先週の木曜蒼穹、金曜殉情、5時間かけて一旦帰宅、翌朝5時に起きて東京行きの高速バス5時間乗車、2時間ライブでスタンディング、そのまままた夜行バス乗車7時間、早朝に家に着いてお風呂入ってすぐ関ケ原に向けて出陣、関ケ原祭りに参戦、車で3時間かけて帰宅、という20代でも悲鳴をあげるようなスケジュールを強行してきたセリ美です、どうも。



腰はもう立たないですし全身の筋肉痛でなぜか腕までビリビリしていてキーボード打つ手もプルプルしてます。
仕事柄、常にパソコン担いで動かなきゃいけないのももはや修行僧のようですしね。



でも精神的には超ハッピー。
こんなにクタクタになるほど遊べるっていうのは本当に幸せなことで御座いますねほんと。




ライブって誰の?って、今ちょっと話題になっている男闘呼組のライブです!!!
大変にチケ難となった再結成ライブを抽選で見事当てまして、まかぜがライブやったガーデンシアターに行ってまいりました。


ジャニーズさんにほとんど興味の無いセリ美ですが、男闘呼組は大好きでしてね、「ジャニーズなのにバンド」っていう異色の存在のほうがフューチャーされがちですが本当に天才の部類に入るミュージシャンだと思ってます。



でもいかんせんセリ美の年齢的には男闘呼組さんは結構お兄さんでして、現役当時はお姉サマがたが嗜むグループ、という感じでCDを聴くくらいしかできなくて、今回ついに初めて生の男闘呼組が拝めてもう感無量でした。


やっぱり天才ですね彼らは。
作曲能力も歌唱力もビジュアルもキャラクターもメンバー相性も抜群です。




まぁそんなことで、怒涛の数日を過ごしてきていま束の間の休息タイムです。



と言ってもまた今週は蒼穹&殉情遠征に出ますけどね。






さて、腰の限界タイマーもありますし殉情レポにまいりましょうかね。
あ、ほってぃチームです。



まず結論から言います。



大変に大変に大変に素晴らしかったです!!!!




殉情、難しいお話じゃないですか。
SM関係にある男女のお話ですもんねえ。


それを若いバウメンバーがどうやって理解して表現するのかとても難しかったと思います。


しかも、ほってぃも新公主演1回だし、ことのちゃんも新公ヒロイン無しという、「あ、真ん中に立つのは慣れてまーす」という組み合わせではないから余計にこの壁は大変高かったと思います。



でも、もうなんならセリ美は「ほってぃ、トップも全然あり得るぞ」と思ったほど見事でした。



まずとにかくイイ男。

佐助が出てきた瞬間から「あらまーーー!イイ男ーーーー!!」と惚れ惚れしました。


気品を常に漂わせていて、清潔感のある瑞々しいあのイイ男ぶりは男役さん多しと言えども相当に稀有な魅力だと思いますね。


声も低すぎず高すぎず、少しだけハスキーで丸みがあって、声すらも気品と優しさが溢れて
いる、まるで春野寿美礼さんのような正統派男役でした。



和服での所作も完璧に身についていて、膝下を撫でながら座るときに放つ伏し目の色香とか、正座で三味線を弾くときの背筋のラインの美しさとか、こいさんを見つめる眼差しの柔らかさとか、「自分のような丁稚風情が」という自重の姿勢ですらも魅力にあふれていて、よくもまぁほってぃに佐助をやらせたもんだな!!!と劇団の采配に心からの賞賛を送りたいと思います。



「この佐助、こいさんがいなければ生きていくことはできません!どうか見捨てないでください!!」と春琴にすがりつく姿、なんなら情けない姿なはずなのにむしろ逞しくて頼りになる男に見えたのは、ひとえにほってぃの役作りの正確さによるものだと思います。


傍目にはこいさんの奴隷ではありながらも、全身全霊をかけてこいさんを守り愛し抜くと腹に決めている男の潔さ・度量の大きさっていうのかなあ。


こいさんに殴られたり怒鳴られたりばっかりしてるのに、なぜか佐助がこいさんをコントロールしているかのように見えてくる錯覚。

こいさんが主人、佐助が下僕であるはずなのに、だんだん逆に見えてくるんですね。


佐助をいじめ倒しながらも、実は佐助にすべて包み込まれて佐助に依存している春琴の単純さ、幼さっていうのもまた佐助の庇護欲を掻き立てるんだろうなあという相関図がしっかり描けました。




「Sっ気の強い女と、Mっ気の強い男の話だろ?ww」と思わせておきながら、「…あれ?もしかしてSっ気が強いのは佐助のほうで、Mっ気が強いのはこいさんのほうなんじゃないのか…?」って思わせる谷崎潤一郎の策略がしっかり表現できていたこのバウチームの面々、どこを見ても穴が無くて「ワークショップ」なんてレベルじゃないです。



セリ美が推している詩希すみれちゃんは今回芸者のお蘭というお役で、もう大活躍していました。


お蘭はずっとフキゲンなんです。

お蘭の最初の登場場面で、道で佐助&春琴とすれ違うんですけど、その時から既に春琴を睨みつけてるんですね。


これって別にお蘭が佐助に恋してるからとかじゃなく、お蘭を懇意にしている金持ちボンボンの利太郎が春琴に一目惚れしたからでもなく、一人の女として春琴に嫉妬してるんですよね。


「フン!目が見えないってだけであんな風にイイ男に守られてお世話してもらってズルいわよねえ!」って。


男を自分に夢中にさせるのが仕事であるお蘭が、自分よりハンデのある春琴に嫉妬するほど、佐助に全身で守られている春琴が女として羨ましくて仕方ないんですね。



お蘭ちゃんはことあるごとに「春琴がズルい!あたしだって!!」とやけに張り合ってきます。
現代でも女性が女性をマウンティングするときに湧きあがってくる嫉妬の感情ですよね。


でも、利太郎が人の道に外れた嫌がらせを春琴にしてやろうと企んでいる時には「そんな恐ろしいことおやめになってください!」と一人だけちゃんとまともなこと言ってるので、女性の顔を台無しにするなんてあまりにむごい!と、春琴のことをちゃんと「可哀想」だと思えるまともな感覚を持った女性でもあるんですよね。


そんなまともな感覚を持った女性ですらも「フンッ!!」と嫉妬するほど、春琴のことを深く深く深く愛して守っていることが一目見て誰もが分かるほど、所作の全てに表れているほってぃの確かな役作り。


春琴が自分に向ける本心を垣間見るたびに天にも昇るような気持ちになってきゃっきゃしたと思ったら、今度は地獄に突き落とされた気分になってこの世の終わりみたいに落ち込んでみたり、可愛らしいほど佐助は恋をしていて、「ああ若いって、ええのう~」と、バウメンバーの若さに重なって見えて、またその二重構造も作品をさらに深く見せてくれました。




深い愛情をもって春琴と佐助を見守っている春琴の両親も
びっくさんあおいさんだからこそだし、でも春琴の勝手な振る舞いによる被害を直接受ける番頭さんや使用人の皆さんの現場のストレスはまるで現代にも通じるし、現代人役のらいとくんと美里玲菜ちゃん(綺咲愛里ちゃんの妹さん)(姉妹そっくり!!)をユーチューバーという設定に変えたのも面白かったし、峰果とわくんの縦横無尽の活躍はもう当然ながら「やれやれー!もっとやれー!」だし、とにかくほってぃをはじめ、レベルがめちゃくちゃ高い。



殉情は映像で見ていてお話は知ってるので「泣きゃしないだろう」と思っていたのに、泣いて泣いてしょうがなかったです。



冷静に考えれば、佐助まで見えなくなってどないすんねん!!これからどうやって生活すんねん!!って本当にアホなことしてるんですけど、でも2人して見えなくなって生活が不自由になっても、そのほうがきっとこいさんは安心して生きていかれる、と佐助だからこそ分かっていてそうしたんだろうなあと思えましたね。

実際にこいさんは目を突いた佐助に「ありがとう」と言ってますしね。





なんか、支配と従属って何だろうって哲学的なことをすごい考えさせられました。


一見、一方が命令して支配して虐待して、もう一方がそれをすべて受け止めて耐え忍んでる需要と供給関係に見えるけど、深層心理では立場が逆転してるんじゃないか…?!っていうのはなんか哲学的ですよね。


下僕を支配して「ざまあみろ!」と満足してるつもりの主人だけど、よくよく見てみれば精神的に支配されてるのは主人のほう、っていうね。

結局、佐助の命を懸けた愛情にひれ伏して「ありがとう…」って頭下げちゃってますからね、こいさん。


でもきっと佐助はこいさんに頭を下げさせたいわけでもないし、「今まで乱暴してごめんね」って謝られたいわけでもないし、なんならこれからもどうか自分をいじめてくださいって懇願してるでしょうからね(笑)


その辺の情愛の部分ではM需要とS供給が完全一致してはいるんでしょうが、精神の深い部分で見たら下僕のほうが主人を精神的に支配してるんじゃないの?っていう。


そんなことまで滲ませてきた、このほってぃチームの実力の高さですよ。



ご本人たちがどこまで計算して見せてるのかは分かりませんけども、でも各々に与えられた役柄の深層心理をしっかり理解して、台詞や表情、所作でその深層心理をこんなに滲ませてきたのは、やっぱり「役に忠実に、正確に、誠実に」という向き合い方あってこそだと思います。



予想をはるかに超えた完成度の高さに、ほってぃチームに心からの拍手を送りたいですね!!!






春琴を演じたことのちゃん、どういう娘役さんか全然知らなかったんですけど、春琴ってとにかくいつも怒鳴ってるのでキンキン声になりがちで「うるさいなあ…」って思うことも少なくないんですが、ことのちゃんは大変丁度良かったです。

お顔立ちや骨格も春琴にはピッタリで、あまりにスラっとしすぎても現実味がないし、「江戸・明治にいた、いいとこのお嬢さん」って感じがピッタリでしたね。

あのお顔立ちや骨格が西洋モノになるとどうなるのかは分かりませんけども、春琴には本当によく合ってました。




あともうひとつアピールしておきたいことは、さっきも書きました詩希すみれちゃんの大健闘をもうちょっとしつこく書いておきたいと思います。


大阪の道修町(どしょうまち)って今も大手製薬会社の本社がたくさんある、「江戸時代からの薬の街」ですけど、心中・恋の大和路ともエリア的には割と近いので、船場言葉って言うんですかね?大阪商人って感じの言語なんですね。

でもお蘭ちゃんは芸者なので、それよりも京言葉に近いんですね。「どすえ」とか。

みんなが船場言葉を喋る中、一人で京言葉に格闘したのもすごいと思うし、芸者ならではのお化粧や所作もきっと初めてのことばかりだったと思うんです。


もともと正統派美人さんですので芸者役にはピッタリですが、佐助をウッフン誘惑してみたり、舞台のど真ん中に居座ってしばらく駄々こねてみたり、とにかく大挑戦の連続でしたが、

「もっとこの人の演技が見たい!!」って思わせるような役者さんになったなあ…泣

と、またここでも母心炸裂しました。


さよなら皆様の歌唱メンバーに入っているほどシンガーのすみれちゃんなので殉情でもたくさんのお歌がありましたが、どれもこれもまぁ~~難しい歌ばかりでこれも相当努力されたことでしょう!



和モノと言えども、町娘・女中・商家のお嬢・芸者、それぞれみんな所作もお化粧も言葉も全部違いますので、やっぱり和モノって洋モノに比べて課題の多さが違うと思うんですよ。

それを一生懸命研究して追求して、いよいよ本番を迎えて大勢の観客にひるまず、目の見えない女性に嫉妬する芸者という難役に没入していたすみれちゃんの大健闘をここに賞賛したい!!


ありがたいことに千秋楽を観せていただけるので、もう一回細部までじっくり見てきますね!!




ではそろそろ腰が限界なので……イタタタタ……





春琴






つかさくんと観劇かぶりしたのが嬉しかった!服も髪も全然現役さんね!