして甘やかしちゃって、ここで厳しく𠮟りつけて横領の罪の重さを味わわせなかったために、横領に歯止めがかからなくなってしまったわけですね。



梅川にしたって、かもん姐さんはちゃんとしたお金持ちに身請けされてみんなに祝ってもらって安心安全が保証されている世界に行けたっていうのに、自分だってそういうのが憧れだったはずなのに、真面目に働きもしないで子供みたいに無計画な金の使い方しか知らないような情けない男のどこがそんなにいいの?!って思っちゃうけど、いい歳してバカみたいに嫉妬してスネちゃったりするこの少年っぽさや、初恋を知って自分の胸で溺れている忠兵衛ちゃんにもう母性が悲鳴を上げてるんでしょうね。

わかりますわかります。その子の母としてその気持ちはもう我がことのように解ります。



いわゆる「人たらし」であるがゆえにみんなにどんどん甘やかされて、こんなに幼稚な忠兵衛ちゃんが、立派にあきんどとしてのプライド持って亀屋の商売が継げるわけもないんですよね。

カレンさんにはあんまり可愛がられなかったみたいだけど、たいして苦労も知らずに安定した職に就けて、自由に使えるお金があって、子供みたいに無計画で衝動的で、フンフンフ~ン♪と水たまりを飛び越える遊びしてたら梅川沼にスポーーーーーーン!と堕っこちちゃって。








zukanuma









でも堕ちたら堕ちたなりに、自分の状況と照らし合わせて理想と現実の折り合いをつけていくのが大人ってやつなんですけど、そりゃね、我々だってもう好きなだけチケット買ってグッズ買って贔屓にサポート代納めまくって、大人会とか入っちゃって、Diorの名入れバッグとかプレゼントしちゃって、働きもせず家でスカステ三昧して暮らしたいですよねえ。

でも大人だからさ。
チケット代は自分で稼ぐしかないし、もしくはご主人のお給料の中からうまくやりくりするしかないし、「できる範囲」でやっていくわけですよ。



でも忠兵衛ちゃんはさ、あまりに精神年齢が幼くて、衝動的で、純粋で、運の悪いことにお金が身近にある立場で、ああもうこの子には好きな女との心中しか選択肢は無かったんだよな、と納得してしまえるような絶妙な役作りをしてるんですよ息子がああああああああああああああぁぁぁぁぁ
ぁぁぁぁぁぁぁぁ



なんという芝居勘の良さか!!!!!ともう母はおののいてしまいました。




頼りない、情けないこの男をどう魅力的に見せるか。
うん心中するしかなかったよねという納得にどうやって持っていくか。
そのアプローチが見事としか言いようがないです。





和希贔屓の皆様におかれましては、きっと「可愛い」と愛でることも醍醐味のひとつなのだと推測しますが、壮絶な悲劇、心中・恋の大和路でまさかこんなに可愛い息子が見られるとは予想だにしておりませんでした。









そしてもうひとつ。

この作品における大きな見せ場というのは、1幕最後の「封印切り」ですね。

小判を包んでいる紙包みを破ってしまったらもう最後、横領の証拠というわけで、周囲が「やめろ!!!やめてくれ!!!」と泣いて懇願するのを蹴散らし、ついに忠兵衛が悪魔のささやきに勝てずに封印を切ってしまい、破滅へのスタートとなる場面です。


ここの息子はもう、狂いに狂っております…


夢二での華麗なる発狂という実績を持つ息子ですので、発狂においては定評があります。

発狂なら和希にお任せ!
信頼と実績のベストパートナー!
あなたの理想の発狂に和希が寄り添います!

というキャッチフレーズを付けてもいいと思ってます。


栗田先生も谷先生も本当に素晴らしいなと思うのは、息子に軽快コメディーとかハートフルヒューマンドラマとかを与えなかったことですよね。
息子はもう完全なる悲劇役者であり、狂わせてナンボなんですよね。



今回の発狂もお見事としか言いようがなかった。


もう戻れないという恐怖
これで梅川が手に入るという悦楽
人の命も金次第という資本主義への軽蔑
でも結局金の奴隷となっている自分への憐れみ
自分はどこで何を間違えたのかという困惑



これがもうぜんんんんぶ、ぜんんんんんんぶ息子の表情に出てるんです。
笑ってるのに泣いてて、泣いてるのに怒ってて、怒ってるのに動揺してて。
まさに、人間が理性を手放して感情のまま本能のままに変わった瞬間でした。


安心と保証の発狂は和希まで!お気軽にお問い合わせください!






心中ガッテン






夢二でのDVタンゴも初見時に「うわああああああなんじゃこりゃああああ」とほぼパニック状態に陥りましたが、封印切りももう涙ボロボロこぼれちゃってまたマスクびしょびしょ。



と同時に、またここでも「可愛い和希」が堪能できるという充実サポート。


セリ美は「小判イリュージョン」と呼んでおりますが、とにかく小判がどんどん湧いて出てくるんですね。

マジシャンが口の中とか肘とかからトランプを無限に出すやつあるじゃないですか。
あんな感じで小判がどんどん湧いてくる。

で、それをいろんなバリエーションでまき散らしてくれるんですね。


小判のバラ撒き方にもアンダースローとオーバースローがありまして、緩めのオーバースローが手首のスナップを利用しててめっちゃ可愛いのでぜひチェケラ!





オーバースロー







あと細かいところで言えば心中名物のジャンピングおんぶもお見事でしたし、よろよろ歩いてからコケるまでの流れもさすがダンサーという感じでした。


かちゃさんとの親友感も学年差を感じないほどすごくよく出てましたし、それもきっとかちゃさんの懐の深さあってのものだと思うし、とにかくかちゃんさんすごく八右衛門に合ってました。


あ~この人は忠兵衛ちゃんみたいな道の踏み外し方は絶対しないだろうな~という好青年感と正義感があり、お兄ちゃんのような「まったくお前はしょうがないな」という包容力もあり、最後の絶唱も感情入れまくってくれたのでしっかり2人は雪山に閉じこもることができたと思いますね。


遊郭での粋な遊び方もわきまえているし、まりんさんたちを説得できるだけの信頼感もあって、セリ美が選ぶなら絶対に八右衛門さんだよな~という、主人公が担当できなかったヒーロー感をちゃんと担当してくれて本当にお見事でした。




諏訪さきちゃんもおぼこい感じがよく出てて、特にかもん太夫にガチ恋してることを忠兵衛にうっかり打ち明けてしまったあとの「もう勘弁してくださいいいい」という羞恥心の表現が大変良かったですし、商売をめちゃくちゃにしたあんなしょーもない主人でも最後まで忠義を尽くす健気な感じが、「ああこんなに健気ならかもん太夫にガチ恋しちゃうよな」という説得力に繋がってました。



まなはるさんの番頭さんも「ああこれは頼りになるわ、なんなら亀屋はこの番頭さんが主人やん」という安定感がありつつも、客に嫌味を言われてるのに一緒になってあははははは!と笑ってしまう天然さと浪花のあきんどならではの調子の良さもあったりして、江戸時代末期の大阪商人ってこんな感じだったんだろな~!と歴史好きとしてタイムスリップを体感できてとても面白かったです。



丁稚と女中の3人組もすごく良かったですね。
特におまん役の愛羽あやねちゃん、あの学年にしてはずいぶん大きな役でプレッシャーもあったと思うのに、息子と堂々やり合ってて素晴らしかった!!!
今は毎日喧嘩ばっかしてるけど5年後には三太とくっついてるんだろうな~と思わせる女心の複雑さを感じましたね~。




あと、しじみ売りの希翠那音(きすい なおと)くんも良かったですね~~。105期生!

ノーマイクで本舞台の前をゆっくりゆっくり通り過ぎていくだけなのに、もう超江戸時代。
江戸時代末期の歩き売りってああいう感じなんだろうな~~というのがよく伝わって、しかもなんだか不気味。
これから訪れる悲劇を匂わせる役割なんだと思いますが、完璧に演じ切れていました!!

担ぎ棒を揺らさないように腰をしっかり落として上半身を固定してたのがよく分かりました!
雪組生にとってそういう所作ってすごく大切ですもんね。






そしてそして!!!

ゆーちゃんさんですよ!!!!!!



いや~もうね、ゆーちゃんさんが定年退職されたら心中はもう上演できないじゃんどうすんのってくらい、田舎のジジイやらせたらゆーちゃんさんに敵う人はいませんよね。
夢介でも大変お世話になりました。
どうにもヒロインを罵倒してばっかりでご本人も不本意だとは思いますが。


2幕のたった十数分くらいしか出てこないのに、あの気持ちを作って出てくるっていうのがもう専科オブ専科ですよね。


養子に出してはいるけど、やっぱり忠兵衛は可愛い息子であり、そんな息子を誘惑してここまで追いつめたこの女が憎い!でもこんなに美人で気立てが良くて優しくて、息子が惚れ込んでしまったのも仕方ない、それならばどうして相談してくれなかったのか…でも今からではもう遅い、今さら息子に再会したところでお互い辛さが増すだけだ、自分はともかく、息子にこれ以上辛い思いをさせたくない、という複雑すぎる胸中をあのたった十数分で完璧に残していく匠の技よ。


ああ、この人も忠兵衛の無邪気な可愛さに骨抜きになった一人なんだな、ということも伝わりました。


すべてが遅すぎたせいで、こうして可愛い息子を見殺しにするしかできない無念さが伝わってきて泣けましたねえ…



ゆーちゃんさんの何が好きって、とにかく粋なんですわ!!!!
仕草も話し方も佇まいも。
いつも田舎ジジイばっかやってるし丸っこくてゆるキャラみたいな風情ですが、どことなく漂うあの粋な空気は何でしょうね~。


この「粋」、るう組長にも感じます。出島のときは特にすごかったなあ。

これってセリ美が江戸っ子ってところになにか通じるような気がします。
セリ美の祖父は祖父としての資質の低い人間でしたが、セリ美が唯一接した「大正生まれの生粋の江戸っ子」なんですね。まぁ良くも悪くも。

祖父の両親のことは知らないけど、明治生まれですよねえ?明治って江戸の次ですからねえ。
セリ美が体感した「ああこれが江戸時代の名残のDNAなのか」という記憶と、ゆーちゃんさんやるう組長が出すオーラが、何か結びつくものがあります。



心中では「鼻緒が決まりました」っていうゆーちゃんさんの台詞があって、何だか知らんけどそれがすごく粋に聞こえるんですよね~。

ああ、江戸時代の人たちは「鼻緒が決まる」っていう言い方をするんだ~なんかそれって哲学的だな、なんて思えてきて。

ゆーちゃんさんの鼻緒が切れてしまったので、それを梅川が直してあげるって場面ですが、「鼻緒が直る」んじゃなくて「決まる」んですよね。

肝心カナメのここが決まればあとは大抵うまくいく、みたいなことわざのように聞こえるんです。たぶんそんなことわざ無いと思うけど。


でもゆーちゃんさんが「鼻緒が決まる」って言うとすごく粋に聞こえるんだよな~なんでだろ。


やっぱり深い役作りとか徹底した所作ゆえ、なんでしょうかね。
そういう無形文化財的なものを、ぜひ若い下級生たちに伝えていってほしいですよね。





セリ美が歴女ということもあり、心中は江戸時代の文化を肌で感じることのできる歴史的遺産という側面も素晴らしいと思いました。

例えば源氏物語から平安時代の文化や慣習、流行ってた着物の柄とかヘアスタイル、お化粧とかが分かるように、物語やエンタメから見る日本文化ってすごくリアルで面白いですよね~。

いま江戸東京博物館が長い改修工事に入っちゃってるので行けないんですけど、心中も立派な博物館ですよ。


そういう歴史的に見ても大変に貴重な作品の主演者の中に息子の名前が加わったこと、すごく光栄に思いますね。

数多いる舞台人の中で忠兵衛を演じた人なんて超超超僅かですもんね。



だからこそ、劇団も心中をなんとしてでも東京で公演したかったんだろうし、チケット争奪戦に敗れた皆さんにもぜひ見てほしいからライブ配信じゃなくて週末のディレイを決めたんだろうしね。



正直、息子の主演作が新作じゃなくて再演、しかも和モノと聞いた時には「かたやオデッセイでみんな踊りまくるっていうのに、屈指のダンサー和希を踊らせないなんて愚かな!!」と思いましたが(でもやっぱりカルメンは観たかった…)こんなに見応えのある作品を任せていただけて本当に良かったです。



ハッスルも大好き、夢千鳥も大好き、心中も大好き!!!

名作ばかりの息子は幸せ者じやあああああああああああ!!!!

蒼穹の昴もなんだか悲劇の役どころっぽくて期待大だしね。



でも退団者の面々は本当にサミシイです……


カレンさんは心中でママとして、副組長として大変お世話になったし、羽織夕夏ちゃんも超ダンサーだと思ってたら今回「歌もめっちゃ巧いやん!」て発見したばかりだったし、花束ゆめちゃんなんてセリ美の娘だって判明したばかりだったのに……



三太親子



ミズさまをお見送りした2010年から12年ぶりに帰ってきた雪組さん、ようやく少しずつお名前とお顔が一致してきたところなのにこうしてすぐにお別れが来てしまうのはやっぱり悲しいですね。

とにかく退団者の皆さんが全日程ちゃんと出演できて、大劇場も東宝も大階段を降りられますよーーーに!!!!!




ではこれからディレイで初めて息子の心中をご覧になる皆さん!

おたのしみにーーーーー!!!!!


セリ美は8人の女たち遠征にいってきまーーーーーーーー











湧き水








着物一枚で来ても頑丈な母さん